【更新】1年間で114万部減……新聞発行部数動向(2010年発表・暫定版)

2010/02/18 07:17

先日、新聞の発行部数・販売部数に関する問い合わせを読者の方からいただいた。おそらくは【新聞の販売部数などをグラフ化してみる(上)……全体編】【新聞の販売部数などをグラフ化してみる(下)……主要全国紙編とオマケ】を読んだ上で疑問が思い浮かんだのだろう。一通り回答した後で、「そういえばもう2010年になったことだし、データの更新もされているのではないだろうか」ということで、調べ直してみたところ、案の定一部データは2009年分の実情が反映されたものとなっていた。そこで今回は、情報が更新されたものについてグラフを作成しなおし、新聞の現状を見つめ直すことにした。

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まずは全体的な値。【社団法人 日本新聞協会】内の【「新聞広告データアーカイブ」】から各種データを取得する。現時点では1999年-2009年までのデータが取得可能。ただしこちらには以前からの取得データもあるので、グラフは1997年以降のものが生成できる。

最初に作るのは新聞そのものの発行部数の推移グラフ。ちなみに朝刊と夕刊を共に取っている家庭においてはそれを「1部」として換算している。

新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)
新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)

割合にしてはさほど大きなものではないが、先の記事の直近データからさらに部数を減らしているのが確認できる。具体的には減少部数は(1年間で)113.85万部・2.21%ほど。

続いて減少率著しいスポーツ紙のみでグラフを再構築。

スポーツ紙発行部数(万部)
スポーツ紙発行部数(万部)

カンナかヤスリでじりじりと身を削られていくような感がある。ちなみにこの1年の減少部数は23.5万部・4.76%ほど。

次に各年の住民基本台帳を元に世帯数を割り出し、新聞発行部数と比して「1世帯あたりの新聞部数」を算出したグラフを。

1世帯当たり部数
1世帯当たり部数

以前の記事で「1世帯当たりの部数が1部を割り込んでしまった」という危機的状況について言及したが、その傾向はさらに加速化する感がある。これは部数の減少と共に、【「お年寄りがいる家」のうち1/4・414万世帯は「一人きり」】などで解説しているように、核家族化・世帯構造の変化によって、世帯数そのものが増加しているのも少なからぬ要因となっている。その上【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】でも言及したように、購入世帯数そのものが減っているのだから、「1世帯当たりの部数」が減って当然というもの。

世帯の型別主世帯数(×1000世帯)(再録)
世帯の型別主世帯数(×1000世帯)(再録)

次はデータが取得できる範囲での発行部数の前年比を、全体、および一般紙とスポーツ紙にわけてグラフ化しておく。少々衝撃的な内容なので、心して見るように。

新聞発行部数前年比
新聞発行部数前年比(全体)

新聞発行部数前年比
新聞発行部数前年比(一般紙とスポーツ紙それぞれ)

スポーツ紙は押し並べて前年比マイナス数%を継続しており、不調ぶりがここ数年の傾向では無かったことが分かる。特に今年は下げ幅が直近では2002年に次ぐ大きなものとなっている。

一方で一般紙は2004年位までは前年比マイナスプラスを行き来していたが、2005年以降はマイナスのまま推移している。奇しくもこの「2005年」は【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】で触れた、テレビCMの単価低迷傾向が始まった時期と一致する。インターネットの影響が少なからず及んでいることは否定できまい。そして2009年はこれまでに無かったレベルの下げ幅。発行部数は圧倒的に一般紙の方が多く、新聞全体の発行部数を大きく押し下げる主要因にもなっているという次第。下げ幅だけ見れば、2009年における新聞発行部数の減少率は2008年のそれに比べて2.2倍と考えることすらできてしまう。



……と前回の記事ならここで「下編」に続き、主要全国紙の朝刊販売数に関する分析に入るはずなのだが、【読売新聞社の広告ガイドページ】をはじめとしたデータ取得元を見ても、データが更新された気配は無い。別ページの【自社月次レポートページ】に「2010年2月15日発行の「新聞発行社レポート」(日本ABC協会)から」、日本ABC協会の【予定一覧】に「2月5日新聞・半期レポート(09年7-12月)発行」とあるので、そう遠くないうちに2009年後期における各種データが更新される「はず」。逐次チェックを入れて、もし新しいデータが反映されたら、その時に再度お知らせすることにしよう。

ともあれ、新聞販売部数が全体的に減少を「加速度的に」続けていることには違いない。【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】で解説したように、新聞そのものを取らなくなった世帯が増えているのだから、仕方ないといえばそれまでの話。また、スポーツ紙の急激な減少は、2002年の際の同様の減少の一因である「不景気によるもの」はもちろんだが(ただしそれでは2008年の減少率が穏やかだった説明がつかない)、それ以上に内容の劣化(特に昨今は一部メジャー紙で妄想まがいのコピーが躍るのを良く見かける。当然いつも大量に売れ残っている)、さらには携帯電話など「ちょっとした時間の暇つぶし」に使えるメディアが増えたことなどが大きな要因といえる。

なお【新聞の販売部数などをグラフ化してみる(下)……主要全国紙編とオマケ】の「オマケ」部分で言及した、新聞業界の2大問題点「広告費の押し下げ」「押し紙問題」については、見聞きした限りではほとんど変化・進展はないようだ。発行部数が急速な下落を見せているのも、あるいは新聞業界が根本的な自浄体質を持たない構造だからなのかもしれない。先のスポーツ紙ではないが、余りにもお粗末な内容の記事が満ちあふれている状況を見ると、その想いも否定することはかなわないというものだ。

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