新聞や雑誌の買われ方はこの10年でどのように変化したのか……週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(追補編)

2010/02/08 12:10

立ち読みイメージ先に【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(上)世帯や一人あたりの金額推移】で総務省統計局の統計データを元に、主要紙媒体の平均的な購入頻度や金額などについて、中長期的な視点から見たグラフを生成し、その傾向を推し量った。その際に少々気がかりな数字の動きが見られたため、色々と計算をし直したりグラフを新たに作ったところ、もう少し突っ込んだ形で傾向らしきものを確認することができた。今回はその件についてまとめてみることにする。

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データの取得方法は【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(上)世帯や一人あたりの金額推移】で詳しく説明している通り、【家計調査(家計収支編)調査結果】からのもの。このうち購入世帯率や購入頻度にスポットライトを当てる。

なお「購入世帯数」は純粋に購入者がいた世帯の割合。そして「世帯購入頻度」は世帯単位での購入頻度。例えば誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%になる。また、今回は「前年比」を算出するため2000年までさかのぼってデータを取得した。

要は「今世紀に入ってから、新聞や雑誌・週刊誌などの主要紙媒体の買われ方はどのように変化したのかな」ということを知るために、前回とは見方を変えてグラフ化しようというもの。まずは「購入世帯率の前年比」をグラフ化する。

↑ 主要紙媒体の購入世帯率前年比(%)
↑ 主要紙媒体の購入世帯率前年比(%)

「購入世帯率」については、それぞれの媒体で1年か2年、飛びぬけて増加する年が見受けられる。ただしそれ以外は一様に軟調。例えば新聞は2002年の7.82%プラスを除けばほぼ横ばいかマイナス、雑誌・週刊誌も2004年の4.14%プラスをのぞけばマイナスで推移するばかり。これらの傾向を見るに、「世帯レベルで紙媒体離れが進んでいる」と見ることができる。例えば通勤時に週刊誌を買っていた御父さんが買わなくなったり、新聞の朝刊を取るのを止めたり、という具合だ。

続いて「購入頻度」の前年比。こちらは一定世帯数で均した上で、どれだけの回数購入されているかを示したもの。

↑ 主要紙媒体の購入頻度前年比(%)
↑ 主要紙媒体の購入頻度前年比(%)

全体として見た場合、「書籍」は水面下(前年比でマイナス圏)の年が多く、低迷しているのが分かる。これについては新聞も同様。2002年以外はマイナス圏がほとんど。他方、「雑誌・週刊誌」は起伏が大きく、それなりに奮戦しているようにも見える。もっともこの10年の間に「雑誌・週刊誌」で前年比プラスを見せたのは3年のみ。マイナス域の年の下げ幅が大きいため、10年間では18.80%のマイナスとなっている。

さてこれらのデータは、統計局からの提供時点では「%」ではなく「100世帯あたり何世帯」「10000世帯あたり何世帯」という形で提供されている。例えば新聞の2000年における購入頻度は「100世帯あたり年次で1136世帯分」という次第。これを12か月で割ると、「毎月新聞を購入しているのは、100世帯あたり94.7世帯」となるわけだ。

そこで上記2つのデータを元に、「購入世帯における」購入頻度を算出してみることにする。そもそも論として「購入をしない世帯では購入頻度はゼロ」であることを考慮すれば、「購入している世帯の購入頻度」も算出できる次第。

↑ 購入世帯における購入頻度(月次)(回)
↑ 購入世帯における購入頻度(月次)(回)

「購入世帯・者の」購入頻度は、「雑誌・週刊誌」がじわじわと減少を見せている以外はほとんど変化が無い事が分かる。2009年で「雑誌・週刊誌」がやや持ち直しているが、これは2007-2008年の不景気時の反動レベルでしかなく、2006年水準までには戻っていない。

これらのデータをまとめると、2001年以降においては、

・世帯レベルで紙媒体離れが進んでいる
・一定母体内においては、購入回数が減少している
・「購入者」がいる世帯の購入頻度は、「雑誌・週刊誌」が漸減している以外はあまり変化がない

傾向にあることが分かる。要は「購入層の購入頻度が減った」のではなく、「購入者(世帯)そのものが減った」わけだ。忙しくなったり価格が高くなったから定期的に購入する冊数を減らす、例えば「毎週マガジンとサンデーを買っていたのをマガジンだけにしよう」、というパターンは少なく、「ケータイなどで時間つぶしができるから週刊誌そのものを買わなくてもいいや」という人が増えていることになる(もっとも週刊誌・雑誌は他媒体とはやや異なり、「購入世帯そのものの減少」「購入世帯における購入頻度の減少」が同時に起きているものと思われる)。

もちろん雑誌そのものの生産コストや販売価格、中間マージン、そして絶対的販売数(今回挙げたデータは一定母体数内の割合や、世帯あたりの頻度を示したものであり、業界全体の販売数とは別)も、業界の推移を考察するには欠かせない。ただ今回示した購入者・世帯の購入傾向も、業界動向を知る上では重要な要素の一つといえよう。

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