40年余の高速自動車国道料金の推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/06/01 05:03

日本全土を網羅する高速自動車道は、鉄道網・空路と共に日本の流通を支える大黒柱的存在の交通機関である。先の震災では東日本の随所で寸断されたものの、日本の動脈・静脈たるこれらを一刻も早く回復させるべく関係各方面が超人的な精力を傾け、魔法のようなスピードと仕上がりで復旧させたことは記憶に新しい。そしてその高速道を利用する料金も他の交通料金や商品価格同様、物価と共に上昇を続けている。今回は【50年前の商品の価格を今の価格と比較してみる】を執筆した際に用いた、総務省統計局の【小売物価統計調査 調査結果】の公開値などを基に、その移り変わりを確認していくことにする。

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漸増する高速料金


今回作成する高速料金の推移を確認するグラフについて、データの取得元は上記の通り「小売物価統計調査 調査結果」。項目ナンバー7361の「高速自動車道路料金(国道)(普通車、ETC利用時の東京から御殿場」の値を時系列的に追い、グラフを生成する。「この項目における」最新の年次データは2014年なので、2014年分までが取得可能。日本で高速自動車道路ができたのは1963年(名神高速道路)だが、「小売物価統計調査」上の収録値は1975年以降であることから、その範囲でのグラフ化となる。

他方、小売物価統計調査では2015年1月から調査項目の少なからぬ差し換えが行われており、高速自動車道に関しても料金の調査対象の入れ替えが実施され、該当する地域が無くなってしまった(東京や御殿場のインターチェンジそのものが無くなったわけでは無い)。近しい場所も確認できず、2009年から2010年の時のような観察対象の区間変更による対応も難しい。そこで東日本高速道路株式会社が運営する高速道路情報サイト「ドラぷら E-NEXCOドライブプラザ」の【高速料金・ルート検索】を用い、東京・御殿場間の該当料金を算出し、2015年分以降のデータに充てることとする。

↑ 東京都の高速自動車国道料金推移(1975-2009年:東京-大井松田間)(2010-2016年:東京-御殿場間)
↑ 東京都の高速自動車国道料金推移(1975-2009年:東京-大井松田間)(2010-2016年:東京-御殿場間)

料金値上げは数年に一度の割合で比較的穏やかなもの、そして1990年後半以降は安定した動きを示していた。以前「東京-大井松田間」のみがグラフ対象だった時には「1990年後半以降は”ずっと”定額を維持しているのが分かる」と記載していたほど。

監視対象が変わった2010年以降は、細かな値動きが起きている。これはいわゆる「無料化社会実験」など各種政治・社会情勢に伴うものである。また2014年は4月からの消費税率改定に伴い大きな引上げが実施されており、それが年平均にも表れる形となっている。2015年以降は上記理由により記事執筆時の値がそのまま反映されているが(2014年までのように月次の各値を基にした平均値では無い)、消費税率引き上げに伴う値上げが行われた後の値が示されており、仮に月次の平均値を算出しても同じ結果が出る。

物価変動を反映させてみる


学校給食やバス・タクシー同様に、高速道の料金もまた、単純に額面の移り変わりだけでなく、当時の物価を考慮して考えた場合が良いこともある。各家計、利用企業への負担を考えた場合、単純な価格変動だけでは比較が難しいからだ。

そこで各年の料金に対し、それぞれの年の消費者物価指数を考慮した値を算出する。以前の記事【過去60年余にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】で用いた消費者物価指数の各年の値を使い、直筋となる2016年の値を基準として他の年の料金を計算する。例えば1975年の料金は1820円との値が出ているが、これは「1975年当時の物価が2016年と同じ水準だった場合、東京-大井松田間の料金は1820円になる」(※上記解説の通り今件値は2009年までは東京-大井松田間を測定している)次第である。

↑ 東京都の高速自動車国道料金推移(1975-2009年)(東京-大井松田間)(2010-2016年:東京-御殿場間)(2016年の値を元に消費者物価指数を考慮)
↑ 東京都の高速自動車国道料金推移(1975-2009年)(東京-大井松田間)(2010-2016年:東京-御殿場間)(2016年の値を元に消費者物価指数を考慮)

実額料金の上昇時である1970年後半から1990年半ばにかけては、物価そのものも大きく上昇していることもあり、実質的な負担料金はそれほど大きな変化を見せていないことが分かる。そしてそれ以降は物価そのものの安定と共に、実質料金にも大きな変化は見られない。観察対象区間が変更された際に、大きな上昇を示しているが、これは実額料金も同じように上げているので、妙な動きでは無い。また2014年以降の上昇分は、消費税率の引き上げに伴う動きに他ならない。



観察対象区間の変更と相前後して行われた、高速料金に関する各種社会実験だが、現在ではETCに関する割引が行われている(【ETC・割引情報(NEXCO東日本/ドラぷら)】)。それをのぞけば高速料金は、物価に連動する形でほぼ安定したものといえる。もっとも「高速道の料金が有料なのは一時的な話では無かったのか」と問われれば、それまでの話なのだが。

利用者にとって料金の動向は非常に重要であり、周辺界隈へも合わせ影響が大きい。今後も定期的に状況を確認し、過去からの推移を眺めていくことにしよう。


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