投信の分配金、「同じ投信に再投資」が34.6%・高齢者は「生活費や年金、小遣いの足し」に

2010/01/30 09:08

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分配金イメージ野村アセットマネジメントは2010年1月14日、投資信託(投信)に関する意識調査結果を発表した。それによると調査母体のうち投信保有者で分配金をもらっている人においては、「分配金を使わずに同じ商品(投信)に再投資している人」がもっとも多く、34.6%に達していることが分かった。特に中堅男性では半数近くを占めている。一方女性では同じく「使わずに貯めているものの、何か使い道が決まっているわけではない人」が最多数を占め、とりわけ高齢女性陣に強い傾向が見受けられる。また高齢者ほど「分配金を生活費や年金の足しにする」傾向が強まることも明らかになっている(【発表リリース】)。


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今調査は2009年10月5日から8日にかけて事前調査(4万人対象)・同年10月8日から14日にかけて本調査(2069人)をインターネット経由で行った結果。本調査における男女比はほぼ1対1、年齢階層比も30代・40代・50代・60代でほぼ均等割り当て。投資信託の保有・非保有率は約2対1でほぼ均等に各年齢層・性別で割り当てられている。調査そのものはマクロミルが実施した。

今回の調査を行った野村アセットマネジメントでも【専用解説ページで説明している】が、分配金は「金融機関への預貯金で得られる利息」とは似て非なるもの。投信の資産の一部を(運用結果として)受け取っているに過ぎず、あらかじめ利子率が定められた預貯金の利息とは別。そして分配金として各投信所有者に分配された分だけ基準価額が下がるので、一概に「増配=ラッキー」というわけではない。いわばタコ足みたいなものだからだ。

さてその分配金の使い道について、択一で尋ねた(複数の処理方法がある人はもっともメインのもの、という意味だろう)ところ、一番多い回答は「使わず同一商品に再投資」で34.6%を占めていた。3人に1人以上は「同じ商品の買い増しに使う」わけだ。

↑ 分配金はどのように処理していますか
↑ 分配金はどのように処理していますか

次いで多いのは「金融商品に投資するのではなく、現金として貯める。しかし使い道は特に決まっていない」というもの。もらった分配金の分だけ投信の基準価額が下がるから、手放しで喜ぶわけにはいかないのだが、やはり「具体的にリターンがあった」ことの嬉しさをキャッシュで堪能したいのだろう。とはいえ、何か買うものがあるわけでも無く、そのまま現金で維持しているわけだ。

その次に多いのは「生活費・年金・小遣いの足し」。後述するが高齢者になるほどこの傾向が強い。「キャピタルゲイン(購入価格以上の基準価額で売り、差額を利益として得る)は二の次で、分配金のようなインカムゲイン(配当、利子など)をメインに考えている」場合、「生活費・年金・小遣いの足し」を目的として投信を手にしていることが多々ある。半ば「銀行よりも利回りの良い貯金のようなもの」と見ているのだろう。

これを性別・年齢階層別にみると、属性ごとの分配金への見方がよく分かる。

↑ 分配金はどのように処理していますか(択一)(男女・年齢階層別)
↑ 分配金はどのように処理していますか(択一)(男女・年齢階層別)

中堅男性は同じ金融商品への再投資が多い。これはいわゆる「複利の力」を十分以上に知っているのだろう。あるいは単に面倒くさいか、買い下がりなどをして保有数を増やし、売却時のキャピタルゲインの底上げを考えているのかもしれない。これは株式投資などに近い考え方。

50代以降は分配金を
生活費や年金の足しに
している人が多い

投信・分配金を
預貯金や利子と同じものと
考えている!?
一方女性では男性と比べて「使わず貯める・使い道は特にない」の選択肢を選ぶ人が非常に多い。特に50代では最多数を占めている。そう遠くないうちに何かまとまった買い物ができるように、動かしやすい現金資産を増やしたいのだろうか。あるいは日常生活で不測の事態が起きた時のための備えの可能性もある。

もっとも大きな動きを見せているのは、「生活費・年金・小遣いの足し」。歳を重ねるにつれてその割合は増加し、60代になると男女とも30%近くに達する。女性に限れば50代以降は「再投資派」より高い比率を見せている。これは前述した通り、投信の分配金を「一般生活の上での収入源」の一つとして位置付けていることによるもの。繰り返しになるが「銀行よりも利回りの良い貯金のようなもの」と考え、それを実行しているものと思われる。




過去の投資信託関連の記事でも繰り返し述べているが、投信と預貯金とは似て非なるものことに注意してほしい。銀行の預貯金も金融商品の一種だが、リスクは極めて低く、ペイオフの上限までは元本が保証されている。利子はそのまま預貯金残高に加えられるし、預貯金分を下ろしたら残高が元本額から減ってしまったということもない。

一方投信は預貯金よりはるかに高い利回りの分配金が得られる可能性もあるし、基準価額が何倍にも跳ね上がるかもしれない。しかし分配金の有る無しは保証されていないし、分配金の分だけ基準価額は減るし、基準価額自身が数分の一に減少してしまうリスクも存在している。「貯金みたいなものだし、毎月分配金が分配されるし、年利もよさそうだから」という考えで、預貯金では無く投信を手にするのは問題がある。

もちろん「預貯金がOKで投信はダメ」というわけではない。両者が別物で、リスクやリターン、仕組みは別のものであることをしっかりと理解した上で判断し、決めるべきということ。自分のお金なのだから、リスクを取るかリターンを取るか、じっくりと考え、後悔の無い選択肢を選んで欲しいものだ。


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