週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり

2010/02/06 08:56

書籍購入イメージ先に【1か月の購入金額は155円!? 週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる】で記した、平均的な世帯の「週刊誌や雑誌などに費やす金額」のグラフの拡大展開版の下編。上編に続き、こちらでは購入頻度や購入世帯率の推移をグラフ化してみることにする。つまり「どれくらいの世帯が新聞や雑誌を買っているのかな」というものだ。

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グラフデータの取得方法は「(上)」で説明した通り。ただ、購入頻度や購入世帯率は【家計調査年報(家計収支編)】で掲載されている「以降」のものしかない。そこで21世紀という区切りが良いように、2001年以降のデータを抽出し、グラフを生成する。

なお「購入世帯数」は純粋に購入者がいた世帯の割合。そして「世帯購入頻度」は世帯単位での購入頻度。例えば誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%になる。

まずは主要紙媒体の購入世帯率を世帯単位で示したのが次のグラフ。各年ごとに、世帯単位で該当媒体を買った人がいるかいないかの割合

↑ 主要紙媒体の購入世帯率(世帯単位)
↑ 主要紙媒体の購入世帯率(世帯単位)

「新聞」の世帯普及率は2002年の78.56%を天井に、毎年少しずつ、しかし確実に減少している。今では「4世帯に1世帯は新聞を取っていない」状態。一方で「雑誌・週刊誌」「書籍」「その他の印刷物」も少しずつだが確実に減少を続けている。雑誌などはこの9年で3ポイント強ほど減ってしまった。購読世帯率で換算すれば、11.5%の減少。……結構大きな値である。

続いて購入頻度。こちらは月ベースで、世帯当たりどれくらいの世帯が各媒体を購入しているか否かを示したもの。新聞の場合は自宅に投函してもらうタイプは「1か月分の契約」で1購入と換算するので注意が必要。31日分投函してもらったから3100%となるわけではない。

↑ 主要紙媒体の購入頻度(世帯単位、月あたり)
↑ 主要紙媒体の購入頻度(世帯単位、月あたり)

2005年までは新聞の世帯頻度が100%近い状態だったが、それ以降は少しずつ、しかし確実に低下を続けているのが確認できる。母体数が大きいから、数としては膨大なものになるはずだ。先の「購入世帯率」と見比べてみると、世帯購入分がそのまま購入頻度の低下にもつながっていることが分かる。つまり駅売りなどで販売される新聞には「大きな」変化は無いようだ。

他の紙媒体も状況的にはさほど変わらないが、「雑誌・週刊誌」が2009年に多少持ち直しを見せているのが気になる。この値は「金額」ではなく「購入されたか否か」を示すから、この業界にとってはポジティブな話といえる。先の「購入世帯率」と合わせて考えると、雑誌や週刊誌を購入している人が、その冊数を増やしたとも考えられる。

もっともいわゆる「金融(工学)危機」の影響を受けた2007年・2008年に大きく減退しており、それの反動と言えなくもないのが残念なところ(直近の景気後退以前の2006年における52.92%と比べると、2009年の49.67%はまだ低い値)。

「購入頻度」と「購入世帯率」の関係が分かりやすいように、「新聞」「雑誌・週刊誌」「書籍」それぞれについて抽出し、再構成したのが次のグラフ。

↑ 新聞の購入頻度と購入世帯率推移
↑ 新聞の購入頻度と購入世帯率推移

↑ 雑誌・週刊誌の購入頻度と購入世帯率推移
↑ 雑誌・週刊誌の購入頻度と購入世帯率推移

↑ 書籍の購入頻度と購入世帯率推移
↑ 書籍の購入頻度と購入世帯率推移

前述したように新聞は「世帯購入」の減少がそのまま購入頻度の減少につながっている形。一方で雑誌・週刊誌や書籍は購入世帯率以上に購入頻度の減少傾向が強く、「購入者も購入冊数を減らしている」ことが推し量れる結果となっている。また、こちらも前述したが、雑誌・週刊誌の2009年の値においては「購入頻度が上昇」「購入世帯数が減少」という傾向を見せており、「雑誌や週刊誌離れは進行中だが、購入者の購入冊数はわずかながらも増えている」ことを意味している。



以上、上下に分けて総務省統計局の統計データを元に、平均的な世帯における主要紙媒体の購入動向をグラフ化した。昨今、特にこの2、3年においてはこれらの媒体の不調ぶりがクローズアップされているが、多かれ少なかれその傾向ははるか昔からみられていたことが見て取れる。昨今の問題は昨日今日に始まったものではなく、前々から存在していたものが顕著化しただけに過ぎないというわけだ。

また、最後のグラフ群のうち「新聞」「雑誌・週刊誌」の推移を見れば分かるのだが、2005年あたりを境に、特に「購入頻度」の値が減少傾向を強めている。景気後退はもう少し先なので、この減少の理由を考えると、やはり携帯電話をはじめとする携帯情報端末の普及が少なからず影響していることが想像できる。

それとは別に基本的な問題として、「平均すると一か月・一人あたりの雑誌や週刊誌に費やす金額」は昔からさほど変わりなく、この20年に限っても100円玉1枚に10円玉を何枚上乗せできるか否かという程度であることが分かる。先の記事でも「これしか買われていないのか」と驚きの声を挙げる人もいたが(当方含む)、それはあくまでも出版関係者や普段週刊誌を買っている立場の人からの感想でしかないことになる。その観点で考えると、「一人でも多くの人に定期的に購入してもらうこと」がいかに大切か、重要かが理解できると共に、毎週数百万部を売り上げる一部週刊誌の偉大さが(【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年7月-9月データ)】によれば直近データでは、少年・男性向けコミック誌においては、ジャンプとマガジンが100万部を超えている)、改めて分かるというものだ。

(終)

■一連の記事:
【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(上)世帯や一人あたりの金額推移】
【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】

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