【更新】「導入したら販売数が増えると思う」は6割・ポイント制導入は書店の救世主となるのか?

2009/12/26 08:59

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書店イメージ「ブロッチ」などを展開するアイシェアは2009年12月25日、書店のポイントサービス導入に関する意識調査の結果を発表した。それによると「仮に書店全体でポイントサービスが普及した場合、本の販売数は増えるか否か」という問いに対し、調査母体においては6割の人が「増えるのではないか」とする回答を寄せていることが分かった。若年層より中堅層の方がやや「増える」派が多いが、どの年齢層・男女双方とも6割前後を維持しており、肯定的な考えが多数を占めているようだ([発表リリース])。


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今調査は2009年12月4日から12月9日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの登録会員(携帯電話による個人認証を利用したもの)に対して行われたもので、有効回答数は537人。男女比は59.2対40.8で、年齢階層比は20代34.6%、30代30.5%、40代34.8%。

【書店の経常利益率をグラフ化してみる】などでも触れているが、書籍・雑誌は一般的に再販制度によって定価販売が義務付けられており、食品や電気製品のように「店舗によって販売価格が異なる」ことは無い。その点を「本を(書店で)買わない」理由の一つに挙げる人も少なくない。

そこで「書店”全体”でポイントサービスが普及したら利用してみたいか」と尋ねたところ、全体では「とても利用したい」32.0%・「試しに利用したい」48.6%・「利用したくない」19.4%という結果が出ており、好意的な意見を持つ人が多数を占めることが分かった。

このような「書店全体でのポイントサービス」が普及した場合、本そのものの販売数は増えるか否かについて聞いたところ、「とても増える」は8.9%・「少し増える」は50.7%となり、約6割の人が「本の販売は増えるだろう」という推定をしているという結果が出た。

↑ 書店全体でポイントサービスが普及したら、本の販売数は増えると思いますか
↑ 書店全体でポイントサービスが普及したら、本の販売数は増えると思いますか

男女別では女性の方が、年齢階層別では40代がやや高めの値を示しているが、全体的に6割前後が「ポイント制が普及したら本の販売数は増えるかもね」と考えているのが分かる。

注意してほしいのはこの結果は「(自分の)本の購入数を増やす」ではなく、客観視した上での「(全体として)本の販売数が増える」という意見であること。回答者一人ひとりの意思は(ほとんど)含まれていない。いざフタを開けてみたら、皆が皆、これまでと大して購入数が変わらない、という可能性も十分にありうる。

さらにいえば現状でもすでに、コンビニやツタヤなどでは雑誌や書籍を購入すれば、それぞれの店舗で導入しているカードへポイントを貯めることができる。「せっかくだからポイントが貯まるコンビニで買おうか」という形で、購入場所の選択をしている人も少なくないはずだ。そのような事例も考慮すると、「書店全体でポイントサービスを導入しても、劇的な変化は望めない」のが実情な気がする。



なお奇遇にも今件リリースが発表された2009年12月25日、古本チェーン店の【ブックオフコーポレーション(3313)】は、全国店舗における「Tポイント」サービス(ツタヤカードなどを提示すればポイントが付加される)を2010年9月30日までに終了すると発表している。一部報道によれば「年間7-8億の経費がかかる割には、Tポイントによる顧客誘引の効果が(書店そのものの他の魅力、例えば書籍の安さや量の豊富さ、と比べて)薄かった」のが原因としている。

これはあくまでも一例でしかないが、ポイントサービスは書籍販売、そして書店にとって状況好転の「きっかけ」にはなりうるものの、「決定打」にはなり得ないことを意味しているのかもしれない。


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