【更新】主要国の対外純資産額をグラフ化してみる

2010/01/04 07:30

資産先に【世界の対外債務国ワースト20をグラフ化してみる】【日本の対外債務は? 世界の対外債務国ワースト20をグラフ化してみる(追補編)】でCNBC.comで掲載されていた、「世界各国の対外債務」に関するデータをグラフ化したところ、いくつかの意見をいただいた。その中に「債務は分かったが債権はどうなのか、つまり債務と債権を相殺したら、やっぱり日本は危ないのではないか」というものがあった。せっかくなのでこの際とばかりに調べてグラフ化してみることにした。

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日本を含めた主要国の対外資産、対外負債、そしてそれらを合算した対外純資産額だが、これは財務省の【平成20年末 本邦対外資産負債残高の概要】で直近データを得ることができる。ちなみに対外(該当国が他国に対する)純資産は「対外資産」プラス「対外負債」で算出可能。そして「資産」「負債」についてはくだんの名著『金持ち父さん 貧乏父さん』の言葉を借りて簡単に説明すると、

・資産……「財布の中にお金を入れてくれるもの」

・負債……「財布からお金を取っていくもの」

となる。イメージ的にはこれが分かりやすい。今件ではさらに国単位で区分した際に「資産……海外に対して色々な形で貸し付けているもの」「負債……海外から色々な形で借り受けているもの」と考えてればよい。

さて「平成20年末 本邦対外資産負債残高の概要」の中から[主要国の対外純資産、為替相場の推移(PDF)]を元にグラフ化した、主要国の対外純資産、つまり対外資産と対外負債を相殺した純資産(マイナスならば純負債)のグラフが次の図。

↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2008年末、*は2007年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2008年末、*は2007年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

ちなみにこれらは民間部門と公的部門を合わせたものの合計。日本に限ればその内訳は【平成20年末現在本邦対外資産負債残高】に記載されており、それをグラフ化したのが次の図。

↑ 日本の対外純資産内訳(兆円、2008年末)
↑ 日本の対外純資産内訳(兆円、2008年末)

大部分が民間による取得であることが確認できよう。

対外負債だけで考えた場合のみならず、純資産で考えた場合でも、日本は一部報道などで喧伝されていたような状況では無かったことが分かる。なぜあのような主張が繰り返されていたのか、非常に理解に苦しむところだ。何か別の目的があったのだろうか(この部分、棒読み)。

日銀でもう少し詳しい資料を
ここで終わりにしてもよいのだが、せっかくだからもう少し突っ込んで、主要国の対外資産・対外負債について調べてみることにした。日本銀行では【調査論文内・本邦対外資産負債残高】で毎年定期的に対外資産・負債の残高を公開している。ここから最新のデータ【2008年末の本邦対外資産負債残高】を元に、先のグラフの詳細版と、資産・負債を合わせたグラフを創ったのが次の図。

↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2008年末、*は2007年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2008年末、*は2007年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

↑ 主要国対外資産、負債残高・純資産(兆円)(公的+民間)(2008年末、*は2007年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外資産、負債残高・純資産(兆円)(公的+民間)(2008年末、*は2007年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

ドイツ、フランス、イギリス、アメリカなどの欧米諸国は資産も負債も山ほど抱えており、そのバランスが少々崩れているせいで多くの国がマイナスに傾いていることが分かる。一方アジアやその他諸国は一般的に資産も負債もそれほど抱えていない。これらの値は他国に対するものだから、いかに欧米諸国が他国との資金のやり取りを活発に行っているかが分かるというものだ。

なお元資料には純資産額のGDP比も掲載されていたので、これもグラフ化しておく。

↑ 主要国対外純資産GDP比(兆円)(公的+民間)(2008年末、*は2007年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産GDP比(兆円)(公的+民間)(2008年末、*は2007年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

香港やスイスがかなり良い線を行っている。無茶なたとえだが、香港の場合すべての債務・債権を清算した場合、香港が1年間に稼ぐ総生産額の2.3倍を手にすることができるという計算だ。一方でブラジルは危険なラインに達しているようにも見える。

とはいえ、無論資産も負債もすぐに換金・償還されるわけではないので、相殺することに深刻なレベルでの意味合いは無い(古切手や古銭、美術品を山ほど抱えていても、大金が必要になった時にすぐに換金できるわけではないのと同じようなもの)。他の値も合わせ、その国の財政状態を概要的に知る程度のものでしかない、状況の改善を模索するための参考資料レベルのものであることに留意しておくべきだろう。

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