受注などが持ち直し…2010年1月景気動向指数は2か月連続の上昇、先行きも2か月連続の上昇

2010/02/09 12:10

内閣府は2010年2月8日、2010年1月における景気動向の調査こと「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによると、各種DI(景気動向指数)は相変わらず水準の50を割り込んでいる状況には変化はないものの、現状は2か月続いて上昇した。先行き指数も2か月連続の上昇傾向を見せている。基調判断は厳しい表現である「景気は、下げ止まっていたものの、引き続き弱い動きがみられる」となった(【発表ページ】)。

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「ややよくなっている」が微増、「良くなっている」は減少
文中・グラフ中にある調査要件、及びDI値についてはまとめのページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】にて解説している。そちらで確認のこと。

2010年1月分の調査結果は概要的には次の通り。

・現状判断DIは前月比プラス3.4ポイントの38.8。
 →2か月続いての上昇。「やや良くなっている」が微増、「変わらない」が増加、「やや悪くなっている」が減少。
 →家計においてはエコポイント付与による薄型テレビなどの家電販売や環境対応車両への減税措置などが功を奏し、上昇。企業は販売価格の引き下げ圧力は強いが、受注などが持ち直しを見せていることから上昇。雇用は企業側態度が慎重ではあるが、一部で求人に動きがあったことから上昇。
・先行き判断DIは先月比プラス5.6ポイントの41.9。
 →2か月連続のプラス。
 →家計ではエコポイントの継続や環境対策自動車の購入にかかわる減税・補助金制度の継続への期待でプラス。企業では受注増への期待で、雇用では一部で求人の動きがあることから上昇。
先月に続き、前政権の政策を継続したことによるマインドの微増が主な要因となっている。

景気マインドはリバウンド? 持ち直し??
それでは次に、それぞれの指数について簡単にチェックをしてみよう。まずは現状判断DI。

景気の現状判断DI
↑ 景気の現状判断DI

先月比マイナスのものを青色で囲ってみたが、今月は飲食関係の1項目だけに留まっている。変化分の絶対値は家計部門がやや大きめで、企業部門は1ポイント前後少ない値。ただ、数字そのものはすでに企業部門がほぼ40を超えており、天井に近い動きの感はある。

続いて景気の現状判断DIを長期チャートにしたもので確認。主要指数の動向のうち、もっとも下ぶれしやすい雇用関連の指数の下がり方が分かりやすいよう、前回の下げの最下層時点の部分に赤線を追加している。

2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)
↑ 2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)

グラフを見ればお分かりのように、2008年後半以降いわゆる「リーマン(ズ)・ショック」をきっかけに、直近過去における不景気時代(ITバブル崩壊)の水準を超えて下落。2008年12月でようやく下落傾向が落ち着く状態となった。「各数値が1桁、あるいはゼロに限りなく近づくのでは」という懸念もあったが、2009年1月には横ばい、多少の上昇を見せ、2月以降は上昇が続いていた。今月も、2か月前に見せた「ジェットコースター感覚の下落」と比べればわずかであり、リバウンドに過ぎない感もあるが、上昇しているのが分かる。

・今年に入り、
下落傾向から反転の傾向。
・「雇用と全体の下落逆転」は
確認ずみ。
・合計のDIは現状においては
02-03年の不景気時代の
最悪期よりは良い状態。
・政策や円高などを起因とする
不安感から低迷状態は継続?
「前回(2001年-2002年)の景気後退による急落時には、家計や企業、雇用動向DIの下落にずれがあった。それに対し、今回の下落(2007年後半-2008年中)では一様に、しかも急速に落ち込んでいる」状態だったことはグラフの形から明らか。そしてその現象が「世界規模で一斉にフルスピードで景気が悪化した」状況で、ズレすら許されなかったことを表しているのは、これまでに説明した通り。連鎖反応的に襲い掛かった数々のマイナス要素(いわゆる「金融(工学)危機」)が、多種多様な方面において一斉に悪影響を与えた様子が数字、そしてグラフにも明確に表れている。一国があがいてもどうにかなるものでは無い。

今年に入ってからの動きは、2001年後半以降の大底からの反転・再下落の動向をなぞっているともいえる。この傾向が景気回復における「通過儀式」なら、直近の天井付近で「雇用関連指数」と「合計全体指数」の交差が発生し、そこから再びしばらく(過去なら2002年半ば)は軟調さが続き、もみ合いながら景気の復調が見られることになる。

今月発表分では3か月前に見られた「直近における天井感からの下落」の傾向がひとまず停止し、やや落ち着きを見せている。さらに4か月前の時点で「交差」現象は確認済み。前回の傾向を踏襲するとすれば、これからしばらくは雇用情勢は直前と比べて多少の回復が見られるものの、全体的には景気がさらに悪化することになる。

景気の先行き判断DIについても、微量ではあるが増加した。

景気の先行き判断DI
↑ 景気の先行き判断DI

プラス項目数だけとなり、特に飲食関連が2ケタの伸びを見せている。もっとも先月、先々月とあわせて15ポイントの下落が起きていたので、その反動もあるのだろう。積極的な先行きへの期待感というよりは「前政権からの政策継続」「さらなる景気後退への動きが鈍った」という消極的な事象によるものだろうか。

2000年以降の先行き判断DIの推移
↑ 2000年以降の先行き判断DIの推移(前回不景気時の雇用関連の最下層に位置する赤線は当方で付加)

総合先行きDIはすでに2008年後半の時点で、2001年後半時期(前回の不景気時期)における最下方よりも下値に達していた(青線部分)。これはそれだけ先行きに対する不透明感が強かった、かつてない不安感を多くの人が感じていたことを示している(同時に株価同様に「半年-1年先を見通している」という先行指数そのものの意味をも裏付けている)。それ以降は横ばいか少しだけの上げで推移していたが、2008年10月で大きく底値を突き抜けてしまった。この傾向は「現状判断指数」と変わらない。株安や景気の悪化(「リーマン(ズ)・ショック」)が、ただでさえ大きな不安感の中にある人々の心境をさらに追い落とし、家計や企業の先行き心理にマイナス影響を与えたのかが分かる。

今月は全体的にプラスを見せたが、具体的要件を確認する限りにおいては、リバウンドの域を出ていない。企業の値に50を超えるようなものが出てくれば、回復度もホンモノなのだが。

そしてしばしば触れているが、「現状」同様に景気の上昇・安定時における「雇用指数が全体指数を大きく上回る」、そのシグナルとなるクロス・逆転現象が「先行き」でも確認できている。今月は3か月前のコメントで予測した通り、「現状」「先行き」共に、景気動向が次なるステップに進んだとほぼ断じてよい。つまり、しばらく上昇・下落を繰り返しながらの低迷が継続するということだ。ただ今回の上昇が、前回の2002年中半期のもの(A)に相当するのか、2003年前半期のもの(B)に合致するのか、今月分のデータだけでは判断がしにくい。この二、三か月は注意深く動向を見守る必要がある。

今月の上昇で、2か月前に懸念された「大規模な下げを起因とする景気の『底抜け』感」は回避された雰囲気が見られる。とはいえ、諸外国と比べれば「周遅れ」的なところは否めない。

安価商品が良く売れる
発表資料には現状の景気判断・先行きの景気判断それぞれについて理由が詳細に語られたデータも記載されている。簡単に、一番身近な家計(現状・全国)(先行き・全国)に関して事例を挙げてみると、

■現状
・新春初売で受注獲得が大きく進み、最終の週末フェアを残して、今月の受注は前年実績を越えている。目標台数には達成しなかったが、前年比、前々年比も確実に大きく改善している(乗用車販売店)。
・初商いの来客数は昨年以上だったが、売上は前年並みである。福袋は昨年より減少し、客は必要なブランド、アイテムのみの購入にとどまっている。クリアランスセールもまとめ買いが少なく、吟味した買い方が目立っている(百貨店)。
・エコポイント制度の効果もあって薄型テレビの販売台数は好調であるが、単価の下落が激しい。エコポイント制度の対象以外の商品は、単価、販売量共に悪化気味であるなど、客の財布のひもは固い(家電量販店)。
・客の来店周期が長くなり、また、格安店に流れているようで、かなり節約志向が強まっている(美容室)。
・飲料メーカーによる価格値下げがあり、対象商品は際立って売れ出し、価格低下への反応が如実となっている。飲料に限らず、米飯等も同様な傾向があり、これまでと違い、値ごろ感の無い商品は売れない(コンビニ)。
・高額商品が売れにくくなっている。今までは3割引となった時点で購入していた客も、半額になるセールまで待っている(衣料品専門店)。

■先行き
・住宅版エコポイント制度の普及により、買い控えしていた顧客が今を買いどきと考えて動きだしそうである(住宅販売会社)。
・3月からの入塾の問い合わせが昨年以上にある。一方、授業料が払えず、塾をやめるという生徒も昨年に比べて少し多くなっている(その他サービス[学習塾])。
・宿泊は旧正月を迎えるアジアからの団体客が好調であり、稼働率も前年比で10ポイント以上上がっているが、単価が下がっているため、売上は前年並みが精一杯の状態である。一般宴会は、今年に入って間際予約が動き始めている(都市型ホテル)。
・原油価格の上昇に加え、春闘の賃上げが望めないことなどから、先行きへの不安感は強まる(その他専門店[食品])。
・大手企業の輸出関連が活発に動き出してきたため、これから先の受注見通しに多少明るさが出てきている(電気機械器具製造業)。
・急激な景気回復は望めないが、徐々に新規テナントの入居に関する問い合わせも出始めているため、少し明るい見通しが持てる(不動産業)。
・軽油高が先行きどうなるのかわからない状況や、デフレ傾向の中で消費が冷え込んでいる状況では、急転して改善するとは思われない(輸送業)。
・公共工事では、学校関連の耐震工事が、現在のところほぼ計画どおりに順調に発注されているが、予算削減が取り沙汰されており、今後の減少を心配している(建設業)。
・道外からの業務請負の求人が少しずつ戻りつつあるなど、上向きになってきている業種がいくつか出ているが、小売業や個人向けサービス業は底ばいの状況であり、全体的にはまだまだ上向く気配が感じられない(求人情報誌製作会社)。
・雇用調整助成金の休業等実施計画届の提出件数は、横ばいである。新規提出件数は減少したが、前年から継続して提出している事業所が多い(職業安定所)。
など、小売業全体にまん延している価格下落圧力、消費を極力抑え自己防衛に走る傾向の一つ「巣ごもり」現象などが多くの事例で確認できる。一部で売上件数の前年・前々年比でプラスという威勢の良い意見も確認できるが、単価が低いため売上としてはさほど大きな伸びにはつながっていないもよう。正直、これらのコメントから、今月のような上昇幅の数字が出たことに目を疑いたくもなる面もある。

さらに詳細は元資料で確認してほしいのだが、【調査結果のPDFファイル】では、全国の「現状判断」の回答のうち3分野それぞれについて、5つの回答区分(◎良、○やや良、□不変、▲やや悪、×悪)の中で回答者数の多い上位3区分(雇用関連は上位2区分)の判断理由として特に着目した点について、直近3か月分の回答者数推移が掲載されている。ここでは「家計」と「企業」のものを掲載する。

↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……家計動向関連
↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……家計動向関連

↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……企業動向関連
↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……企業動向関連

1月は企業・家計共に「(やや)悪くなっている」が減り、「変わらない」が増加している。つまり「さらなる下落」が止まり、悪い状況で安定化する兆しが見えているようにもみえる。



金融危機による市況悪化で
景気感は一挙に急降下。
耐久消費財の値上げや雇用喪失など
実体経済への傷も深い。
海外の不景気化も影響し、
外需中心の企業も大きな痛手。
内需中心の企業にも波及する。
「底打ち感」による「回復の兆し」も
見られたが、政治要因を起因とする
不安要素がまん延、拡散。
デフレ感は強まり、
前回不況パターンと同じ、
さらに「前回パターンより悪化」の
可能性も。
一連の「景気ウォッチャー調査」に関する記事中でも繰り返し指摘しているように、今回の景気悪化(と復調)は、2001年から2003年にわたった「景気悪化」と「その後の回復」パターンを踏襲する様相を見せている。各種景気の循環説にも合致しており、振幅の違いはあれど、予想通りに状況は進むものと推定される。現時点では(下げ幅こそ違えども)着実にその状況を継続中。

実証されつつあるこの仮説が正しければ、すでに最大の底値は脱しており、今後は比較的短期の再下落を経て、横ばい・回復基調が続く可能性は高い。実際すでに「現状」「先行き」ともに、本格的な上昇の事前現象である「全体指数を雇用関連指数がクロスして大きく上向く」の先駆けともいえる「クロス」現象が確認でき、今月もその状況が続いている。あとはこれが継続、下落傾向に至れば、パターン踏襲がより確実なものとなる。

気になるのは3か月前にも指摘した、直近の国内要素によるマイナス作用が予想以上に大きかったこと。11月は下げるであろう予想はしていたものの、その予想をはるかに上回る急速な下落ぶりとなった。今月1月分は先月の「来月以降も上昇を見せれば良いのだが」の期待に応える形で(?)上昇を見せたものの、これで一安心というわけにはいかない。

複数の調査機関の調査結果からも、昨年夏以降は政局・政策・金融市場の観点で、控えめに表現しても「混乱を起因とした不安感の助長と、その結果もたらされる景気後退」にあることが数字となって表れている。一部上場企業の短信の中には、実名を挙げて名指しでその動向を非難するという、前代未聞の文言も見られるほどである。

さらにパターン踏襲云々や上記の問題以外にも、国内では3月末で各種(特に中小企業向けの救済的)時限立法が終了することや、DI値を支える一因となった薄型テレビの価格下落に歯止めがかからず売り手側が悲鳴を挙げていること、国外では西側隣国諸国の経済問題、ヨーロッパの中小国における債務問題の悪化など、火種を複数カウントすることができる。

今後は海外・国内を問わず経済・政治動向を見極め、既存の概念や過去の情報収集ツールが発する情報に振り回されることなく、「正しい情報」を元にした正しい判断を自分自身の頭で行い、景気の流れを慎重に見守り、そして行動する必要があるだろう。

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