「広告スペース」を広告にする広告

2010/02/02 05:01

広告スペースを広告にする広告イメージ1997年に創立したアメリカのアパレルブランドに【カルマ(Karma)】というものがある。社会の日常や風習への反発心、そして自己主張や自己表現を強くイメージするTシャツやアクセサリーなど、いわゆる「ストリートファンション」を数多く輩出しており、日本でもその一部を入手することができる。ブランド名は創設者の一人Brad Bones Tounsentの口癖(「学問や推薦など知ったことか」)の頭文字を取ったものだ。その「カルマ」がインドネシアで展開したのが、広告スペース(広告枠)そのものを広告にしてしまうという、いわば禅問答的な広告だ(【Ads of the World】)。

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↑ 「広告がここに入りますよ」
↑ 「広告がここに入りますよ」

元々カルマでは独自デザインのTシャツを販売する以外に、お客が好きにデザインできるタイプのTシャツも取り扱っている。そこでそれを逆手に取り、「自分をアピールできる広告を入れられるような、オリジナルのデザインTシャツが作れますよ」という形で「広告募集中・広告枠」のようなTシャツを創り、関係者に着せて街中を徘徊させたわけだ。

何らかの特殊なデザイン、奇抜な絵柄をプリントしたTシャツを着て歩いても、それは一つのビジュアルとしか認識されず、見た人は「自由にデザインしたTシャツを作れる」というところまで考えが及ばない。たとえ着ている本人の顔写真をプリントしても、「そういうデザインもあるのだね」で思考が止まる。万一「オリジナルTシャツだな」までたどり着けても、そういったサービスを利用した人がいたのか、という認識で終わってしまう。

しかし「”あなたの”広告をここに入れて」とTシャツのメッセージでアピールすることで、「自分で広告が打てる……ということは好きな絵柄をプリントできるのか」と見ている人に考えを及ばせられる。Tシャツに広告を打つという発想は奇抜だし、「あなたの」という呼びかけで「自分でも広告出せるの?」とつい関心を寄せてしまう。そしていつの間にか、オリジナルデザインのTシャツが創れるサービスへと発想が誘導されるわけだ。もちろんTシャツにはカルマのロゴがあるので、「カルマでなら好きな絵柄のTシャツが創れるのか」という結論に落ち着くことになる。

↑ 「あなたの肖像画」(左)、「あなたのプロフィール」(右)というパターンもある
↑ 「あなたの肖像画」(左)、「あなたのプロフィール」(右)というパターンもある

肖像画もプロフィールも含め、実際に自分の広告などをデザインとして頼んでTシャツを作ってもらう人は滅多にいないだろう。しかし「Tシャツに広告」「自分で広告を打てる?」という奇抜な発想で提案されることにより、オリジナルTシャツに興味関心が沸いてしまう。まさに「広告スペース」そのものを「広告」として使い、「広告スペース」ではなく広告スペースにもなりうる別の商品を売り込んだというわけだ。

それに……万一本当に「その広告枠を買いたい」という人が現れたら、希望のデザインをプリントしたTシャツを創り、Tシャツごと「広告枠」を買い取ってもらえば良いだけの話である(笑)。

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