季節もの衣料に動き…2010年2月景気動向指数は3か月連続の上昇、先行きも3か月連続の上昇

2010/03/08 17:30

内閣府は2010年3月8日、2010年2月における景気動向の調査こと「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによると、各種DI(景気動向指数)は相変わらず水準の50を割り込んでいる状況には変化はないものの、現状は3か月続いて上昇した。先行き指数も3か月連続の上昇傾向を見せている。基調判断は厳しいものの先月よりはやや緩和した表現である「景気は、厳しいながらも、下げ止まっている」となった(【発表ページ】)。

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「ややよくなっている」「変わらない」が微増、「良くなっている」は変化無し
文中・グラフ中にある調査要件、及びDI値についてはまとめのページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】にて解説している。そちらで確認のこと。

2010年2月分の調査結果は概要的には次の通り。

・現状判断DIは前月比プラス3.3ポイントの42.1。
 →3か月続いての上昇。「やや良くなっている」「変わらない」が微増、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が減少。
 →家計においてはエコポイント付与による薄型テレビなどの家電販売や環境対応車両への減税措置などが功を奏し、さらに気温の寒暖差の大きさを受けて季節もの衣料に動きがみられたことなどにより上昇。企業は販売価格の引き下げ圧力は強いが、受注などが持ち直しを見せていることから上昇。雇用は企業側態度が慎重ではあるが、一部で求人に動きがあったことから上昇。
・先行き判断DIは先月比プラス2.9ポイントの44.8。
 →3か月連続のプラス。
 →家計ではトヨタをはじめとしたリコール車の影響への懸念があるものの、エコポイントの継続や環境対策自動車の購入にかかわる減税・補助金制度の継続への期待でプラス。企業では受注増への期待で、雇用では一部で求人の動きがあることから上昇。
先月に続き、前政権の政策を継続したことによるマインドの微増が主な要因となっている。また、上げ幅は先月より縮小しているのが気になるところ。

景気マインドはようやく昨年夏の状況付近まで回復、か?
それでは次に、それぞれの指数について簡単にチェックをしてみよう。まずは現状判断DI。

景気の現状判断DI
↑ 景気の現状判断DI

今回発表月分では幸いにも先月比でマイナスのものは無し。家計・企業で伸び率はほぼ同列だが、数字そのものはほぼ40を超えており、天井に近い動きの感はある。

続いて景気の現状判断DIを長期チャートにしたもので確認。主要指数の動向のうち、もっとも下ぶれしやすい雇用関連の指数の下がり方が分かりやすいよう、前回の下げの最下層時点の部分に赤線を追加している。

2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)
↑ 2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)

グラフを見ればお分かりのように、2008年後半以降いわゆる「リーマン(ズ)・ショック」をきっかけに、直近過去における不景気時代(ITバブル崩壊)の水準を超えて下落。2008年12月でようやく下落傾向が落ち着く状態となった。「各数値が1桁、あるいはゼロに限りなく近づくのでは」という懸念もあったが、2009年1月には横ばい、多少の上昇を見せ、2月以降は上昇が続いていた。今月も、3か月前に見せた「ジェットコースター感覚の下落」と比べればわずかであり、リバウンドに過ぎない感もあるが、上昇しているのが分かる。ようやく昨年夏の水準に戻ったというところか。

・今年に入り、
下落傾向から反転の傾向。
・「雇用と全体の下落逆転」は
確認ずみ。
・合計のDIは現状においては
02-03年の不景気時代の
最悪期よりは良い状態。
・政策や円高などを起因とする
不安感から低迷状態は継続?
「前回(2001年-2002年)の景気後退による急落時には、家計や企業、雇用動向DIの下落にずれがあった。それに対し、今回の下落(2007年後半-2008年中)では一様に、しかも急速に落ち込んでいる」状態だったことはグラフの形から明らか。そしてその現象が「世界規模で一斉にフルスピードで景気が悪化した」状況で、ズレすら許されなかったことを表しているのは、これまでに説明した通り。連鎖反応的に襲い掛かった数々のマイナス要素(いわゆる「金融(工学)危機」)が、多種多様な方面において一斉に悪影響を与えた様子が数字、そしてグラフにも明確に表れている。今更ながら一部で「当時の日本の政策がいけない」という意見もあるが、一国があがいてもどうにかなるものでは無い。

今年に入ってからの動きは、2001年後半以降の大底からの反転・再下落の動向をなぞっているともいえる。この傾向が景気回復における「通過儀式」なら、直近の天井付近で「雇用関連指数」と「合計全体指数」の交差が発生し、そこから再びしばらく(過去なら2002年半ば)は軟調さが続き、もみ合いながら景気の復調が見られることになる。

今月発表分では4か月前に見られた「直近における天井感からの下落」の傾向がひとまず停止し、反発を見せている。さらに4か月前の時点で「交差」現象は確認済み。前回の傾向を踏襲するとすれば、これからしばらくは雇用情勢は直前と比べて多少の回復が見られるものの、全体的には景気がさらに悪化することになる。

景気の先行き判断DIについても、前回よりさらに伸び方を縮めたものの、増加した。

景気の先行き判断DI
↑ 景気の先行き判断DI

現状判断同様にプラス項目数だけとなったものの、先月2ケタの伸びを見せた飲食関連が1ケタに戻っている。また、製造業の伸びがギリギリでプラスなのもきわどいところ。現状指数より先行き指数の方が低いという状況は「見通しの暗さ」を意味しており、残念な話ではある。

2000年以降の先行き判断DIの推移
↑ 2000年以降の先行き判断DIの推移(前回不景気時の雇用関連の最下層に位置する赤線は当方で付加)

総合先行きDIはすでに2008年後半の時点で、2001年後半時期(前回の不景気時期)における最下方よりも下値に達していた(青線部分)。これはそれだけ先行きに対する不透明感が強かった、かつてない不安感を多くの人が感じていたことを示している(同時に株価同様に「半年-1年先を見通している」という先行指数そのものの意味をも裏付けている)。それ以降は横ばいか少しだけの上げで推移していたが、2008年10月で大きく底値を突き抜けてしまった。この傾向は「現状判断指数」と変わらない。株安や景気の悪化(「リーマン(ズ)・ショック」)が、ただでさえ大きな不安感の中にある人々の心境をさらに追い落とし、家計や企業の先行き心理にマイナス影響を与えたのかが分かる。晴天の霹靂どころか雷雲の中のカマイタチ状態である。

今月は全体的にプラスを見せたが、具体的要件を確認する限りにおいては、リバウンドの域を出ていない。現状同様、ようやく昨年夏の水準に戻ろうとしているところか。企業の値に50を超えるようなものが出てくれば、回復度もホンモノなのだが。

そしてしばしば触れているが、「現状」同様に景気の上昇・安定時における「雇用指数が全体指数を大きく上回る」、そのシグナルとなるクロス・逆転現象が「先行き」でも確認できている。今月は4か月前のコメントで予測した通り、「現状」「先行き」共に、景気動向が次なるステップに進んだとほぼ断じてよい。つまり、しばらく上昇・下落を繰り返しながらの低迷が継続するということだ。ただ昨今の触れかたはパターンをたどるというより国内外の情勢に大きく左右されるところが多い感もあり、予断を許さないところではある。

今月の上昇で、3か月前に懸念された「大規模な下げを起因とする景気の『底抜け』感」は回避された雰囲気が見られる。ここまで戻れば、先の急降下の分は取り返したところか。とはいえ、諸外国と比べれば「周遅れ」的なところは否めない(株価動向だけを見てもそれは明らか)。

ネット要因、既存悪材料の要素低下でプラスに
発表資料には現状の景気判断・先行きの景気判断それぞれについて理由が詳細に語られたデータも記載されている。簡単に、一番身近な家計(現状・全国)(先行き・全国)に関して事例を挙げてみると、

■現状
・国内旅行は閑散期ということもあり、相変わらず低調である。しかし、外国人観光客は中国人、特に富裕層が増加してきていることから、客単価が上昇しており、売店、レストランでの消費も増えている(観光型ホテル)。
・新型インフルエンザ流行が弱まり、来客数が回復傾向にある(一般レストラン)。
・月前半は寒い日が多く、前月よりも重衣料の動きが良くなって、月後半には逆に暖かい日が続き、春物の動きがかなり目立っている。衣料は全体的に久しぶりに気候に応じた動きが見られる(百貨店)。
・インターネット経由の問い合わせは、ここ数か月で明らかに増えている(近畿=住宅販売会社)
・2月は雪や雨の日が多かったため、客足が伸びず売上が下がってしまった。同業他社も同様で、皆おおよそ2-3%は下がっているとのことである(スーパー)。
・利益を度外視したような低料金の店に客が流れており、3か月前に比べて来客数は減少している(美容室)。

■先行き
・高速道路料金引下げによる効果が前年に引き続き継続することを期待している。韓国など外国からの団体客が増加してきており春以降もある程度継続する(テーマパーク)。
・エコポイント制度継続と今後の新商品への期待はあるが、商品単価が上がらなければ前年を上回ることはできない(家電量販店)。
・前年比3%前後の来客数減少傾向は、しばらく続く。来客数減が売上減に直結するため、夏場までの売上は厳しい(コンビニ)。
・車の需要期である2-3月を過ぎて、4-5月に入ると、モデルチェンジもなく、リコール問題が足を引っ張って販売動向に影響する(四国=乗用車販売店)。
など、小売業全体にまん延している価格下落圧力、消費者の節約志向やそれに伴うチキンレースもどきの状態が確認できる。一方で気候の変動や新型インフルエンザの鎮静化、インターネットの有効活用、旧正月に起因する外国人らの来訪がプラスに働いているのは喜ばしい話ではある。ただ、リコール問題をはじめとした新たなネガティブ要素が確実にボディーブローを効かせているのは気になるところ。

さらに詳細は元資料で確認してほしいのだが、【調査結果のPDFファイル】では、全国の「現状判断」の回答のうち3分野それぞれについて、5つの回答区分(◎良、○やや良、□不変、▲やや悪、×悪)の中で回答者数の多い上位3区分(雇用関連は上位2区分)の判断理由として特に着目した点について、直近3か月分の回答者数推移が掲載されている。ここでは「家計」と「企業」のものを掲載する。ここ数か月これらのグラフを掲載しているが、今回初めてようやく「やや良くなっている」が盛り込まれるのが確認できた。

↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……家計動向関連
↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……家計動向関連

↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……企業動向関連
↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……企業動向関連

2月は企業・家計共に「(やや)悪くなっている」が減り、「変わらない」が増加している。つまり「さらなる下落」が止まり、悪い状況で安定化する兆しが見えているようにもみえる。また、企業で「やや良くなっている」がわずかながら増加を見せているのが喜ばしいところ……ではあるが、その勢いはまだ小さな芽に過ぎない。



金融危機による市況悪化で
景気感は一挙に急降下。
耐久消費財の値上げや雇用喪失など
実体経済への傷も深い。
海外の不景気化も影響し、
外需中心の企業も大きな痛手。
内需中心の企業にも波及する。
「底打ち感」による「回復の兆し」も
見られたが、政治要因を起因とする
不安要素がまん延、拡散。
デフレ感は強まり、
前回不況パターンと同じ道を
歩むことになるのか。
先行きが見えないのが痛い。
一連の「景気ウォッチャー調査」に関する記事中でも繰り返し指摘しているように、今回の景気悪化(と復調)は、2001年から2003年にわたった「景気悪化」と「その後の回復」パターンを踏襲する様相を見せている。各種景気の循環説にも合致しており、振幅の違いはあれど、予想通りに状況は進むものと推定される。現時点では(下げ幅こそ違えども)着実にその状況を継続中。

実証されつつあるこの仮説が正しければ、すでに最大の底値は脱しており、今後は比較的短期の再下落を経て、横ばい・回復基調が続く可能性は高い。実際すでに「現状」「先行き」ともに、本格的な上昇の事前現象である「全体指数を雇用関連指数がクロスして大きく上向く」の先駆けともいえる「クロス」現象が確認でき、今月もその状況が続いている。あとはこれが継続、下落傾向に至れば、パターン踏襲がより確実なものとなる。

複数の調査機関の調査結果からも、昨年夏以降は政局・政策・金融市場の観点で、控えめに表現しても「混乱を起因とした不安感の助長と、その結果もたらされる景気後退」にあることが数字となって表れている(実は時間の調整がつかず分析が繰り延べされているのだが、【商品を買う・サービスを利用する意欲、「今秋」以降下落傾向へ】で紹介した「消費行動に関する調査結果」の最新データが届いている。それを見ても、昨年夏-秋以降、明らかに「流れ」が変わったのが改めて確認できる)。

さらにパターン踏襲云々や上記の問題以外にも、国内では3月末で各種(特に中小企業向けの救済的)時限立法が終了することやその代替案がほぼ皆無であること、DI値を支える一因となった薄型テレビの価格下落に歯止めがかからず売り手側が悲鳴を挙げていること、国外では西側隣国諸国の経済問題、ヨーロッパの中小国における債務問題の悪化(直近ではギリシア)など、火種を複数カウントすることができる。

今後は海外・国内を問わず経済・政治動向を各自が見極め、既存の概念や過去の情報収集ツールが発する情報に振り回されることなく、「正しい情報」を元にした正しい判断を自分自身の頭で行う必要がある。「おや?」と思ったら躊躇することなく情報のソースをたどり、自分の頭を使って考えねば、「講釈師」の舌先三寸の言葉に惑わされることになる。そして景気の流れを慎重に見守り、そして自分の責任と信条に従い、行動する必要があるだろう。

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