2009年11月分の景気動向指数は2か月連続の下落、先行きも2か月連続の下落

2009/12/09 12:00

内閣府は2009年12月8日、2009年11月における景気動向の調査こと「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによると、各種DI(景気動向指数)は相変わらず水準の50を割り込んでいる状況には変化はなく、現状は2か月連続して下落した。先行き指数も2か月連続の下落傾向を見せている。基調判断は厳しく、日本語としては先月より厳しい表現である「景気は、下げ止まっていたものの、このところ弱い動きが広がっている」となった(【発表ページ】)。

スポンサードリンク


「やや悪くなっている」「悪くなっている」が大幅増加
「景気ウォッチャー調査」とは毎月月末に調査を行ない翌月発表される、地域毎の景気動向を的確・迅速に把握するためのもの。北海道、東北、北関東、南関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の11地域を対象とし、経済活動の動向を敏感に反映しうる業種などから選定した2050人を対象としている。

また、調査結果中用いられているDIとはdiffusion index・景気動向指数のことで、3か月前との比較を用いて指数的に計算される。50%が「悪化」「回復」の境目で、全員が「回復」と答えれば100%、全員が「悪化」と答えれば0%に近づく。

2009年11月分の調査結果は概要的には次の通り。

・現状判断DIは前月比マイナス7.0ポイントの33.9。
 →2か月連続の下落。「やや良くなっている」判断が減り、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加。
 →家計においては前政権の景気対策効果の打ち切り、及びその懸念による需要の減少、ボーナス減額見込みによる購買意欲の低下、さらにデフレ化でマイナス。企業は受注や出荷に持ち直しの気配が見られるものの、受注量そのものが少ないことなどを受けて低下。雇用は正社員求人数の少なさや、来春卒業生の状況も鑑みてマイナスに。
・先行き判断DIは先月比マイナス8.3ポイントの34.5。
 →2か月連続のマイナス。
 →家計ではボーナス減額への懸念、景気先行き不透明感からマイナス。企業は価格競争の継続、円高、資金繰り悪化で低下。雇用は新卒者への採用や雇用調整の動向からマイナスに。
先月発表分と異なり、良いところが見つからない結果となっている。

景気マインドは急降下
それでは次に、それぞれの指数について簡単にチェックをしてみよう。まずは現状判断DI。

景気の現状判断DI
↑ 景気の現状判断DI

枠で囲む際に赤色に切り替える必要が無かったのは手間がかからなくてありがたいが(笑)、全項目でマイナスを示しているのが改めて確認できる。特に合計値の前回比マイナス7.0という値はこれまで見たことが無い。案の定、一部報道などでも伝えられているように、現行ベースの発表スタイルとなってからは過去最高を記録している。つまり、割合ではなく絶対値においては、前回の不景気(2001年-)以上に急激に、世間一般の景気感が落ち込んだことを意味する。

続いて景気の現状判断DIを長期チャートにしたもので確認。主要指数の動向のうち、もっとも下ぶれしやすい雇用関連の指数の下がり方が分かりやすいよう、前回の下げの最下層時点の部分に赤線を追加している。

2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)
↑ 2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)

グラフを見ればお分かりのように、2008年後半以降いわゆる「リーマン(ズ)・ショック」をきっかけに、直近過去における不景気時代(ITバブル崩壊)の水準を超えて下落。2008年12月でようやく下落傾向が落ち着く状態となった。「各数値が1桁、あるいはゼロに限りなく近づくのでは」という懸念もあったが、2009年1月には横ばい、多少の上昇を見せ、2月以降は上昇が続いていた。今月は全項目でマイナス、先月は「下落開始の雰囲気」と呑気なコメントをしていたが、いきなりジェットコースターも真っ青な下げ幅を見せている。

・今年に入り、
下落傾向から反転の傾向。
・「雇用と全体の下落逆転」が
確認される。
・合計のDIは現状においては
02-03年の不景気時代の
最悪期よりはまだマシ。
・政策や円高などを起因とする
不安感から「再び下落」へ。
「前回(2001年-2002年)の景気後退による急落時には、家計や企業、雇用動向DIの下落にずれがあった。それに対し、今回の下落(2007年後半-2008年中)では一様に、しかも急速に落ち込んでいる」状態だったことはグラフから一目瞭然。そしてその現象が「世界規模で一斉にフルスピードで景気が悪化した」状況で、ズレすら許されなかったことを表しているのは、これまでに説明した通り。連鎖反応的に襲い掛かった数々のマイナス要素(いわゆる「金融(工学)危機」)が、多種多様な方面において一斉に悪影響を与えた様子が数字、そしてグラフにも明確に表れている。

今年に入ってからの動きは、2001年後半以降の大底からの反転・再下落の動向をなぞっているともいえる。この傾向が景気回復における「通過儀式」であるのなら、直近の天井付近で「雇用関連指数」と「合計全体指数」の交差が発生し、そこから再びしばらく(過去なら2002年半ば)は軟調さが続き、もみ合いながら景気の復調が見られることになる。

今月発表分では前月に見られた「天井感から下落」の傾向が加速しながら継続していることが確認できている。さらに3か月前の時点で「交差」現象は確認済み。前回の傾向を踏襲するとすれば、これからしばらくは雇用情勢は直前と比べて多少の回復が見られるものの、全体的には景気がさらに悪化することになる。

景気の先行き判断DIについても、先月に続き、しかもダイナミックに下落した。

景気の先行き判断DI
↑ 景気の先行き判断DI

プラス項目はゼロ。しかも飲食関連と非製造業は2ケタのマイナス値を示している。ここまで大きな下げ方を見せたのなら、以前なら報道で大騒ぎしてもおかしくはないのだが、ほぼ事実をさらりと伝えただけで第二報以降の類はほとんど見られない。不思議な話ではある。何か都合の良くないことでもあるのだろうか。

2000年以降の先行き判断DIの推移
↑ 2000年以降の先行き判断DIの推移(前回不景気時の雇用関連の最下層に位置する赤線は当方で付加)

総合先行きDIはすでに2008年後半の時点で、2001年後半時期(前回の不景気時期)における最下方よりも下値に達していた。これはそれだけ先行きに対する不透明感が強かった、かつてない不安感を多くの人が感じていたことを示している(同時に株価同様に「半年-1年先を見通している」という先行指数そのものの意味をも裏付けている)。それ以降は横ばいか少しだけの上げで推移していたが、2008年10月で大きく底値を突き抜けてしまった。この傾向は「現状判断指数」と変わらない。株安や景気の悪化(「リーマン(ズ)・ショック」)が、ただでさえ大きな不安感の中にある人々の心境をさらに追い落とし、家計や企業の先行き心理にマイナス影響を与えたのかが分かる。

今月は全体的に大きくマイナスを見せ、ポジティブな解釈のしようがない。企業動向関連値の大幅な下落は、家計以上に企業において、円高や政策懸念が強いことが分かる。

そして先月でも触れているが、「現状」同様に景気の上昇・安定時における「雇用指数が全体指数を大きく上回る」、そのシグナルとなるクロス・逆転現象が直近において「先行き」でも確認できている。今月は先月のコメントで予測した通り、「現状」「先行き」共に、景気動向は次なるステップに進んだとほぼ断じてよい。つまり、低迷期の再来である。

さらに気になるのは、前回の不景気時と比べ、今月の「今ステップ」内の下げ方があまりにも急過ぎること。単なる「低迷」で収まればよいが、この状況が継続すればいわゆる「二番底」どころか、「底抜け」になる可能性すら否定できない。

デフレ感強まる
発表資料には現状の景気判断・先行きの景気判断それぞれについて理由が詳細に語られたデータも記載されている。簡単に、一番身近な家計(現状・全国)(先行き・全国)に関して事例を挙げてみると、

■現状
・下見に来店する客が多く、来客数は増加しているものの、ボーナスの減額が予想されるため成約率は低い(家電量販店)。
・宿泊や宴会においては、稼動を確保するために単価を下げざるを得ない状況が続いており、収益が低下している(都市型ホテル)。
・客はこの先も価格はまだまだ下がると考えているため、見積に対する返事をもらえず、契約に結び付いていない(住宅販売会社)。
・今年の冬はボーナスが出ないとか、減額されるといった話をする客が多い(乗用車販売店)。
・10、11月は年間の最需要期であるが、かつて経験のないほど需要が弱い。阪神淡路大震災の年でさえ、秋にはもっと客が戻ってきていた。特に、団体客の動きが悪い(観光型ホテル)。

■先行き
・今年の年末は高速道路料金引下げが適用されないため、巣ごもり派が増え、食料品の消費量は期待できるが、単価は下がることが予測されるので大きくは伸びない(スーパー)。
・忘年会の時期だが、予約状況は前年比10%程度減っている。また、新年会の予約状況も同程度の減少率である(観光型旅館)。
・円高は海外旅行の需要喚起につながるが、それ以前にデフレと円高の影響で企業の業績が悪化していること、ボーナスの減額等から、法人、個人共、先行きへの不安感が高まっており、旅行に費やす経済的、精神的な余裕がなくなっている(旅行代理店)。
・一時期に比べて景気は持ち直しているものの、デフレ宣言や冬のボーナス減額が報道されるなど、先行き不透明感により消費者の生活防衛志向が強まる(百貨店)。
など、冒頭でも触れたように価格下落圧力や、デフレ・円高など直接・間接的な無策・悪策が響きつつある状況が見受けられる。特にデフレ関連においては宣言をする一方で、事実上それへの対策を行っていないことにより、消費者のマインドがさらにデフレ感を加速させてしまい、結果として小売を中心とする企業に強い圧迫感を与えてしまっている(健康診断で「あなたは胃潰瘍と肝硬変の疑いがありますね」と言われながら、具体的な状況・治療について・服用すべきお薬の説明や指導を一切受けず、逆に帰りの窓口で一升瓶のお酒を渡されたら、患者はどう思うだろうか)。

さらに詳細は元資料で確認してほしいのだが、【調査結果のPDFファイル】では、全国の「現状判断」の回答のうち3分野それぞれについて、5つの回答区分(◎良、○やや良、□不変、▲やや悪、×悪)の中で回答者数の多い上位3区分(雇用関連は上位2区分)の判断理由として特に着目した点について、直近3か月分の回答者数推移が掲載されている。ここでは「家計」と「企業」のものを掲載する。

↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……家計動向関連
↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……家計動向関連

↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……企業動向関連
↑ 現状判断の理由別(着目点別)回答者数の推移……企業動向関連

いかに11月において、急激にマインドが悪化したかが改めて理解できよう。



金融危機による市況悪化で
景気感は一挙に急降下。
耐久消費財の値上げや雇用喪失など
実体経済への傷も深い。
海外の不景気化も影響し、
外需中心の企業も大きな痛手。
内需中心の企業にも波及する。
「底打ち感」による「回復の兆し」も
見られたが、政治要因を起因とする
不安要素がまん延、拡散。
前回不況パターンと同じ、
さらに「前回パターンより悪化」の
可能性も。
一連の「景気ウォッチャー調査」に関する記事中でも繰り返し指摘しているように、今回の景気悪化(と復調)が、2001年から2003年にわたった「景気悪化」と「その後の回復」パターンを踏襲する様相を深めている。各種景気の循環説にも合致しており、振幅の違いはあれど、予想通りに状況は進むものと思われる。現時点では(下げ幅こそ違えども)着実にその状況を継続中である。

実証されつつあるこの仮説が正しければ、すでに最大の底値は脱しており、今後は比較的短期の再下落を経て、横ばい・回復基調が続く可能性は高い。実際すでに「現状」「先行き」ともに、本格的な上昇の事前現象である「全体指数を雇用関連指数がクロスして大きく上向く」の先駆けともいえる「クロス」現象が確認でき、今月もその状況が続いている。あとはこれが継続、下落傾向に至れば、パターン踏襲がより確実なものとなる。

気になるのは先月でも指摘した、国内要素によるマイナス作用が予想以上に大きかったこと。11月は下げるであろう予想はしていたものの、ここまで急速な下落ぶりは想定の範囲外。このまま状況が継続するとなれば、前回パターンにおける「比較的短期の再下落」「緩やかな下落」どころではなく、2008年秋口のどん底に続く「二番底」を形成する可能性も否定できなくなった(希望的観測としては、12月はややリバウンドを見せて持ち直し、あるいは下落幅が縮小する……と良いのだが)。

複数の調査機関の調査結果からも、今夏以降は政局・政策・金融市場の観点で、控えめに表現しても「混乱を起因とした不安感の助長と、その結果もたらされる景気後退」にあることが数字となって表れている。海外の経済動向に注目するのはもちろんだが、それと同じくらい国内のさまざまな動きを見極め、正しい情報を元にした正しい判断のもと、景気の流れを慎重に見守り、そして行動する必要があるだろう。

スポンサードリンク


関連記事



▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2018 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー