1割強は非正規社員やその希望者…若年層の非正規従業員やその希望者の推移をグラフ化してみる

2010/03/04 05:30

2010年3月2日に掲載した記事【前年比マイナス32万人、派遣社員受難時代到来…非正規社員の現状をグラフ化してみる】などでもその値を用いているが、総務省は同年2月22日、2009年分の労働力調査(詳細集計)の速報結果を発表した(【労働力調査(詳細集計) 平成21年平均(速報)結果:発表ページ】)。2009年、さらには2009年を含む過去数年間の、日本の労働環境や雇用問題における各種データが盛り込まれおり、興味深い結果といえる。今回はその資料から、「若年層の非正規従業員やその希望者の推移」、言い換えれば「パート・アルバイト」+「派遣社員」の推移についてチェックを入れてみることにする。ちなみに「若者層」とは15歳から34歳を指す。

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おおもとのデータは「労働力調査(詳細集計) 平成21年平均(速報)結果」の「グラフを用いた解説・全文」を用いている。そのデータによれば、2009年平均の若年層における「非正規従業員やその希望者」(厳密には「男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者」、「非正規の職員・従業員として雇用されている」「完全失業者で探している職種が非正規の職員・従業員」「非労働人口で、家事も通学もしていない人のうち、就業内定をしておらず、希望する仕事の形式が非正規の職員・従業員」のいずれかに該当するものと定義づけている)は324万人。これは3年連続の減少である。

↑ 「若年層の非正規の職員・従業員及びその希望者(完全失業者+非労働人口)」の推移(万人)
↑ 「若年層の非正規の職員・従業員及びその希望者(完全失業者+非労働人口)」の推移(万人)

仕事をこなしていく中で財産や経験、技術を蓄積していくことを考えれば、若年層の時点で「積み重ね」のボリュームが正社員と比べて少ない傾向を持つ非正規社員の立場なのは、(本人が望んだものでない限りは)辛い状況に違いない。その観点では単純に考えれば若年層の「若年層の非正規の職員・従業員及びその希望者」が減少しているのは喜ばしい話かもしれない。

しかし一方で【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2009年版)】で触れているように雇用者全体の失業率は上昇中で、「非正規社員が減った分、正社員が増えたわけではない」。

※参考:全年齢層における、雇用形態別にみた雇用者推移(役員除く、万人)
※参考:全年齢層における、雇用形態別にみた雇用者推移(役員除く、万人)

・非正社員数は減少中
・しかし正社員が
増えたわけではない
・派遣が大量に解雇され
正社員を望むが果たせない人が
増加している
むしろ【前年比マイナス32万人、派遣社員受難時代到来…非正規社員の現状をグラフ化してみる】で説明したように、派遣社員の相当数が解雇され、そして正社員としての就職を望んでいるが実際には就職出来ない(あるいは就職活動をあきらめた)人が増加しているのが大きな要因といえる。

なお同年齢層の”人口に占める”割合は1割強代を維持している。「非労働力人口」も含めての数字なので注意してほしい。

↑ 「若年層の非正規の職員・従業員及びその希望者」の若年層人口に占める割合の推移
↑ 「若年層の非正規の職員・従業員及びその希望者」の若年層人口に占める割合の推移

若年層の雇用不安定化はそのまま経済的不安定にもつながる。当然(若者層全体の平均)可処分所得も減る。その観点からだけで考えれば、正社員と比べて安定度の低い非正社員及びその希望者の人口が減少するのは悪い話ではない。しかし同時に、正社員の数も減り、失業率が上昇しているのでは何にもならない。

「派遣叩き」のように、いわゆる「知識人」と呼ばれる人たちや一部の声量が大きい人たちの扇動にあおられ、叩きやすいものを叩いたのは良いが、その後始末を放置されてしまったのでは、結局痛い目に合うのは当事者ばかりでしかない。まるで手術用のメスを振りまわして患部を開放したものの、それで満足して肝心の手術そのものをしない、ヤブ医者のようですらある(患者本人が、痛い目を見ている当事者なわけだ)。

非正規社員は雇用の調整弁的な役割も持つため、景気後退に伴い数を減らしているのはごく自然の流れかもしれない。しかし数が減少したという表面的な事実と共に、その内面に潜むものにも目を向けて欲しいものだ。

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