【更新】新聞販売部数動向(下)……主要全国紙編とオマケ(2009年前期)

2009/11/22 19:03

【この1年、日経わずかに読者増。毎日・専門新聞激減!?】の掲載で受け取ったご意見に応える形で、新聞関連のデータ更新も兼ねてグラフを再構築する記事の下編。上編が全体的な値に関するものだったのに対し、今編では【毎日400万部割れ・朝日も6万部減……主要新聞の状況を垣間見る】を元に、主要全国紙についてグラフを作り直すことにする。

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まずは最新データを元にした、主要全国紙、すなわち読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日経新聞・産経新聞の計5紙の「販売部数」。これは各紙広告関連ページで取得することができるが、【新聞広告データアーカイブ】からリンクをたどり、【読売新聞社の広告ガイドページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2009年1月-6月平均」で容易に取得することができる。なおこれは朝刊「販売」部数。

2009年前期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)
2009年前期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

「販売部数1000万部超」をうたう読売新聞が、ギリギリながらも1000万部を確保し、トップの座についている。次いで朝日新聞、かなり下がって毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞の順となる。いくつかの新聞については、その販売数に関して意外に思った人も少なくないだろう。

当方(不破)は日本ABC協会会員でも無ければ新聞関係者でもないので、過去のデータを取得することはできない。さらに日本ABC協会では関連データは非公開の方針のようで、これらのデータの過去分は確認できなかった。しかし、いわゆるウェブ魚拓や【WaybackMachine】などを使ってデータのサルベージを行い、2005年-2007年までのデータを確認することができた。ところが肝心の2008年分が無く、推移グラフを作ることは不可能となってしまった(さらにいえば、産経新聞の部数は2007年以降の掲載となっている)。もしどなたか2008年前期・後期のデータをお持ちの人がいたら、お教えいただけるとありがたい。

そこで2009年前期の部数と比較する形で、2005年後期・2007年後期との差異を%で算出し、発行部数の減少ぶりを見てみることにした(産経新聞の2005年後期については別ルートから、該当期間の単月データを取得して流用)。

2009年前期と比較した朝刊販売数
2009年前期と比較した朝刊販売数

見方としては例えば毎日新聞なら、「2005年後期と比べると2009年前期の販売部数はマイナス3.58%」「2007年後期と比べると2009年前期の販売部数はマイナス2.74%」という感じに読めば良い。つまり最新期を基準とした場合、該当期と比べてどれだけ部数が減っているかということだ。

これを見ると、産経新聞が非常に大きく部数を減少しているのがひと目で分かる。しかも「2005年との差異」よりも「2007年との差異」の方が大きいということは、少なくとも2005年から2007年までは部数が増加していることを表している。それ以外は読売新聞がほぼ横ばい、他の3紙は漸次部数が減少中ということだ。

またこれらのグラフを見ると、毎日新聞の減少ぶりや日経新聞の奮闘のようすなど、【この1年、日経わずかに読者増。毎日・専門新聞激減!?】の調査結果と、各紙の相対的な位置において大きな違いはないように見える(数字そのものの規模には違いがあるが)。一部に「データの精密度において信頼が出来ない」という意見もいただいたが、少なくともそのような心配は要らなかったわけだ。



さてここからは余談。まずその1。当サイトでは定期的に経済産業省発表の特定サービス産業動態統計調査を元に、4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化している。最新のデータは【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2009年11月発表分)】になるが、これを見ると新聞の広告費の減少ぶりは「販売」部数の減少傾向をはるかに上回るものとなっている。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2009年9月まで)(再録)
月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2009年9月まで)(再録)

新聞の収入源は「新聞の売上」と「新聞の掲載広告費」からなる。そして「販売」部数は新聞の「媒体力」に連動し、それは広告の単価・相場に連動するものとなるから、「広告費」と「販売部数」との間には浅からぬ関係があることになる。

新聞発行部数前年比(全体)
新聞発行部数前年比(全体)

ところが新聞の販売部数が年数%、一般紙に限れば1%前後の減少でしかないにも関わらず、広告費がここまでダイナミックな下げを示しているということは、相当な単価の引き下げが行われているものと思われる(1部あたりのページ数の減少の影響も少なからずあるだろうが)。残念ながら特定案件に対する広告費の定点観測は行っていないので詳細は不明だが、容易に推測できるものといえる。

余談その2。新聞の収入源は「新聞の売上」と「新聞の掲載広告費」から成り、「販売」部数の減少は双方にマイナスの影響を与える。ところで新聞は刷っただけでは利益にならず、販売されることで初めて売り上げとなる。そして現在の新聞の場合、そのほとんどは新聞社からの直売ではなく、新聞販売店に卸す形で販売が行われる。やや表現が荒くなるが、「新聞社本社→新聞販売店→各家庭」というルートをたどるわけだ。

日経新聞における、新聞販売店経由・直売(即売経由)・郵送部数の比率。
日経新聞における、新聞販売店経由・直売(即売経由)・郵送部数の比率。

ここで問題になるのが、【新聞の購読者数の減少理由を考え直してみる】【この1年、日経わずかに読者増。毎日・専門新聞激減!?】などでも触れている「押し紙問題」と呼ばれるもの。詳細は【他サイトにお任せすることにする】が、要は上記ルートにおいて「新聞販売店」に新聞を必要以上に押しつけ、部数を上乗せするというものだ。一見意味が無いように見えるが、印刷部数はともかく自称販売部数を上乗せできるので、各種広告費押し上げの材料となる。各雑誌における「公称部数」と似たようなものだが、「押し紙」は実際に刷っているから大きな問題となっている。

例えば【滋賀クロスメディア】が行った調査結果によれば、主要5大新聞において10%後半から50%後半(!)にも及ぶ「押し紙」の実態が明らかにされている。これが仮に全国規模で”事実として”行われているとすれば、上記データの実”販売”部数は色々と問題が生じることになる(販売店への販売部数という意味ならまったく問題ないが、購読者へのリーチという観点では無いので、広告の試算の際には役に立たないことになってしまう。また、本文で指摘した「公開販売部数と、先のネット調査での数字的な差異」における、インターネット調査というバイアスを除いた部分もこれで説明できてしまう)。今件については各新聞社を連結会社として持つ上場放送会社の株主も深い関心を持っているということもあり、今後事実関係も含めて明らかにされていくことだろう。

やはり詳細は【他サイトに譲るとするが】、産経新聞は漸次押し紙を取りやめる方向で動いているという。だとすれば、上記グラフの大きな減少幅の理由もある程度理解できるというものだ。

(終)

■一連の記事:
【新聞の販売部数などをグラフ化してみる(上)……全体編】
【新聞の販売部数などをグラフ化してみる(下)……主要全国紙編とオマケ】

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