「クルマなんかいらない!」大学生が思うその理由は!?

2009/12/17 06:51

乗用車と維持費イメージ先に【年齢階層別の乗用車普及率をグラフ化してみる】で年齢階層別のクルマ(乗用車、自家用自動車)の普及率を調べたところ、若年層のクルマ利用率が減少傾向にあること、その一方で中古車の利用率は増加していることが確認できた。「ふところ具合が寂しいのか、新車を買うほどの価値をクルマに見いだせないのでは」という推論がそのデータから導き出されたわけだが、それを裏付ける資料を色々と探していたところ、日本自動車工業会の「乗用車市場動向調査」を見つけることができた。毎年自動車業界の動向を探るデータや調査結果が盛り込まれている素晴らしい内容のレポートなのだが、最新の【2008年版(PDF)】は特に、若年層の中でも購買意欲をかきたてて欲しい(と業界が願っている)大学生を対象にした分析が行われており、大変参考になるものだった。今回はこの中から、現大学生やかつて大学生だった人たちが大学生の時に感じた「クルマは買いたくない」と思わせる理由について、比較した結果を見てみることにする。

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今調査は2008年11月12日から14日にかけてインターネット経由で行われたもので、現大学生は18-24歳の大学・短大生(1000人)、以前の大学生は現在20-39歳の人が300人・現在40-59歳の人が300人。男女比は現行大学生が57対43、以前の大学生はいずれも1対1。

調査母体に対し、「クルマに欠けている、保有・購入の障害になること」を選択肢として用意し、それらに対し「非常にそう思う」、つまり強い肯定を示した人の割合をグラフにしたのが次の図。いずれの世代でも「維持費用がかかる」がもっとも高い値を示しているが、特に現行大学生では半数以上が維持費をハードルと見ていることが分かる。

↑ 世代別、「クルマに欠けている、保有・購入の障害になること(非常にそう思う)」(全体ベース)
↑ 世代別、「クルマに欠けている、保有・購入の障害になること(非常にそう思う)」(全体ベース)

世代別に見ると、ほぼすべての項目で現行大学生の方が拒否反応が強くなっているのが分かる。クルマに対して考えられるマイナス要因について、昔と比べて認識が強く確かなものとなっているのだろう。また単に情報の公知が進んだなどの啓蒙活動の結果だけでなく、「維持費用」は絶対価格というよりは相対価格(自分の可処分所得や収入などと比較した価格)、「価格の手ごろ感」は趣味趣向の多様化によるクルマそのものの魅力の相対的低下が原因と考えられるなど、社会そのものの変化も多分に影響しているようだ。

あくまでもこれは個々の選択肢に対して「ハードルとなるか否か」を示しただけであり、例えば「維持費用がかかる」と考えている人すべてが「クルマは買いたくない」と思っているわけではない。逆に「維持費用がかかるのはクルマ購入時の問題にはならない」と考えていても、「クルマそのものは買いたくない」と考えている人もいる。

そこでそれぞれの項目で「そう思う」派、「そう思わない」派に区分し、その区分内において「クルマは買いたくない」派を算出。その上で「そう思う派」の分から「そう思わない」派の分を引いた答えをグラフにしたのが次の図だ。

↑ 現大学生における「クルマに欠けている、保有・購入の障害になること」項目別、購入意識阻害度(そう思う派の「クルマは買いたくない」割合から、そう思わない派の「クルマは買いたくない」割合を引いたもの)
↑ 現大学生における「クルマに欠けている、保有・購入の障害になること」項目別、購入意識阻害度(そう思う派の「クルマは買いたくない」割合から、そう思わない派の「クルマは買いたくない」割合を引いたもの)

このグラフで項目の値が大きければ大きいほど、「その項目で『そう思う』と答え、『クルマは買いたくない』とも回答した人」が多いことを意味する。言い換えれば「その項目のネガティブさがクルマの購入をあきらめる要因となりうる度合い」(良く分からなければ「大きい方がより強くクルマ購入を邪魔する」と思えば良い)。

例えば「価格の値頃感が無い」は、「そう思う」派のうち30.3%が「クルマは買いたくない」と答えている。一方で「そう思わない」派は19.1%が「クルマは買いたくない」と回答。差し引きで11.2%が「価格の値頃感が無い」ことによる、クルマを敬遠させる影響力となりうるということになる。

結果をみると大きな区分では「労力」「費用対効果」の2項目で値が高いのが分かる。言い換えればグラフ中にもあるように「面倒くさい」「割高」と感じているわけだ。これは単純に「操作が複雑になった」「値段が上がった」というより、社会一般的な価値観の変化によって相対的に「面倒」「割高」になったと考えた方が良いだろう。社会そのものの変化に、クルマ側の対応が追い付いていないのが、いわゆる「クルマ離れ」を起している原因といえるのかもしれない。



一つ気になるのは、「情報」の項目で「楽しみ方についての情報が少ない」に高い値が見られること。情報や趣味趣向の拡散、多様化なども原因なのだろうが、自動車業界(業界紙や番組)が大人しいことが、この結果をもたらしているともいえる。他の項目で不利な立ち位置にあるのは明らかなのだから、積極的に関与できるこの項目で労力を投入しなければならないはずなのだが、現状では残念ながら肯定できる要素は少ない。

メディアの性向が変化したのなら、それに対応した形での「楽しさを提案する情報」展開は十分以上に行っているだろうか。旧態依然のままでは、時代の流れに取り残されるばかりであるのは言うまでもない。


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