若年層の「新聞離れ」は「活字離れ」と無関係

2010/02/28 09:24

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新聞を読む若者イメージ電通子会社のMedia Shakersが運営する、20歳から34歳までの若年層(いわゆるM1・F1層)のマーケティング調査機関であるM1・F1総研は2010年2月25日、「若者と新聞」に関する調査報告書を公開した。それによると調査母体のうち若年層の男性においては、それより上の世代と比べて新聞に接する機会・閲覧機会共に10ポイント前後以上低いことが分かった。しかしその一方、若年層の新聞離れの理由としてよく挙げられる「活字離れ」は見られないデータも明らかにされている。「新聞を読まない若年層は活字離れを起してしまうので、良くない傾向だ」という主張は通らないようだ([発表リリースページ])。


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今調査は2009年11月にインターネット経由で関東1都3県在住の男性に対して行われたもので、有効回答数は1200人。年齢階層はM1層(20-34歳男性)1000人、M2層(35-49歳男性)200人。

【新聞は高齢層、雑誌は若年層、ウェブニュースは壮年層……三者三様の「読みモノ」たち】【20代の4割近くは「新聞を購読せず」】【ついに「テレビよりインターネット」の世代登場・年齢差がきわだつメディアへの接触時間】など多数の調査結果からも明らかなように、若年層を中心に新聞離れが進んでいる。今回調査でも、M1層とM2層の間に「新聞」に対する断絶が生じているのが分かる。

↑ 普段からよく新聞に接している・積極的に新聞を閲覧している(男性)
↑ 普段からよく新聞に接している・積極的に新聞を閲覧している(男性)

今件がインターネット経由の調査であることから、実際にはもう少しかさ上げされるのだろうが、それにしても34歳-35歳を区切りにここまではっきりと違いが出るのも珍しい。特に「普段からよく新聞に接している」はM2層では経年と共に増加する傾向を見せており、これより上の年齢ではさらに数字が増えていくことが容易に想像できる。

では冒頭で触れたように、よく団塊世代が指摘する「若年層の新聞離れは活字離れを生み出す。これは良くない傾向だ」という説は本当なのだろうか。少なくとも今調査結果では、それを否定する結果が出ている。

↑ 活字媒体の平均閲読回数(ひと月当たり、一部抜粋、回)
↑ 活字媒体の平均閲読回数(ひと月当たり、一部抜粋、回)

↑ 活字を読むのは好きな方だ
↑ 活字を読むのは好きな方だ

若年層が書籍や雑誌を読む回数(原文には説明が無いが、読んだ日が何日あるかを示すのだろう)はそれより上の年齢層と比べてそん色無いし、活字を嫌う傾向も見られない。少なくとも「若年層の活字離れ」云々は的外れな指摘であるし、新聞離れと活字離れの関連性も認められない、と見なしてよいだろう。


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