少子化の影響か、「小学●年生」は2-3割減!?…諸種雑誌部数動向(2009年10-12月)

2010/02/27 10:28

先に【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年10月-12月データ)】などで【社団法人日本雑誌協会】が2010年2月16日に発表した、2009年10月から12月分の主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータを元に、いくつかのグラフを生成した。今データは定期的に更新され、すでに丸一年以上のデータが取得できたため、季節属性にとらわれない「前年同期比」の値を出せるようになったことは、これまでの記事でお伝えした通り。今回は番外編として、【犬と猫、専門雑誌バトルはどちらに軍配が!? その他色々な雑誌部数の変化をグラフ化してみる(2009年7-9月データ)】同様に、当サイトで定点観測しているデータ以外のいくつかの雑誌について、「前年同期比」における部数推移をグラフ化してみることにした。雑誌不況はどこまで、どのジャンルに浸透しているのか、どこまで進行しているのか、ある程度はつかみとれるはずだ。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

まずは一般週刊誌。今期は前期と比べて多少はマシかな……という感じ。

一般週刊誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)
一般週刊誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)

今回計測分については、前期比(前年同期比では無い)でプラスに転じている雑誌は「週刊現代」と「FRIDAYダイナマイト」の2誌のみ。特に前者は前回の「選挙特需」で伸びた余韻を味わっているものと思われる。それにしても2期連続して前年同期比マイナス10%超えを見せた「SPA!」や「FLASH!」などは少々先行きが心配。

続いて育児系雑誌。

育児系雑誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)
育児系雑誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)

育児系雑誌は比較的手堅いジャンルであったはずだが、今期もかなり辛い状況に。「プレモ」は前回同様前年同期比で大きな伸びを見せているが、他はかなり大変な状況。「こっこクラブ」「ベビモ」「edu」は2回連続の前年同期比で10%超えのマイナス。

食・料理・レシピ系雑誌。内食・中食への注力が高まる中で、ニーズは強まるばかり……と思われたのだがフタを開けてみるとあら不思議。

食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)
食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)

開けたフタは「地獄の釜のフタ」だった状態。レタスクラブ以外は全部マイナス。前回同様「bonmerci! little」の減少ぶりが気になる。前回の-34.2%よりはまだ良いが、それでも-19.2%という値は痛い。

エリア情報誌。こちらは「福岡ウォーカー」「北海道ウォーカー」の2紙が新しくデータ掲載対象紙として登場しているが、まだ二期分しかデータが蓄積されていないのでグラフ上には登場しない。

エリア情報雑誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)
エリア情報雑誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)

対象雑誌は前回に続き今回も全部マイナス。特に「東京ウォーカー」の減りっぷりがかえって潔いほど……とコメントが前回と同じになるほど、状況に変化が無い。ただ、「1週間」シリーズがやや息切れした感はある。ちなみにこれらのエリア情報雑誌のうち、印刷実績そのものが一番大きいのは関西ウォーカーの11.8万部。

前回まで記事タイトルにも挙げた「犬猫バトル」こと、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。

犬猫雑誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)
犬猫雑誌印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)

この雑誌不況の中、相変わらず両紙とも堅調な伸びを見せている。今回は「ねこのきもち」が「いぬのきもち」に勝った。直近前期比でも「ねこのきもち」は数を増やしており、猫派には嬉しい話。

最後に小学館の「小学●年生」シリーズ。先に【「小学五年生」「小学六年生」が休刊・来年春に学習まんが誌「GAKUMANPLUS」を創刊へ】で触れたように、「小学五年生」「小学六年生」は休刊となり、データとして提示できるのは「小学一年生」から「四年生」までなのだが。

「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)
「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2009年10-12月、前年同期比)

「小学二年生」がかろうじてプラスマイナスゼロだが、それ以外はすべて2割-3割近くの減少。特に「小学三年生」が-28.7%と3割近い下げ方。このままいくと「三年生」「四年生」も休刊し、「小学一年生」「小学低学年」「小学高学年」というスタイルへの移行という冗談すら真実味を帯びてくるように聞こえてしまう。



以上ざっとではあるが、定点観測の対象外となっている各種雑誌について、前年同期比の印刷実績の推移をグラフにしてみた。「犬猫雑誌」のような例外を除けば、ほとんどが前年同期で1割前後の売れ行き減を見せており、また休刊紙も少なくない。

意外なのはニーズが高いはず(【教育費 生活苦でも 減らしません 苦しい時こそ 子への期待を】などにもあるように子供にかける費用は削られない傾向がある)にも関わらず、育児系雑誌が大きく落ち込んでいること。育児を本で学ぶ人が減っているのか、あるいはインターネットにスライドしているのか、その因果関係まではつかめないが、注目すべき傾向といえる。このあたりは前回述べた話だが、状況が継続しているのが今回確認できたことになる。

お仕置きイメージまた、前回「選挙特需にかこつけて世論をあおりたてて注目を集め、売上増を狙う一部の雑誌」の話をした。目視する限り一部の雑誌ではその「成果」に味を占め、エスカレートする風潮を見せている。これも以前から説明しているように、半ばドーピングのようなもので、繰り返すたびに効用が薄れ、ますます過激なものを生み出す「ネガティブスパイラル」に陥っている感はある。このような姿勢が雑誌業界、あるいは雑誌業界内の特定分野において、直接・間接的に「自業自得」になる可能性は十分にある。

いざ読者が冷静な目を向けるようになった時、「強要されて」「世間が求めていたから」「仕方ないでしょう」という言い訳は通用しない。戦前から戦後にかけての話ならともかく、今はあらゆる媒体が進化し、不特定多数の者によって情報は蓄積され、検索され、検証され得る。「過去のことだからみんな忘れてくれるだろう」と、利益の不当な先取りを見逃してくれるような時代は、すでに過去のものとなっている。

以前のずるがしこいやり方が今も同じく通用すると考えていたのなら、まさに自業自得でしかない。夕飯のハンバーグを親が料理している最中につまみ食いして、いざ夕食時に自分のお皿にキャベツしかのっていなくても、文句はいえないのである。

あるいは20年来の景気停滞の大きな要因である「マイナス思考」への原動力となったメディアの所業(正確にはメディアのシステムそのものでは無く、それを動かしている人たちの一部)に対し、そろそろ「決算」を迎えるべきである、と業界そのもの、あるいは社会の意思全体が動き出しているのかもしれない。


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