一杯のコーヒーで人生の決断をした男性のテレビCM

2009/11/30 07:38

The Ringイメージ先日【好きなコーヒーの飲み方は、カフェ・オレ? 砂糖・クリーム入り? それともやっぱり……】【一番よく飲まれているチルドコーヒーは「マウントレーニア」。それでは今後もっとも買いたいのは?】などコーヒーに関する調査結果の記事が続いたが、当方(不破)はコーヒーの愛好家の一人でもある。諸般事情で今では少量しか口に出来なくなったが、香りを鼻孔で楽しむだけでも気分がすっきりとし、頭が刺激される気分になれる。そのようなコーヒーにおける「脳内活性化」の効用を、思わずツッコミを入れてしまう描写で表現したのが、今回紹介するNescafeのThe Ring(COLORIBUS)である。

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Nescafe' 「The Ring」
Nescafe' 「The Ring」。

これは2009年11月にスウェーデンで放送された、コーヒーブランドで著名なネスカフェのテレビCM。波止場で会話するカップルがテーマとなっている。男性は真剣な面持ちで右手にエンゲージリングの入ったケース、左手にネスカフェの紙カップコーヒーを持ち、女性に「今日は本当に特別な日だね」と感慨深げに声をかける。しかし当の女性は携帯電話でメールを送りつつ、「ああ、そうね」とそっけない答え。「今、ちょっと男友達にメールしてたのよ」。

「(この指輪でプロポーズだ)」「ごめんね、ちょっと男友達にメールしてたの」「(ムスッ……)」
「(この指輪でプロポーズだ)」「ごめんね、ちょっと男友達にメールしてたの」「(ムスッ……)」

男性は複雑な心境に。恐らくは今日も「大切な話があるんだ」とばかりに彼女に声をかけていたに違いない。それなのに……と思いつつ、手元のネスカフェのコーヒーをぐるぐるとかきまぜる。すると香りと共に自分の頭の中にイメージがわき上がる。

「(こんな態度をする彼女にプロポーズしてもいいのか?)」と考えながらコーヒーをかきまぜると、自分の不安や考えが段々と具体的にビジュアル化されていく。
「(こんな態度をする彼女にプロポーズしてもいいのか?)」と考えながらコーヒーをかきまぜると、自分の不安や考えが段々と具体的にビジュアル化されていく。

「(そうだ、今自分は重要な岐路に立たされている。不安を振り切って彼女にプロポーズするか、それともしないかだ)」。彼の不安を象徴するかのように、目の前に現れる二つの扉。
「(そうだ、今自分は重要な人生の岐路に立たされている。不安を振り切って彼女にプロポーズするか、それともしないかだ)」。彼の不安を象徴するかのように、目の前に現れる二つの扉。

自分の人生の岐路がコーヒーの香りと共にイメージとしてビジュアル化される。彼女を選ぶか否か。


彼女を選ぶ(1の扉)と、そこには布団の上でケンカでもしているのだろうか、枕で大立ち回りをしている自分と彼女の姿。慌てて扉を閉じ、もう一方(2の扉)を開くと、無数の美女が立ち並び、自分にアプローチをかけてくる。「そうだ、僕には無限の可能性があるんだ」。
彼女を選ぶ(1の扉)と、そこには布団の上でケンカでもしているのだろうか、枕で大立ち回りをしている自分と彼女の姿。慌てて扉を閉じ、もう一方(2の扉)を開くと、無数の美女が立ち並び、自分にアプローチをかけてくる。「そうだ、僕には無限の可能性があるんだ」。

彼女を選ぶ(1の扉)と、そこには布団の上でケンカでもしているのだろうか、枕で大立ち回りをしている自分と彼女の姿。「こりゃだめだ」とばかりに慌てて扉を閉じ、もう一方(2の扉)を開くと、そこには無数の美女が立ち並び、自分にアプローチをかけてくる。「そうだ、僕には無限の可能性があるんだ。自分の真面目な話にもちっとも耳を傾けてくれない彼女よりは……」。と、そこで我にかえる男性。

相変わらず彼女は「ごめんなさい、ちょっと考え事」と言いつつ携帯電話のメールを続けている。コーヒー(の香り)で決断をした彼は、「プロポーズ、やーめたっ」とばかりに手元にあったエンゲージリングを海に放り投げてしまう。そして「素晴らしい考えは素晴らしいコーヒーから見出される(GREAT IDEAS COME FROM GREAT COFFEE)」のコピーでCMは幕を閉じる。

指輪を海に放り投げ決意を新たにする男性。そして「素晴らしい考えは素晴らしいコーヒーから見出される(GREAT IDEAS COME FROM GREAT COFFEE)」のコピーが。
指輪を海に放り投げ決意を新たにする男性。そして「素晴らしい考えは素晴らしいコーヒーと共に(GREAT IDEAS COME FROM GREAT COFFEE)」のコピーが。

【会話中 相手がケータイ メール打ち 「不快に思う」半数を超えて】にもあるが、会話中に相手が携帯電話のメールを打ち始めるのは決して愉快な話ではない。ましてや(恐らく)男性が「大事な話がある」とばかりに彼女と会っているのに(波止場でのプロポーズなど、まさにそれらしいシチュエーションだ)、彼女は彼の事など上の空でケータイメールに夢中。しかも相手は「男性の友達」。自覚が無いのかもしれないが、デリカシーが無いように思われても仕方が無い。

彼の決意に水をさす、あるいはわき上がる不安を具象化し、決断させてくれた「グレートなコーヒー、万歳!」というのがこのCMの主旨であり、インパクトは極めて強い。もっともネスカフェのコーヒーというブランドそのものの印象を強くするよりはむしろ、コーヒー自身の思考活性化という効用をアピールしてしまっている感もある。だからこそ最後に「素晴らしい考えは素晴らしいコーヒーから(GREAT IDEAS COME FROM GREAT COFFEE)」とわざわざコピーを入れ、最後に「ネスカフェ」のブランドロゴを表示したのだろう。

このような「イメージ広告」は、やもすると広告そのもの印象は強いものの商品の「刷り込み」にはつながらず、「そのCMは知ってるけど、何の商品のだっけかな?」というパターンに陥りやすい。「有名だけど効果は無いネ」というものだ。今回紹介したテレビCMは、ギリギリセーフかな、という立ち位置にあると思うのだが、どうだろうか。

ちなみに男性の決断「僕には無限の可能性があるんだ」は決して間違いではない。ただし、可能性は可能性でしかなく、それが実現するか否かはまた別の問題であることを(蛇足ながら)付け加えておこう。コーヒーを飲んだからといって、すべての男性がハーレム状態になれるわけではないのである。

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