支給されても主婦はパートの時間を減らさず、企業の負担が増える可能性も……「子供手当」の功罪

2009/11/18 07:20

パートの主婦イメージインテリジェンスが運営する求人情報サービス「an」は2009年11月17日、求職または就業中の主婦を対象にした「就業に関する意識調査」の結果を発表した。それによると、いわゆる「子供手当」などの政府補助で家計の所得が対価なしに増加した場合、今後就職を希望する主婦は「よりよい条件を希望する」傾向があることが分かった。一方ですでに職に就いている主婦では、所得が増えても今の仕事の就業時間を減らす事無く、現状を維持する人が多数を占めている。少なくとも現時点においては、無条件の給付は家計そのもののサポートはするものの、主婦の労働時間短縮を促す効果は無く、逆に彼女らを雇おうとする企業側にさらなる負担をもたらす可能性が見受けられる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は2009年9月11日から14日にかけて、関東1都3県の25-44歳までの既婚女性2000人に対してインターネット経由で行われたもの。属性としては「有職主婦……現在非正規雇用で働いている」と「無職主婦……現在無職だが3年以内に就業意向のある人」で均等割り当て。

同調査では「子供手当」など政府の補助により(=労働などの対価無しに)家計所得がアップした場合、現在の家計の所得が増えたら、就業についてどのような心境の変化があるかを尋ねている。まずは現在非正規雇用で働いている人についてだが、たとえ所得が増えても今の仕事の時間を減らす、という人は少数派に過ぎなかった。

子供手当などの政府の補助により現在の家計の所得が増えたら、今の仕事の時間を減らそうと思いますか。(有職主婦のみ)
子供手当などの政府の補助により現在の家計の所得が増えたら、今の仕事の時間を減らそうと思いますか。(有職主婦のみ)

若年層でやや多い傾向があるが、それでも「時短でその分ゆとりある生活を」と考えている人は2割前後でしかない。過半数-2/3以上の人は「たとえ子供手当を受け取れても、今の仕事の就業時間を減らす意向は無い」と考えている。逆に雇用側から考えれば、現在の非正規社員の主婦(パートやアルバイト)に対する条件変更や追加雇用などはあまり考慮する必要が無い。

一方で「現在無職だが近い将来職に就きたい」と考えている主婦では、まったく逆の結果が出ている。4割-過半数、特に若年層において「好条件を求める」と答えている。

子供手当などの政府の補助により現在の家計の所得が増えたら、より良い条件の仕事に就きたいと思いますか。(無職主婦のみ)
子供手当などの政府の補助により現在の家計の所得が増えたら、より良い条件の仕事に就きたいと思いますか。(無職主婦のみ)

「より良い条件」とは時給が高い、就業時間が短い、労働内容がキツくないなどを意味する。「収入の底支えがあるので、あまり無理をしなくても良いや」という考えから、いわゆる「仕事を選ぶ」姿勢を強くしていることが分かる。

これは逆に雇用側から考えれば、新規雇用については雇用条件を良くしないと主婦層の非正規雇用が集まりにくくなることを意味する。新規雇用側の条件を良くすれば、必然的に既存のパート・アルバイトに対する条件も良くしなければならなくなる。結果として、雇用側の労働コスト・人件費がこれまでより上昇する結果となるのは容易に想像がつく。

「子供手当」で所得が増え、結果として主婦の消費性向がプラスされ、該当企業の売り上げが上がれば、人件費の上昇分もまかなえるだろう。しかし【子供手当、教育費・子供の将来のための貯金が6割強ずつ。しかし実際は……】【子供手当、「貯蓄して子供自身に使ってもらう」が二人に一人・教育費充当は4割足らず】にもあるように、半分以上は貯蓄されてしまい、消費には回らない。相対的に、雇用側(企業側)の負担の増加分が目立つ結果ともなりかねない。



実際には労働市場の需要供給の関係から、一概に「子供手当支給」「パート・アルバイトの労働条件の改善ニーズの高まり」となるとは言い切れない。とはいえ可能性は十分にあることが今データから容易に推定できる。いわば手当の副次効果(副次作用)とも呼ぶべきだが、注目すべき内容といえるだろう。

もっとも現在伝えられている限りにおいては、たとえ「子供手当」が支給されたところでその他の負担がそれ以上に大きくなり、可処分所得が純粋に増加する世帯は少数に留まる可能性も高い。その点では今件のような「心配」は要らないのかもしれない。それが喜劇的であるかどうかは別として。

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