20余年間の新聞やテレビ、雑誌やラジオなどの広告費の推移をグラフ化してみる

2010/02/27 10:27

新聞イメージ先に【ネットと衛星のみプラスで全体は前年比マイナス11.5%の5兆9222億円…電通発表の「2009年日本の広告費」をグラフ化してみる】で[電通(4324)]の発表資料【「2009年(平成21年)日本の広告費」(PDF)】を元に、媒体別広告費の変遷をグラフ化した。その記事の掲載後、「新聞の広告費ってもの凄く減ってるんですよね」という意見をいただいた。確かにその後に掲載した【電通資料を元に媒体別広告費の推移をグラフ化してみる(増補版)】などを見てもそれは明らかなのだが、もう少し分かりやすい図で、ひと目で分かるように出来ないかな、と思い、今回は経済産業省のデータを元にグラフを作成してみることにした。

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元データは【経済産業省データを元に媒体別広告費の推移をグラフ化してみる(2009年分)】でも利用した、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」から【長期データ】。これを元に、まずは新聞・雑誌について絶対金額をグラフ化する。

↑ 新聞と雑誌の広告費推移(億円)
↑ 新聞と雑誌の広告費推移(億円)

雑誌と比べて新聞の方が変移が大きい事、ここ数年右肩下がりなのは両紙共だが、特に新聞の下げは今世紀に入ってからすでに起きているのが分かる。

これをもう少し分かりやすいように、データとして残っている一番古い年数の1988年の広告費を1.0とし、その後各媒体がどのような変遷を見せたのかを計算したのが次のグラフ。例えば1988年に1000億円だったのが、1995年に2000億円にまで成長していれば、1995年の値は2.0(2000÷1000=2.0)となるわけだ。これなら各媒体の広告費市場の大きさを気にせずに、個々の市場毎の変遷が把握できる。

↑ 1988年を1.0とした時の主要媒体の広告費推移
↑ 1988年を1.0とした時の主要媒体の広告費推移

「プロモーションメディア広告」は2006年以降「インターネット広告」が引かれていることを考慮してほしい。その上で考察すると、

・新聞はラジオと共に1990年中盤から、他メディアの成長過程に乗り遅れている。その後も下げ方は非常に似通っている。
・雑誌やテレビはプロモーションメディアと共に前世紀末までは同じような成長過程を見せている。
・2000年-2001年、今世紀に入ってから「雑誌とテレビ」と「プロモーションメディア」との間には差ができるようになった。前者は成長を止め、なだらかな下落、後者は成長を続ける。
・2005年以降雑誌とテレビは明らかに減少カーブを発現。しかしプロモーションメディアは景気全体が後退する2007年までは成長を続ける。
・2007年以降は景気後退のあおりを受け、どのメディアも下落。特に雑誌は下げ幅で先行する新聞やラジオに追いつかんばかりのいきおい。

などの傾向が見て取れる。特に注目したいのは2つのターニングポイント。つまり「2000年-2001年」(赤丸部分)と「2004年-2005年」(青丸部分)。後者は【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】で解説しているように、ライバルたるインターネット広告の登場が影響したのは明らか。

もう一つ気になるのは「2000年-2001年」。景気後退期に突入するあたりで広告費が減るのは理解できるが、その後に「雑誌とテレビ」と「プロモーションメディア」との違い・分岐がはっきりと確認できたのもこのタイミング。色々と理由は想定できるが、そのひとつが【携帯電話の普及率推移をグラフ化してみる】で説明している携帯電話(インターネット機能云々は抜きにした)の普及率。ちょうどこの時期に携帯電話の普及率が50%を超え、「二人に一人がケータイ保有」状態となっている。

「携帯電話が普及しはじめたからテレビと雑誌への注力時間、費用投入が減り、結果として購入者減少、媒体力低下、広告費の削減につながった」……と考えるのは、このデータからだけではリスクが大き過ぎる。しかしその一方、要因の一つとしては十分に納得のいく話ではある。



人の一日は24時間しかなく、【働けど働けど……収入と税金の変化をグラフ化してみる】にもあるように、可処分所得はこの十年来ほとんど変化していない。それを考えれば、携帯電話やインターネットに時間やお金を割くようになれば、それより優先順位が低いものへの注力が減らされるのは当然の話。順番としては「元々新聞やラジオは成長を止めていたが携帯電話・インターネットの普及で下落に加速がついた」「テレビや雑誌は携帯電話の普及で成長を止め、インターネットの普及で減退をはじめるようになった」と見てよいだろう。

これらはあくまでも「広告費の売上」ベースでの話。例えば新聞なら新聞自身の売上などのように、他にも収益をあげる手段はいくらでも存在する。とはいえ、広告費をかけてまで広告を載せたい・打ちたいというメディアには、それなりの集客力・媒体力があるわけで、必然的に媒体そのもののセールスなどとも深い関係がある。それを考えれば、今回の「広告費推移」も、各個の媒体の勢いの動向と大きな差異はないものといえよう。

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