50年余りの間の映画館数の変化をグラフ化してみる

2009/12/31 07:22

映画館イメージ先に【50年前の映画観覧料を今の料金と比較してみる】で映画館の観覧料の推移をグラフ化した際、いくつかの参考資料を検索したが、その中に【映画館で映画を観ない3大理由「高い」「行くのが面倒」「観たい映画が無い」】【「映画は好き」でも「料金高いね」7割超える】の時には気が付かなかった、映画館数の推移などを示すデータを見つけることが出来た。映画の観覧料とは別の視点で、映画(館)の動向を知る良いデータなので、今回はこれをグラフ化して状況の推移を見ることにする。

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具体的には社団法人日本映画製作者連盟の公式サイト内にある、【日本映画産業統計】。1955年以降2008年までの、複数の項目における映画館業界の年次データが掲載されている。まずは一番気になる、映画館数の推移をグラフ化した。

↑ 映画館数(スクリーン数)
↑ 映画館数(スクリーン数)

シネコンイメージグラフ中にもあるように、2000年までは映画館数(=スクリーン数)なのに対し、2000年以降は映画館スクリーン数に計測対象が変わっている。これはスクリーンが一つしかない通常型映画館に対し、いわゆるシネコン(シネマコンプレックス、同一施設内に複数のスクリーンが用意されている映画館。複合映画館)が取って代わられつつある状況に対応したもの。実際、通常映画館・シネコン別のスクリーン数も2000年からデータが残っているが、その推移を見ればシネコンの台頭が理解できる。

↑ シネコン・通常映画館のスクリーン数
↑ シネコン・通常映画館のスクリーン数

さてそのスクリーンで公開される映画本数だが、1980年代後半くらいまでは洋画がじわじわと押していたものの、それ以降は邦画が少しずつ押し戻す形となっている。本数そのものは当たり外れの年があるため、「ぶれ」のレベルでの変化はあるが、大体500-800本/年の範囲に収まっている。逆算すると毎日1-2本ずつ新作が公開されている計算になる。

↑ 映画公開本数(邦画/洋画)
↑ 映画公開本数(邦画/洋画)

↑ 映画公開本数(邦画/洋画、比率)
↑ 映画公開本数(邦画/洋画、比率)

シネコンの普及でスクリーン数は増え、先の記事にもあるように映画観覧料もそれなりに努力しているのだから、入場者数は変化があるのかな……と考えている人も多いだろう。本文最後にグラフ化するのは、その入場者数推移。

↑ 映画館入場者数(億人、年単位)
↑ 映画館入場者数(億人、年単位)

1960年前後を境に急速に入場者数は減少し、1970年後半以降はほぼ横ばいの形を崩していない。この急激な現象の原因は、いわずもがな「テレビの普及」によるもの。特に1959年の皇太子明仁親王(今上天皇)ご成婚の中継が、家庭用テレビの普及に大きなインパクトを与えている。また、1960年にはカラー放送が本格的に始まり、それと共にカラーテレビも発売、普及していき、映像娯楽の主役は映画館からテレビに移り変わっていった。その変化がグラフとして表れている。



映画館業界不振の打開策として登場したシネコンだが、一時的に入場者数のかさ上げには成功しているものの、早くも入場者数は頭打ちの様相を見せている。

↑ 映画館入場者数(万人、年単位、2000年以降)
↑ 映画館入場者数(万人、年単位、2000年以降)

あるいはシネコンにスライドしているからこそ、減少を抑えることが出来ている、と考えることもできる。いずれにせよ現状ではこれ以上の変化は望みにくい。また、放映される映画の質・集客力については、映画館側でどうにかできるものではない。

娯楽の質、映画を観る媒体・選択肢の増加など周囲環境、つまりは時代の流れに合ったさらなる変化・アイディアの詰め込みをしなければ、映画館が今後も生き残ることは難しいかもしれない。逆にいえば動物の進化と同じように、周囲環境の変化にうまく対応できたところだけが、生き残りを見せるのだろう。

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