東京都におけるインフルエンザ報告数をグラフ化してみる(2010年1月27日版)

2010/01/28 07:09

インフルエンザ定点観測イメージ【東京都感染症情報センター】は2010年1月27日、2010年第3週(1月18日-1月24日)時点での東京都内医療機関におけるインフルエンザ(季節性・新型双方合わせた)の疾病報告数定点観測データを公開した。報告数は前週と比べて増加を見せてはいるが、数としては昨年末の夏-秋におけるピーク値にははるかに及ばず、全体的な停滞傾向を継続している。直近では事態は安定状態にあるものと思われる(【定点報告疾病集計表・週報告分データ】)。

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まずは感染症名を「インフルエンザ」(新型インフルエンザ+季節性インフルエンザ)に設定し、「5年間比」をクリックした上で「更新」をした結果が次のグラフ。

東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(2010年3週目も含めた過去5年間)
↑ 東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(2010年3週目までも含めた過去5年間)

数週間前から発表データが2010年のものに更新されているため、最新データは赤色に違いはないものの、一番左に移行している(矢印・丸で囲った部分)。数字の動きとしては前回よりはやや増加をし、2008年パターンに近い傾向を見せている。ただし報告数そのものは少なめで、2007年の事例を除けば数においても2008年と類似している。

例年の患者数推移傾向と比較して、「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれている可能性も考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加の時期は過ぎ、現在低迷・安定段階にあると断じてよい(※専門家による言及ではないことに注意)。もちろん引き続き警戒を有する状況には違いない。また、すでに【東京都も新型インフルエンザに関する流行警報を解除しており】、これもまた事態の鎮静化を裏付ける一要因として見ることができる。

今データからだけでは判断できないが、例年のパターンと比較すると、そろそろ季節性インフルエンザの流行が始まっているはず。しかしこの段階でもインフルエンザ報告例の多くは「新型インフルエンザによるもの」と思われる。実際に国立感染症研究所の【発表データ】で確認すると、いまだに検出されたインフルエンザウイルスのほぼすべてが新型インフルエンザのものであることが分かる。もちろん、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まる時期なので、新型が大部分とはいえ、新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていかねばならない。

一部報道によれば(【Experts say pandemic could have a silver lining if it knocks out other viruses】【インフルエンザ 消えた!?「季節性」 「新型」の勢いにおされ淘汰…】、そして直近では【Seasonal Flu Rates Lower Than Usual(KPBS)】)、専門家の間では「今年度は新型インフルエンザの流行で免疫学的・予防の面で季節型インフルエンザの流行が相当抑制される可能性がある」とのこと。実際に上記の「国立感染症研究所」のデータもそれを裏付けていることもあり、今後の動向に注目していく必要がある。また、最後のKPBSの報道によれば、

「今年は季節性インフルエンザの流行が見られない。米カリフォルニアの州公共衛生局の専門家の話によれば、パンデミックインフルエンザが流行すると、季節性インフルエンザは追いやられてしまい、流行しない傾向があるという。これは1918年のスペイン風邪流行時にも見られた傾向。ただしインフルエンザは未来予想が難しいため、今冬においては季節性インフルエンザへの警戒を怠ることはできない」

としており、日本だけでなく海外でも同様の現象が起きていること、それが過去にもあったことが確認できる。

各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。ただしその割合は、季節性インフルエンザのそれに近いもの、実質的にほぼ同等の域に落ち着きつつある。

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-53週、2010年3週)
↑ 東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-53週、2010年3週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-53週と2010年3週、積み上げグラフ)
東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-53週と2010年3週、積み上げグラフ)

最新の2010年3週では、9歳未満の患者数「割合」は前週と比べて増加の傾向(36.1%→44.2%)を見せている。昨年の同週と比較すると、年齢階層別では似たようなパターン(年明け以降は若年層が増え、高齢層が減る)をしめし、「新型がほとんどにも関わらず、年齢階層別の感染報告動向は季節性と同じ振る舞い」をしているイメージが強い。

年齢階層別報告数の面でも、「新型が”季節性を食った””季節性に入れ替わった”可能性」は否定できない。今後の検証のためにも報告数動向にはこれまで以上に注意を払う必要がある。もちろん冬場の寒さ・乾燥状態の進行(※ウイルスが広まりやすい)で(新型)インフルエンザの勢いが再び活性化する可能性は「ゼロとは言い切れない」点でも注意が必要。あるいは今現在言われている「新型」は、すでに「季節性」の仲間入りを果たしているのかもしれない。

もちろん以前から繰り返しお伝えしているように、感染拡大の場となりやすい教育機関ではうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならない。これらの実行で、感染拡大は最小限に抑えられるだけでなく、季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす(今年は実際、その効果が表れている)。

対策の重要性を理解しがたい子供達のために、学校で繰り返し啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要がある。寒さの中、体調不良に陥るリスクも高くなる。今まで以上にインフルエンザ対策、及び健康の管理が必要とされる。

さらに過去のパンデミックの事例(先のスペイン風邪など)を見る限り、世界的流行においては、初年度よりも翌年度、つまり今年の方が状況が深刻化する可能性も否定できない。備えと観測は継続する必要があるだろう。

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