【更新】会社のコスト削減で減ったもの、トップは「余裕」・次いで「給料」

2010/01/26 05:14

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「余裕」が無い状態イメージNTTレゾナントは2010年1月14日、中小企業に勤める社員を対象とした「コスト削減と働くモチベーション」に関する調査結果を発表した。それによると調査母体(リーマンショック前後以降にコスト削減を実施した企業の社員)において、コスト削減により「余裕を無くした・減った」と考えている社員が55.9%に達している事が分かった。給与の削減を体験している人も46.2%に登っており、物理的・精神的双方で悪影響を実感していることが分かる。また、コスト削減の際に企業側へ配慮・考慮して欲しい点としては「社員のモチベーション」がもっとも多くの人の願いであり、過半数が望んでいることも確認できる。コスト削減による「やる気」の減退を、社員側も懸念しているようだ([発表リリース])。


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今調査は2009年12月18日から21日にかけて、社員規模が10-299人規模の企業に勤める20-30代の社員に対してインターネット経由で行ったもので、有効回答数は524人。年齢階層は20代16.6%・30代83.4%。

同様の条件で企業経営陣からの視点で尋ねた「コスト削減におけるマイナス影響」については【「コスト削減続けます」89.3%、でもそれで経営トップが一番気にしていることは……】などでお伝えした通り。「社員のやる気の減退」、それをきっかけとする業績のさらなる悪化が大きな懸念材料となっている。

一方、実際にコストを削減される現場側の社員から見た、コスト削減によって減ったもの、無くなったものは何だろうか、というのが今回のお話。複数回答で尋ねたところ、もっとも多くの人が「同感」と答えたのは「余裕」で55.9%、過半数に達していた。

↑ コスト削減によって無くなった・減ったものは何ですか(複数回答)
↑ コスト削減によって無くなった・減ったものは何ですか(複数回答)

回答項目は「余裕」という言葉でしかなく、具体的には時間的・空間的・精神的など様々な面での「余裕」が考えられる。とはいえその言葉だけを提示された場合、一般的には「精神的な余裕」とする意味合いがもっとも強い。【「遊び」がメリットである10の理由】で触れた、技術的・精神的躍進のための「遊び」どころか、直近における現状維持のための「遊び」ですら失われていると判断した方が良いだろう(例えば昼休みが今までの半分に減らされたとか、社員食堂が閉鎖されたなど)。

次いで多い回答は、物理的な減少項目である「給料」。さすがに「給料が無くなった」人はいないはずなので「減った」人だけということになるが、調査母体の46.2%がこの2年間で減給を体感している計算になる。

また「会社への忠誠心」「社内コミュニケーション」「お客様との付き合い」など、「余裕」より一層ダイレクトに日常業務に悪影響を及ぼすような項目にも、それなりの回答が行われている。「やる気」の減退による業績悪化が懸念されるし、社員の気持ちが企業側のコスト削減政策に反映されていない・考慮されていない可能性を示唆している。

実際、社員側が「コスト削減をするなら、この点に配慮・考慮してほしい」と考えている項目のトップにも「社員の働くモチベーション」がついている。

↑ コスト削減の際に一番考慮して欲しい点は何ですか
↑ コスト削減の際に一番考慮して欲しい点は何ですか

「モチベーション」は直接数字化されず、姿も見えないため、形式的な評価判断がしにくい。それゆえに「こうではないだろうか」という推測はできるが、それを裏付ける物理的データに欠けるので、モチベーションを維持するための項目はコスト削減の対象にされやすい。先の件なら「社員食堂を廃すれば会社側が負担していた経費が削れるので、毎月●千万のコスト削減につながる」という数字は出せるが、それにより社員側のモチベーションが短期・中長期でどれだけ減退するかまでは数字として表わしにくいというわけだ(社員間のつながりの場が減らされ、個々の社員の昼食代の負担が増える。また社内滞在時間が減り、集中度も減退するなど)。

企業経営陣側としても、直接的に削減される経費だけでなく、社員の心境を把握した上でコスト削減に臨むことが求められよう。


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