東洋経済は目に留まる特集記事が奏功…ビジネス・マネー系雑誌部数動向(2009年10月-12月データ)

2010/02/25 07:12

【社団法人日本雑誌協会】は2010年2月16日、2009年10月から12月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、各紙が発表している「公称」部数より正確度が高く、各雑誌の現状を「正確に」把握できるデータといえる。今回は当サイトのメインテーマにもっとも近い「ビジネス・マネー系雑誌」についてデータをグラフ化し、前回からの推移を眺めてみることにする。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

それではまず、2009年の10-12月期とその前期、2009年7-9月期における印刷実績を見てみることにする。

2009年10-12月期と2009年7-9月期によるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績
2009年10-12月期と2009年7-9月期によるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績

【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年10月-12月データ)】の週刊少年ジャンプの郡を抜く売れ行きのように、雑誌名通り「プレジデント」が断トツで印刷部数が多い状況に変化はない。また、いわゆる「季節特性」(前期が夏期休暇を含むので通勤・通学の際に読まれる雑誌は減少している分、今期は増加傾向が見受けられる)は、一部の雑誌に影響が出ているようだ。ただ、減らしている雑誌もあり、特性云々はさほど影響を与えていないもよう。大きな動きと言えば「週刊東洋経済」が売上を伸ばして順位を上げ、「ビジネスアスキー」がデータ非公開に踏み切ったためグラフからは姿を消したくらいか。

続いて各誌の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化する。要は約3か月の間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すもの。よほどの「イベント」が発生するか、あるいはたまたま定期的な印刷部数見直し時期に当たらない限り、3か月間で大きな変化は見られないはず。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)
雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)

今期においては前期比プラスは4誌。特に「THE21」と「週刊東洋経済」の伸びが頼もしい。前者は『2009年10月10日発売の11月号』で気合いの入った25周年記念号を出したことや、その次の『12月号』でウェブ利用者にも興味を引かせるような「仕事が速くなる「ウェブ&パソコン」術」が特集に掲載されたのがポイントだったようだ。「週刊東洋経済」はやはり最近ビジネス系雑誌で流行りの「衝撃的なまでに目を引く特集タイトル」が功を奏したのだろうか。該当期間だけでも『中古大解明』、『年金激震』、『本当に強い大学』など、思わず目に留まるタイトルが踊っている。

さて一連の定点観測を続けたことでデータ蓄積量も一年分を超え、「前年同期比」のデータを算出することができるようになった。今回も「季節属性」を考慮しなくても済む「前年同期比」のグラフも生成し、掲載する。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)

不景気な昨今において経済誌は「情報武装をするために欠かせない『武具』」としての立ち位置を持っている気もするのだが、売れ行きを伸ばしている雑誌は少ない。プラスは週刊東洋経済のみ。マイナス5%超えの赤棒グラフは4誌。特に「オール投資」「¥en SPA!」あたりは見ていてヒヤヒヤするレベルのもの。スピード感やマルチメディアによる情報の見やすさという点では太刀打ちできない、インターネット系メディアに読者を奪われているのだろうか。



2008年秋の「リーマンブラザーズショック(リーマンショック)」を天井にする形で、金融・経済系のウェブサイトにおける(確証度・知名度・権威度の高い新聞社・法人系サイトを中心にした)アクセスの増加傾向は速度をゆるめている。あるいは減少に転じたところもあるだろう。しかしパソコンや携帯電話、各種モバイル端末からアクセスできるインターネットメディアへの、紙媒体からの読者移行の流れは留まるところを知らない。特にリアルタイムで情報が変わる経済系ジャンルにおいては、雑誌の不利さは他のジャンル(漫画や趣味系の雑誌)の比では無い。

頑なに古い体制ばかりのみを固持することなく、この現状を認め、「それでは紙媒体・雑誌ならではの内容、雑誌にしかできない情報提供・読者へのサービスとは、そしてその仕組みとは何だろうか」という基本原理に立ち返ること。さらにその答えを見つけ出して躊躇することなく実践し、読者に受け入れられるように自らの姿かたちを変えていくこと。ビジネス・金融・マネー誌にはその「進化のための努力」が求められているに違いない。


■関連記事:
【ビジネス・マネー系雑誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年7月-9月データ)】

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