正社員か、それとも非正社員か……雇用形態別の平均賃金をグラフ化してみる

2010/02/28 09:29

非正社員イメージ先に【フルタイムの平均賃金は29万4500円・前年比でマイナス1.5%】で厚生労働省発表の資料を元に2009年における一般労働者(フルタイム労働者。正規・非正規を問わず)の所定内賃金(所定内給与額)について触れた。その資料には色々な面から賃金の流れを知ることができるデータが盛り込まれ、非常に価値が高いものであった。今回はその中から、雇用形態別の平均賃金について、グラフを生成してみることにした。

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今回使用したデータは、2009年における賃金構造の基本統計調査の概要【平成21年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】

なお賃金(所定内給与額)とはあらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額を指す。言い換えれば基本給に家族手当などを足したもの。また「正社員・正職員以外」は契約社員・派遣社員(要は非正社員、非正規社員)などを意味する。パート・アルバイトは一般労働者ではなく短時間労働者に属するため、今件のデータには反映されていない。

↑ 雇用形態区分。今件は「一般労働者」のうち「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の違いをチェックする
↑ 雇用形態区分。今件は「一般労働者」のうち「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の違いをチェックする

まずは2009年における雇用形態別・性別の平均賃金。

↑ 雇用形態・性別平均賃金(2009年、千円)
↑ 雇用形態・性別平均賃金(2009年、千円)

当然の結果ではあるが、正社員などの方が賃金は高い。非正社員の賃金は正社員に比して、男性で6割強、女性で7割ほど。

昨今の不景気を反映してか、賃金も減少傾向にある、はずなのだが……

↑ 雇用形態・性別平均賃金(2009年、前年比)
↑ 雇用形態・性別平均賃金(2009年、前年比)

女性の賃金が前年比で上昇傾向を見せているのは【フルタイムの平均賃金は29万4500円・前年比でマイナス1.5%】で触れた通りだが、このグラフを見る限り正社員・非正社員共にプラスに転じている。女性の平均賃金においては「賃金の低い非正社員を解雇したことによる平均賃金の押し下げ」というより、「女性全体の賃金引き上げ」「女性のうち、平均賃金の高い正社員の雇用率増加」が、女性全体の平均賃金を押し上げている要因なようだ。

一方で男性は両方ともマイナス。特に正社員の下げがキツい。また、正社員・非正社員別に見ると、非正社員の方が下げ率が一様に低いのが分かる。残っている社員においては、非正社員よりも正社員の方が、「昨年と比べ」賃金面で苦しい思いをさせられているということになる。もちろん残業代やボーナスの面では正社員が優遇されているので、「手取り」という点ではまた別の結果となるだろう。

続いてこれらを男女それぞれ、正社員・非正社員別に年齢階層での推移を見たのが次のグラフ。

↑ 雇用形態別平均賃金推移(男性、千円)
↑ 雇用形態別平均賃金推移(男性、千円)

↑ 雇用形態別平均賃金推移(女性、千円)
↑ 雇用形態別平均賃金推移(女性、千円)

男女とも非正社員の賃金は経年にも関わらず横ばい。特に女性は30代前半がピークとなっている。これは正社員における「社内での様々な実績・経験による積み上げ」が非正社員には無い事を意味する。特殊な技術・資格を持ち、それこそ「渡りの職人」のような立場なら話は別だが、普通の非正社員には正社員と同じような「積上げ」を期待できず、結果として賃金もそれ相応のものになるという結果がグラフのカーブに出ている。

なお「非正社員に『社内での様々な実績・経験による積み上げ』を求めない、求められない」傾向は、事業が細分化・広大化している大企業ほどその傾向が強い。構成人数が多いほど、一人ひとりは「オールマイティ」よりも「企業を動かす部品の一つ」であることを求められるわけだ。結果として正社員と非正社員の賃金の格差も、大企業になるほど大きくなる。

↑ 雇用形態別賃金格差(同属性正社員・正職員を100とした場合の賃金)
↑ 雇用形態別賃金格差(同属性正社員・正職員を100とした場合の賃金)

非正社員の賃金は大企業ほど、そして女性より男性の方が、正社員との賃金格差が大きい(小企業では男女がかろうじて逆転しているが)。

49.5%は「非正規社員になりたくない」、「でも自分もなるかも」は29.4%…募る新成人の非正規就労への不安】にもあるように、若年層における非正規就労(つまり非正規社員化)への不安は募るばかり。その原因の一端を、この賃金グラフから知ることができよう。そして賃金の面で不安が高まれば、当然将来への不安も増加し、お金に関して消費を避ける傾向も強まる。若年層をして「お金を使わない」と叱咤する中高齢者(特に団塊世代)が少なからず見受けられるが、その要因がどこにあるのか、なぜ彼ら・彼女らがそのような姿勢を見せるのか。それについて、社会的な状況を把握した上で、言葉を口にしてほしいものである。

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