大学生の結婚希望率は69.4%、でも出来ない理由とは……若年層の尽きぬ悩み

2010/01/18 07:09

教会イメージ以前【「買いたい」想いは変わらない・大学生はなぜクルマ離れをしているの?】【「クルマなんかいらない!」大学生が思うその理由は!?】で現在の若年層が以前と比べて自動車を購入しない傾向にあること、さらには【外より家、遠出より近所……変わる若年層のライフスタイル】で若年層の現在のライフスタイルに関して、日本自動車工業会の「乗用車市場動向調査」の【2008年版(PDF)】を元に解説を行った。今資料には他にも様々な「現在の若年層(大学生)のライフスタイル」、そしてかつての若者(現在の20-30代・40-50代の大学生当時の心境)との違いを知ることができる、多数のデータが盛り込まれている。資料的価値も高いため、今回はその中から「結婚観」の一端を抽出して再構築してみることにする。

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今調査は2008年11月12日から14日にかけてインターネット経由で行われたもので、現大学生は18-24歳の大学・短大生(1000人)、以前の大学生は現在20-39歳の人が300人・現在40-59歳の人が300人。男女比は現行大学生が57対43、以前の大学生はいずれも1対1。

まず最初に取り上げるのは、各年代層における結婚願望。意外な(!?)ことに昔の大学生よりも今の大学生の方が、結婚願望は強い。

↑ 結婚希望と結婚希望年齢の世代変化(全体ベース)
↑ 結婚希望と結婚希望年齢の世代変化(全体ベース)

結婚願望そのものは強いが、「いつまでに」という観点になると、「27歳まで」は世代別の変化はほとんど無く、むしろ「28歳以降で」の割合が増加している。つまり昔より今の方が、「ある程度歳を取ってから結婚したい人が増えている」ことになる。理由については同資料別項目や、別機関の調査結果【男性より女性の方が婚活には消極的・理由は「一人が楽しい」「他に時間を使いたい」】【「交際相手なんていらない」男性が思う理由は「一人でいるのが楽しい」。けど……】などから、「若いうちはひとりで自由を楽しみたい」「他にお金・時間を使いたい」「結婚生活に向けてのお金が準備できない」という若年層の願望の裏返しにあるものと思われる。つまり「27歳まではフリーな生活を楽しみ(あるいは準備を整え)、結婚はその後」という考え方。

一方で「27歳までに結婚したい」、つまり早期結婚希望者を男女別に見ると、女性の方が早期の結婚願望が大きい。しかし(全体では)「結婚すると自由に使えるお金や時間が減る」などのデメリットも女性の方が強く感じていることが確認できる。

↑ 性別、結婚意識の世代変化(全体ベース)
↑ 性別、結婚意識の世代変化(全体ベース)

この「早く結婚したい現在の若年層ほど、結婚に対するデメリットも強く感じている」というジレンマは、女性の時間・お金に限ったことではない。下記のグラフは元のデータを再構築したもの。

↑ 現大学生における雇用・収入見通しと、結婚意識・結婚の負担感
↑ 現大学生における雇用・収入見通しと、結婚意識・結婚の負担感

これを見ると、

・雇用や収入に対する不安が大きい人ほど、早期結婚を望んでいる(青グラフ)
 ……結婚でリスクを回避しようとする動き
・雇用や収入に対する不安が大きい人ほど、結婚によるデメリットを強く感じている(赤グラフ)
 ……雇用、収入に対して敏感なため、結婚によるマイナス要因に強い印象を持ってしまう

という傾向が見られる。合わせて考えると「雇用や収入不安から結婚したい気持ちは強いが、同時に結婚によるデメリットも強く感じてしまうため、ジレンマに悩まされ、結婚に踏み切れない状況が続いている」ことが想像される。



ある程度財力・時間的に余裕が出来る(はずの)28歳以降で結婚願望が急増すること、若年層での結婚願望が雇用や収入の不安と相関関係にあるらしいことなどを合わせて見直すと、【外より家、遠出より近所……変わる若年層のライフスタイル】の後半部分で触れているように、

社会的配分の点で自分たちより前の世代と比べて恵まれない若年層が、
「結婚」という観点においても現在自分たちがおかれている環境に応じるべく、
考え、行動し、決断している

という意思決定・傾向の結果として、「晩婚化」「婚姻率そのものの減少」が生じているものと思われる(晩婚化傾向、婚姻率については日を改めてデータをグラフ化する予定)。フランクに表現すれば「結婚したいけど、収入も雇用も不安だし、やりたいことたくさんあるし、足場固めてから考えるよ」「結婚すれば収入・雇用の不安も解消できるかもしれないけど、でも自由に使えるお金も時間も減っちゃうから……難しいわね」というところか。要は若年層の雇用・収入不安が、晩婚化や婚姻率の低下、さらには少子化の原因という結論に導かれるわけだ。

「何を当たり前のことを」とあきれる人もいるだろう。確かに言われてみればその通り。しかし各種調査結果による裏付けの上での推論と、「何となくそんな感じがする」上での推論とでは、大きな違いがある。今件記事もその意思に基づいてのものであること(冒頭で「資料的価値も高いため」としたのはそのため)に留意してほしい。

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