2010年03月09日
現役FPが語る「身近なお金の知恵」……ただ取り崩すより、増やしながら取り崩そう
2010年03月09日19:35
前回までは、公的年金をフル活用できる立場であれば、老後資金としてあらかじめ蓄える必要があるのは917万円〜1億997万円と、目指す生活水準によってだいぶ差が出る、という話をさせていただきました。話を簡単にするために、夫婦が自助努力と退職金により、3000万円を蓄えられたとします。60歳以降、月額30万円で生活するとして、銀行に預けた3000万円を取り崩していくとどうなるでしょうか?60歳から65歳までの間は、無収入とします。5年間の出費は、
30万円×12ヶ月×5年=1800万円
よって、65歳の段階で蓄えは1200万円まで減ります。
65歳以降は、モデルケースである月額23万円の公的年金が給付されるとします。この場合、取り崩す金額は7万円になります。もし、1200万円を預貯金のままにして、銀行から引き出す場合、どうなるでしょうか?
1200万円÷7万円=171ヶ月分 約14年
すなわち、65歳以降、14年で預貯金がなくなり、月額30万円の生活を維持できなくなります。夫の平均余命を83歳と想定していますが、79歳の段階で蓄えが尽きる計算です。それでも、年金が維持されているならまだまし、という考え方もできます。
それほどのぜいたくは必要ない、という前提で、月額30万円の生活費を想定していますが、これが余裕のある生活費の平均である38.3万円ならば、もっと早く、蓄えが減少していくのは当然です。上記と同様の計算をすると、3000万円の老後資金は69歳の段階で早くも底を尽きます。
ならば、公的年金の範囲内、月額23万円で生活するべきなのでしょうか?もしくは、蓄える金額を5000万円など、もっと大きくするべきなのでしょうか?
お勧めしたいのが、「3000万円を銀行に預けっぱなしにしない」という選択です。もちろん、現在の低金利が続くなら、という前提です。すなわち、当てにできない預貯金の利子を見限り、別な方法を、運用することを考えましょう、ということです(※実際には、銀行預金金利が上がってくる経済状態では、インフレも起こります。結局のところ、期待運用利回りが銀行預金金利を上回るケースが多くなると思われます)。
仮に、60歳時点で3000万円の蓄えを期待利回り3%で運用しながら、毎月30万円を引き出すことにします。
1年目 残高 2719万2000円(3000万円から年間360万円を引き出し、残りの2640万円を運用。以下同様の計算方法。ただし税金は考慮せず)
2年目 残高 2429万9760円
3年目 残高 2132万752円
4年目 残高 1825万2375円
5年目 残高 1509万1946円
運用しなければ、65歳の段階で残高1200万円。期待利回り3%ならば、65歳での残高は1509万円です。65歳時点の蓄えが、300万円以上異なる可能性が出てくるということです。65歳以降、運用せずに月額7万円を1200万円から取り崩す場合、夫79歳で資金が底を尽きました。1509万円を引き続き3%で運用しながら月額7万円を引き出したらなら、どうなるでしょう? 細かい計算は省きますが、資金は25年10ヶ月引き出せるようになります。妻の余命が88歳までの想定でしたが、90歳まで老後資金が残る計算です。
もちろん、運用にはマーケットの変動リスク、インフレリスク、為替リスクなどがつきまとい、計算どおりにはならないものです。しかし、期待利回り3%というのは、それほど無理な数字ではなく、少し学ぶだけで誰でも享受できる利回りでもあります。
運用しながら資金を使う、という選択肢があること、ご理解ください。
(終)
●筆者紹介
・松本勝晴(まつもと・かつはる)
CFP(R)認定者で独立系ファイナンシャルプランナー。生活に身近な視点からパーソナルファイナンスの重要性を伝授。
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「お金を使いたいなら増やしなさい!」
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※今記事の内容は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
※今寄稿は先生発行のメルマガの内容を再構成したものです。
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