完全失業者として計上されない「仕事をしたいけど求職活動をしなかった」人の推移をグラフ化してみる

2010/03/08 06:57

先の3月2日付の記事【前年比マイナス32万人、派遣社員受難時代到来…非正規社員の現状をグラフ化してみる】などで触れているが、総務省は2010年2月22日付で同省公式サイトにおいて、2009年の労働力調査(詳細集計)の速報結果を発表した(【労働力調査(詳細集計) 平成21年平均(速報)結果:発表ページ】)。そこには過去数年間における、日本の労働環境や雇用問題における各種データが盛り込まれており、精査に値するものが多数盛り込まれている。今回はその資料から、「仕事をしたいけど求職活動をしなかった」についてチェックを入れてみる。要は「完全失業者」には数えられない、一部では「隠れた失業者」と呼ばれている人たちのことである。

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おおもとのデータは「労働力調査(詳細集計) 平成21年平均(速報)結果」の資料一覧中、「グラフを用いた解説・全文」から。ちなみに「完全失業率」とは【辞めさせられたけど再就職をあきらめる人が増えている!? 統計局の「完全失業率の急上昇」をざっと読み通す】でも説明している通り、「完全失業者÷労働力人口×100(%)」。統計局の場合には「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人。一部では認定されない。

この条件に一つでも当てはまらない、現在雇用されていない人は「非労働人口」ということになるが、2009年の非労働人口は4422万人。そのうち「就業希望者(就業を希望しているものの、求職活動をしていない人)」は471万人となり、前年比で17万人増加。これは6年ぶりの増加となる。

↑ 非労働人口のうち就職希望者合計の推移(万人)
↑ 非労働人口のうち就職希望者合計の推移(万人)

単に「非労働人口のうち就職希望者」といっても色々な理由がある。「この不景気では就職活動をしても無理そうだから、あきらめるか」という人、「身体を壊してしまって、静養をしなければいけないナ。就職したいんだけど……」という人、「子供が生まれるので難しいな」という人、個々の理由はあるだろう。

そこで、その内訳を示したのが次のグラフ。「非労働人口のうち就職希望者」で一番注目されそうな、「適当な仕事がありそうにない」という人は163万人。「非労働人口のうち就職希望者」全体に占める割合は34.6%と1/3強を占めている。

↑ 非労働力人口のうち就業希望者の内訳(万人、2009年)
↑ 非労働力人口のうち就業希望者の内訳(万人、2009年)

この「適当な仕事がありそうにない」について、さらにその内訳を細かく確認し、その推移を示したのが次のグラフ。実は「今の景気や季節では仕事がありそうにない」以外は年々漸減傾向にあり、唯一「今の景気や季節では仕事がありそうにない」のみが景気動向に大きく反応して上下している。

↑ 非求職理由のうち「適当な仕事がありそうにない」の内訳別にみた、就業を希望するが就職活動はしていない「非労働人口」の推移(万人)
↑ 非求職理由のうち「適当な仕事がありそうにない」の内訳別にみた、就業を希望するが就職活動はしていない「非労働人口」の推移(万人)

完全失業率が話題に登る際に「完全失業率には『景気が悪くて就職活動をあきらめた人』は入っていない。だから本当はもっと失業率・失業者は上のはずだ」といった類の話を耳にする。2009年の完全失業者数は336万人だから、それなりに大きな値ではある。また、2008年の11万人と比べると2倍以上に増加しており、景気動向を見て求職活動をあきらめた人が急増しているのも分かる。

それらの観点で考えれば、現在の雇用情勢は2002-2003年における「前回の不景気」の水準にほぼ等しい値であることが推測できる。ただし、例えば「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」は2002年時と比べて13万人減少、「近くに仕事がありそうにない」は15万人減少しており、単に理由がスライド化しただけ(あるいは具体的な条件を模索する前に、「不景気だからなあ……」とばかりに求職活動を早期にあきらめてしまった)可能性も否定できない。

ともあれ、完全失業者・失業率絡みで「就業を希望するが就職活動はしていない非労働人口」についてチェックをする際には、その内情の変移についても確認をしておく必要がある、ということだ。

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