2010年02月19日
少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年10月〜12月データ)
2010年02月19日07:21
【社団法人日本雑誌協会】は2010年2月16日、2009年10月から12月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、業界の動向を示す正確度は、各紙・各出版社が発表している「公称」部数よりはるかに高い。今回は、読者層を考慮してもっとも興味がそそられるであろう「少年・男性向けコミック誌」のデータをグラフ化し、前回発表分データからの推移を眺めてみることにする。具体的なデータは、【直近が2009年10月〜12月のもの】。前回の記事【少年・男性向けコミック誌の部数の変化をグラフ化してみる(2009年7月〜9月データ)】ではデータが2009年7月から9月のものだったので、それから3か月が経過したことになる。登場する冊子数はいずれも「1号あたりの平均印刷部数」で、印刷証明付きのもの。つまり「この部数を間違いなく刷りました」という証明がついたもので、雑誌社側の「公称部数」ではなく、また「販売部数」でもない。雑誌毎に季節による売上の変動や個別の事情(人気連載の終了、開始、折り込み付録etc.)があり、そのまま比較すると問題が生じる雑誌もあるが、その場合は個別で説明していくことにする。どこまで雑誌数の印刷(≒販売)部数が変わっているが気になるところ。
まずは少年向けコミック誌。週刊少年ジャンプがトップにあることに違いはナシ。

2009年7〜9月期と最新データ(2009年10〜12月期)による少年向けコミック誌の印刷実績
「ジャンプ」は直近データで287万9167部。販売実数はこれよりも少なくなるので、前回と同じく250万部前後だろうか。いずれにしても雑誌不況の中、驚異的な値であることに違いは無い。
前回から加わった講談社の「月刊少年ライバル」以外に、一度データが非公開になったため除外されていた「月刊少年シリウス」が返り咲いている。これは2期連続してのデータ公開が確認されたため、再編入したもの。
また今回は後に改めて触れるが、大幅に部数を増やした雑誌がいくつか見受けられる。特に大きく伸びたのが「少年エース」と「別冊コロコロコミックススペシャル」。前者は『涼宮ハルヒの消失』の付録攻勢(特に2010年2月号の「朝比奈みくるフィギュア」)やアニメ『そらのおとしもの』関連記事による特需が原因と思われる。
続いて男性向けコミック誌。こちらも世間一般のイメージ通りの印刷部数展開。

2009年7〜9月期と最新データ(2009年10〜12月期)による男性向けコミック誌の印刷実績
こちらは少年向けコミック誌と比べれば大きな変化はない。休廃刊・情報非開示・新規参入となった雑誌はないが、全般的にマイナス傾向が続いている。これは前回分データにも見られた動きで、季節特性云々を別にして男性向けコミック誌の購入対象層の購買力が落ちているのではないかという懸念がますます真実味を帯びてくる。
さて、一応最新期とその前の期の印刷部数を棒グラフ化したわけだが、続いてこのデータを元に各誌の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化してみることにする。短期間の変移ではむしろこちらのデータの方が重要だろう。
要は約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すものだ。なお当然ながら、今回データが非開示となった雑誌、今回はじめてデータが公開された雑誌はこのグラフには登場しない。

雑誌印刷実績変化率(少年向けコミック誌)
引きを強めた3紙が飛躍。
他紙はやや軟調。
続いて男性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(男性向けコミック)
プラスを記録したのは、「コミック乱ツインズ」「コミック乱ツインズ戦国武将列伝」の2紙のみ。他はいずれもマイナス。季節属性を考えれば、今期はむしろプラスとなる雑誌がもう少し増えてもよいはずなのだが。多少減少幅が前期の同グラフと比べて縮小しているように見えるが、その程度しか影響がないのかもしれない(あるいは季節属性によるプラス以上に、雑誌そのものの減退が進んでいるということなのか)。
さて一連の定点観測を続けているおかげで、過去のデータを用いた「前年同期比」のデータを算出することができるようになった。今回もいわゆる「季節属性」を考慮しなくても済む「前年同期比」のグラフも掲載する。

雑誌印刷実績変化率(少年向けコミック誌、前年同期比)
上記のグラフと比べると掲載紙が少なくなっているが、これは「最新期でデータ未公開の雑誌」「過去一年分のデータがそろっていない雑誌」は除外しているため。前者はともかく後者は、「前年同期」のデータが無いのだから仕方がない。
このようにしてみると、一部の勝ち組雑誌「コロコロコミックス」「週刊少年ジャンプ」など超メジャー紙以外は、ほぼすべての雑誌で苦戦を強いられているのが分かる。特に週中発売の二大週刊誌「週刊少年マガジン」「週刊少年サンデー」の両誌、中でも後者の現状が気になるところ。さらに今期・前期との差異も大きかった「少年サンデースーパー」における、前年同期での下落ぶりは特筆すべきものといえる。前回も同じ言い回しを使った気がするが、あと何回続けられるだろうかという心配すらしてしまう。
続いて男性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(男性向けコミック誌、前年同期比)
「ヤングアニマル嵐」「コミック乱」など前期比のグラフでもそれなりに堅調な一部雑誌以外は、軒並み5%以上の大きなマイナス値。しかも少年むけコミック誌の「少年サンデースーパー」のような突飛な雑誌があるわけではなく、一様に下げているのが分かる。それだけ男性向け雑誌が売れなくなっているということなのだろう。
今回参照したデータのうち「単純前期比」においては、前期が夏休み中のために「通勤途中で買われやすい雑誌ほど売れない傾向」を見せ、やや特異な(マイナス的)データとなった可能性がある。それだけに今期は(その反動で)ある程度の増加が期待できたのだが、いざフタを開けてみるとさほどのものではなく、「前期比マイナスの雑誌が多数」という状況に変わりは無かった。
特に男性向けコミック誌が、相当危険な状態にあることが確認できる。損益分岐点などを考えれば、「前年同期比で印刷部数がマイナス10%超え」を繰り返していたのでは、そう遠くないうちに立ち行かなくなるのが日の目を見るよりも明らかだからだ。
【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】で触れているが、総務省統計局のデータによれば、雑誌・週刊誌では書籍同様に「購入する人がいる世帯の減少」「購入者の購入冊数の減少」と多元的な雑誌離れが起きている。今データを見る限りではサラリーマンにおいて、その傾向が顕著なものとなっていると考えることができよう。
■関連記事:
【少年・男性向けコミック誌の部数の変化をグラフ化してみる(2009年7月〜9月データ)】
【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】
これらの書籍が参考になります
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