「タスポ効果」と「食品コンビニ」と……コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる(2009年11月版)

2009/11/28 18:20

商品構成別比率イメージ【2009年10月度のコンビニ売上高は既存店が5.5%のマイナス・悪天候や弁当不調、タスポ効果終焉の影響が要因】などでも触れているように、昨今におけるコンビニ業界の前年同月比売上高は、タスポ効果の一巡もありマイナス値が続いている。それほどまでに勢いをつけたタスポによるたばこの売上かさ上げについては以前【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる……(上)ローソンの決算短信を元に概算する】【「タスポ効果」が一目瞭然・コンビニエンスストアの商品構成別売上推移をグラフ化してみる】で触れた通り。今回は[ローソン(2651)]を例にして、これら以前の記事の裏付けと、もう少し別の面からコンビニの商品売上についてグラフ化し、のぞいてみることにする。

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具体的なデータ取得元はローソンが毎年発行しているアニュアルレポート。最新版は【こちらにある通り(PDF)】。ここに商品群別の売上高構成比が掲載されているが、「たばこ」について個別に区分したデータが載っているのは2004年分以降(ローソンは2月締めなので、「2009年」の場合は2009年2月末までのデータという意味)。……ちなみにローソンをデータ取得元として用いたのは、大手コンビニではローソンだけがたばこも含めた詳細な売上構成比を公開していたからで、他意は無い。

それらのデータについて、まずは売上全体に占めるたばこの割合をグラフ化する。

商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)
商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)

赤い三角でチェックを入れているが、2009年の売上構成比で「たばこ」が大きく伸びていることが分かる(17.6%→22.5%)。実に総売り上げの1/4近くが「たばこ」だけで占めている形だ。もっとも2004年の時点ですでに1/7程度を「たばこ」だけで占めており、コンビニにとって「たばこ」は重要な商材であることが分かる。

また、このようにグラフ化すると、コンビニにおいては食品販売の占める割合が大きいことが改めて確認できる。直近のデータでは9割近くが食品関連(たばこも含むが)で、非食品は1割程度でしかない。コンビニは事実上「コンビニエンス・フードストア」と表現してもおかしくはない。

「たばこの割合は増加している。でもそれは全体の売り上げが落ちて、たばこの比率が自然に上がっているだけでは」という意見もあるだろう。そこで金額ベースで積み上げグラフにしたのがこちら。

商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)
商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)

コンビニの月次レポートで「お弁当などの日配食品が苦戦している」と毎月のようにコメントしているが、それでも金額的には善戦しているのが確認できる。むしろ「非食品」が割合だけでなく金額的にも落ち込んでいるのが気になる(直近では1982億円から1955億円)。

そして「たばこ」だが、ローソンに限定すればタスポ効果による売上増は900億円強に達している。これだけ金額が伸びているのだから、割合が増加してもおかしくはない。

それがさらに分かるのが、次の前年比グラフ。

商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)
商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)

2009年においては「日配食品」がやや健闘、その他の項目は横ばい、そしてたばこは急上昇を見せている。

しかしながら「売り上げが上昇すれば大万歳」というわけでもないのが商売の難しいところ。これについては【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる……(下)裏づけと「たばこが売れてハッピー」なのかを検証する】で解説しているが、「たばこ」は他の商品と比べて粗利益率が低い。言い換えれば「儲けが少ない」商品。同じ売上をお弁当とたばこで計上した場合、利益は大体たばこがお弁当の1/3前後という計算になる。人件費を考えると、色々と頭の痛い話。

実際、「儲け難いたばこがたくさん売れたがための問題点」もアニュアルレポートでは指摘されている。

商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)
商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)

他のカテゴリの粗利益率が横ばい、あるいは改善(=より効果的に儲けられる)しているのに対し、たばこを含む「加工食品」だけが大きく減少している(26.3%→24.8%)。レポート中でも

「加工食品カテゴリーについては、たばこ構成比上昇により大きく低下しましたが」

という言及があり、粗利益率の低い「たばこ」の売上の増加により、「加工食品」全体が押し下げられたことが説明されている。



今回はローソンを例に色々見てみたが、他のコンビニでも状況に大きな変化はないものと思われる。今後についてはこれ以上たばこの売り上げがアップする可能性は低い(タスポ効果の一巡に加え、不景気の進行や喫煙率の低下)。利益を維持・向上させるには、来客を増やすか、粗利益率を向上させるか、商品販売数を増やすしかない。

しかし消費者の低価格嗜好と商品単価の引き下げ(デノミ化)は月次データからも明らかになっており、条件は厳しさの一途をたどっている。色々なサービスや豊富な商品レパートリーを提供してより魅力的な店舗展開を行い来客数を増やすと共に、今まで以上に利益率の良い商品を開発し販売することが求められることだろう。……例えば「ファストフード」に該当する、レジ横食品のようなものなどが良い例である。

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