「男性か女性か」「自国民か否か」・ワークシェアリング意識に関する世界各国の考え方をグラフ化してみる(2010-2014年)(最新)

2014/11/18 08:16

企業、あるいは業界単位の経験の蓄積や修練、技術進歩に伴い労働の多くは効率化が図られ、同じ量の生成物を作る限りでは、必要となる労働力は減っていく。当然、労働市場における需給バランスは労働者が余る形になる。既存就業者の退職以外に、生産量の増大や新業態・新分野への進出で新たな労働市場、労働者を受け止める場が構築され、需給の調整がなされるのだが、タイムラグや環境の変化、さらにはマッチングの悪さから労働者が余り、失業率が上昇する事態が生じることになる。そのような状況の場合、雇用の面で、就業内容とは直接連動性の無さそうな属性別において、区別を成すべきか否かが問われることになる。今回はその問題に関して、世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】から、各国の国民単位での考え方を比較していくことにする。

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「男性を優先すべき」の発想は否定的


今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項、信頼度の算出方法などは今調査に関する先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる】を参考のこと。

まずは「男性就業優先意識」。就業機会が限られる場合、他の条件を考慮せず、性別で判断して男性を優先すべきか。多分にケースバイケースとなるが、一般論として答えてもらった結果が次のグラフ。「賛成」「どちらでもない」「反対」「分からない」(「無回答」)の選択肢から一つを選んでもらい、「賛成……プラス1」「反対……マイナス1」との計算の結果によるもの。プラスであれば男性優先が多数、マイナスであれば男性優先には否定的の人が多いことになる。

↑ 就業機会が限られる場合、男性を優先すべきである(2010-2014年)(賛成=+1、反対=−1)
↑ 就業機会が限られる場合、男性を優先すべきである(2010-2014年)(賛成=+1、反対=−1)

「ウーマン・リブ(女性解放運動)」ではないが、就業において男性を優位にすべきであるとの考えには否定的な国が圧倒的であるのが分かる。特に北欧諸国をはじめとするヨーロッパで強い否定意見が出ている。エジプトでは非常に高いプラス値、つまり賛成派が多い結果が出ているが、これは国の事情(宗教など)の上で仕方のない話。

日本はといえば、数少ないプラスの国家として挙げられている。この結果だけを見ると色々と物議をかもしそうだが、実は一つ、関連して留意点がある。選択肢中「どちらでもない」の値が、すべての「プラス」圏の国で高く、とりわけ日本は断トツの1位になっている。

↑ 就業機会が限られる場合、男性を優先すべきである(2010-2014年)(「どちらでもない」回答率)
↑ 就業機会が限られる場合、男性を優先すべきである(2010-2014年)(「どちらでもない」回答率)

ポジティブに考えれば「男性が優勢である、いや違うといった類の話は、あまり考える必要もないのでは?」と冷静な判断を下している、ネガティブにとらえれば「深い考えが無い、問題意識が無い」のだろう。最初のグラフの結果のみで、「日本は職業上、男尊女卑の国である」と断ずるのは正しい見解では無い事をここに記しておく。

自国民優先か、それとも……


続いて「自国民就業優先意識」。こちらも数字の算出方法は同じ。各国の「自国民の就業を優先すべきであると考えている度」になる。プラス1に近いほど自国民を優先すべき、マイナス1に近いほど自国民優先での採用は成すべきでは無いとの意見が多数を占めることになる。

↑ 就業機会が限られる場合、自国民を優先すべきである(2010-2014年)(賛成=+1、反対=−1)
↑ 就業機会が限られる場合、自国民を優先すべきである(2010-2014年)(賛成=+1、反対=−1)

先のグラフとは逆に、多くの国がプラスに振れている。日本は中央やや上向き。全般的には現状で移民の多い国ほど数字が低い傾向がある。スウェーデンは調査当時は有数の移民国家ではあるが、昨今ではさまざまな問題が生じ、物議をかもしている。とはいえ、今精査対象国では最大の「自国民優先主義には反対」の姿勢を見せていることに違いは無い。

ただし移民の多い国、多民族国家でもプラスの値が大きい国もあり(例えばアメリカ合衆国やオーストラリア)、一様に片づけられる問題ではないことが推定される。



今回のデータも含め、「世界価値観調査」の調査結果は2010-2014年に取得されたもので、その多くは2013年までに調査が実施されている。そして当然、その後の世界の経済・政治情勢は反映されていない。根本的な国毎のスタンスに大きな違いはないだろうが、政策や経済、そして雇用の状況はここ数年で大きく動いており、現在関連諸国で同様の調査をした場合、同じような結果が得られるわけではないことを念のために記しておく。例えば移民が多いことで知られるスウェーデンは2011年、オランダは2012年時点の値で、現状では小さからぬ変化が生じていることは容易に想像が出来る。

とはいえイレギュラーな事象がない限り、基本的なスタンスにダイナミックな動きはないものと思われる。日本の場合は男女の就業については「やや男性優位、されど大勢としてはあまり深く考えていない」、自国民か否かについては「比較的強く自国民優先であるべきと考えている」と見てよいのだろう。


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