東京都におけるインフルエンザ報告数をグラフ化してみる(2009年12月10日版)

2009/12/10 07:23

インフルエンザ定点観測イメージ【東京都感染症情報センター】は2009年12月9日、同年第49週(11月30日-12月6日)時点での東京都内医療機関におけるインフルエンザ(季節性・新型双方合わせた)の疾病報告数定点観測データを公開した。報告数は前週と比べて大幅に減少しており、減少率は前週より増加している。直近の山場は越えたように見えるが、報告件数が多数に及んでいることに違いは無く、油断が禁物な状況なのには違いない(【定点報告疾病集計表・週報告分データ】)。

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まずは感染症名を「インフルエンザ」(新型インフルエンザ+季節性インフルエンザ)に設定し、「5年間比」をクリックした上で「更新」をした結果が次のグラフ。

東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年・49週目までも含めた過去5年間)
↑ 東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年・49週目までも含めた過去5年間)

今回も先週に続き、増加傾向を見せ始めた今年の30週目あたり以降(要は直近)を青丸で囲うことはせずに、直近の減少傾向ぶりを青色の矢印でトレースしてみた。4週前の「休みの日が一日多いからその影響があるかもしれないが、しばらくぶりに前週比でマイナスを見せた」週以降、減少傾向を継続しているのが分かる。さらに今回は前回よりも減少率が増加し(前週比87.8%→77.6%)、確実に減少傾向にあることが確認できる。

なお前回の減少率が前回掲載時と変わっているのは、報告数そのものが後になって修正(大抵は増加)されているため。一連の定期報告記事では、逐次修正されたデータを反映している。

例年のパターンと比較して「季節性インフルエンザ」の報告数が多少なりとも含まれていることを考えれば、直近においては「新型インフルエンザ」の増加に歯止めがかかり、減少を見せている可能性は高い。とはいえ、例年と比べて(新型・季節性を合わせた)総報告数が多いことに変わりは無く、引き続き警戒を有する状況には違いない。

例年のパターンと比較すると、今この段階でもインフルエンザ報告例の多くは「新型インフルエンザによるもの」と考えて間違いない。実際に国立感染症研究所の【発表データ】などを見ても、そのほとんどが新型インフルエンザによるものであることが確認できる(現在発表済みの最新データである、3週前の46週時点でほぼすべてが新型)。もちろん、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まりを見せる時期なだけに(例えば2007年の事例ならすでに定点あたり5.0+αをつけている)、新型が大部分とはいえ、新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていかねばならない。

各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。しかしながら季節性インフルエンザと比べると、とりわけ20代以下の感染割合が多めとなる。逆にいえば30代以上が少ない。

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-49週)
↑ 東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-49週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-49週、積み上げグラフ)
東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-49週、積み上げグラフ)

最新の2009年49週では、9歳未満の患者数「割合」は39週から40週にかけての増加以降10週ぶりに減少を見せている。今週も先週同様に過半数(53.1%)の状態を維持していることに違いは無い。

この年齢階層「だけ」を見れば季節性インフルエンザにおける傾向(流行末期)と同じ水準に達している。しかしながら10-14歳・15-19歳の10代患者の割合の大きさは季節性インフルエンザ単独の時と比べて大きく、中堅層以降(30代以降、水色系統の部分)の報告数比率が小さい状態が維持されている。季節性インフルエンザと比べ、若年層への警戒を強化するべき状況であることを再確認させるデータとなっている。

ただし先週同様に、30代以上(水色系統で着色)の割合が増加しており、新型ではなく季節性インフルエンザの患者数が増えている可能性もうかがわせる。9歳未満の割合が減少したこともあわせ、確実に事態は変化を見せつつあると考えてよい。

元々厚生労働省の流行シナリオは、乾燥時期の真冬に流行する季節性インフルエンザの流行パターンを、そのまま今年の夏季にスライドしたものであり、乾燥(≒インフルエンザの感染・拡散に大きく影響を及ぼす)については考慮されていなかった。今回のデータを見ると、その予測より一か月ほど後ろにずれこんだ形で、直近のピークに達したのは間違いない(【年内約2550万人・ピーク時で76万人/日が発症・新型インフルエンザの流行シナリオを確認してみる】)とほぼ断じることができる。一方で今後は、季節性インフルエンザの増加による数字の上ぶれが容易に想像できるため、これまで以上に医療機関のキャパシティが気になる(ただでさえ人数が多いのに加え、新型は季節性以上に医療機関の負担が大きいのも考慮すべき)。

もちろん以前から繰り返し伝えているように、感染拡大の場となりやすい教育機関においてはうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザ同様の対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならない。これらの対応で、感染拡大は最小限に抑えられるだけでなく、季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす。学校で繰り返し啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要がある。

今後年末にかけて、人の往来が激しいところに足を運ぶ機会が多くなる。今まで以上にインフルエンザ対策、及び健康の管理が求められよう。


■関連記事:
【一般のマスクは新型インフルエンザに効果があるのか無いのか】
【南オーストラリア州の(新型)インフルエンザの感染拡大グラフを検証してみる】

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