2009年10月分の景気動向指数は2か月ぶりの下落、先行きは2か月ぶりの下落

2009/11/12 12:00

景気イメージ内閣府は2009年11月10日、2009年10月における景気動向の調査こと「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによると、各種DI(景気動向指数)は相変わらず水準の50を割り込んでいる状況には変化はなく、現状は2か月ぶりに下落した。先行き指数も2か月ぶりの下落傾向を見せている。基調判断は厳しく、日本語としてはやや意味不明瞭な表現である「景気は、下げ止まってきたものの、このところ弱い動きもみられる」となった(【発表ページ】)。

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「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加
「景気ウォッチャー調査」とは毎月月末に調査を行ない翌月発表される、地域毎の景気動向を的確・迅速に把握するためのもの。北海道、東北、北関東、南関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の11地域を対象とし、経済活動の動向を敏感に反映しうる業種などから選定した2050人を対象としている。

また、調査結果中用いられているDIとはdiffusion index・景気動向指数のことで、3か月前との比較を用いて指数的に計算される。50%が「悪化」「回復」の境目で、全員が「回復」と答えれば100%、全員が「悪化」と答えれば0%に近づく。

2009年10月分の調査結果は概要的には次の通り。

・現状判断DIは前月比マイナス2.2ポイントの40.9。
 →2か月ぶりの下落。「やや良くなっている」判断が減り、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加。
 →家計においては前政権の景気対策効果が続いているものの、消費志向の高まりやデフレ現象、9月の大型連休の反動などもありマイナス。企業は受注や出荷に持ち直しの気配が見られるものの、受注量そのものが少ないことなどを受けて低下。雇用は一部で求人の動きがありプラスに。
・先行き判断DIは先月比マイナス1.7ポイントの42.8。
 →2か月ぶりのマイナス。
 →家計では前政権下における景気対策が一部継続することへの期待感はあるが、ボーナス減額への懸念からマイナス。企業は価格競争の継続、補正予算の執行見直しなどを心配することもあり、低下。雇用は新卒者への採用に対する懸念からマイナスに。

軟調傾向強まる
それでは次に、それぞれの指数について簡単にチェックをしてみよう。まずは現状判断DI。

景気の現状判断DI
景気の現状判断DI

先月と比べてマイナスの項目が多く、プラス項目もあやういところでマイナスになる可能性があったものが多いことが分かる。雇用項目は今後もう少し上乗せが期待できそうだが、他の項目は一進一退どころか後退を始めているように見える。

続いて景気の現状判断DIを長期チャートにしたもので確認。主要指数の動向のうち、もっとも下ぶれしやすい雇用関連の指数の下がり方が分かりやすいよう、前回の下げの最下層時点の部分に赤線を追加している。

2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)
2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)

グラフを見ればお分かりのように、2008年後半以降いわゆる「リーマンズ・ショック」をきっかけに、直近過去における不景気時代(ITバブル崩壊)の水準を超えて下落。2008年12月でようやく下落傾向が落ち着く状態となった。「各数値が1桁、あるいはゼロに限りなく近づくのでは」という懸念もあったが、2009年1月には横ばい、多少の上昇を見せ、2月以降は上昇が続いていた。今月は全体ではマイナスで、マイナス項目における下げ率はプラス項目における上げ率を大きく上回っており、「踊り場」というよりは下落開始の雰囲気が感じられる。

・下落傾向から反転。
・「雇用と全体の下落逆転」が
確認される。
・合計のDIは現状においては
02-03年の不景気時代の
最悪期よりは回復。
・動きは鈍く、下落感も。
「踊り場」から「再び下落」か。
ここ一、二年、すなわち2007年の夏における「サブプライムローンショック」以降の下落が「前回(2001年-2002年)の景気後退による急落時には、家計や企業、雇用動向DIの下落にぶれがあった。それに対し、今回の下落では一様に、しかも急速に落ち込んでいる(2007年後半-2008年中)」状態だったこと、そしてその現象が「世界規模で一斉にフルスピードで景気が悪化した」状況を表していることは、これまでに説明した通り。連鎖反応的に襲い掛かった数々のマイナス要素(いわゆる「金融工学危機」)が、多種多様な方面で一斉に経済へ悪影響を与えた様子が数字、そしてグラフにも明確に表れている。

今月も含めたここ数か月の動きは、2001年後半以降の大底からの反転・再下落の動向をなぞっている感がますます強くなってきた。この傾向が景気回復における「通過儀式」であるのなら、以前から触れているように天井付近で「雇用関連指数」と「合計全体指数」の交差が発生し、そこから再びしばらく(過去なら2002年半ば)は軟調さが続き、もみ合いながら景気の復調が見られることになる。今月発表分では前月までの天井感から下落の雰囲気が見られ、さらに2か月前の時点で「交差」現象が確認でき、それが継続状態にある。前回の傾向を踏襲するとすれば、これからしばらくは雇用情勢は一時期と比べて多少の回復が見られるものの、全体的には再び不景気が加速することになる。

景気の先行き判断DIについても、先月から転じて下落した。

景気の先行き判断DI
景気の先行き判断DI

プラス項目は3つのみ(正確には2つ)、しかも誤差の範囲でしかない。一方でマイナス項目はいずれも2-3ポイントの下落を見せており、プラス項目と比べて大きく下振れしているのが分かる。とりわけ企業はすべてマイナスになっているのが気になる。

2000年以降の先行き判断DIの推移
2000年以降の先行き判断DIの推移(前回不景気時の雇用関連の最下層に位置する赤線は当方で付加)

総合先行きDIはすでに2008年後半の時点で、2001年後半時期(前回の不景気時期)における最下方よりも下値に達していた。これはそれだけ先行きに対する不透明感が強かった、かつてない不安感を皆が感じていたことを示している(同時に株価同様に「半年-1年先を見通している」という先行指数そのものの意味をも裏付けている)。それ以降は横ばいか少しだけの上げで推移していたが、2008年10月で大きく底値を突き抜けてしまった。この傾向は「現状判断指数」と変わらない。昨年10月におきた株安や景気の悪化(「リーマン・ショック」)が、ただでさえ大きな不安感の中にある人々の心境をさらに追い落としてしまうと共に、家計や企業の先行き心理に与えたのかが分かる。

今月は全体的には一部でプラスを見せたがその値も小さめで、多くはマイナスを示している。特に製造業のマイナスが大きく、円高や政策懸念が強いことが分かる。

そして先月でも触れているが、「現状」同様に上昇・安定時の傾向「雇用指数が全体指数を大きく上回る」、その前提となるクロス・逆転現象が「先行き」でも確認できている。今月は雇用関連も多少下がったものの、いまだにクロス状態にあることは違いない。「現状」「先行き」共に、景気動向は次なるステップに進んだ可能性が極めて高く、そのステップを歩みつつある。……つまり、先月でも指摘したように、低迷期の再来である。

デフレ感強まる
発表資料には現状の景気判断・先行きの景気判断それぞれについて理由が詳細に語られたデータも記載されている。簡単に、一番身近な家計(現状・全国)(先行き・全国)に関して事例を挙げてみると、

■現状
・新型インフルエンザの影響で、団体客の一部がキャンセルになったものの、個人客は順調に推移し、週末客の入りも良い。大型観光施設が定期検査のため2週間運休することを懸念していたが、その影響もなく、売上は前年比104%と引き続き前年を上回っている(高級レストラン)。
・新車の販売台数は前年を上回って推移しているものの、価格の安い環境対応車に受注が集中しており、全体的な売上の底上げに繋がらない(乗用車販売店)。
・9月の大型連休ごろはある程度持ち直した感じがあったが、それ以降の売上は悪くなっている(旅行代理店)。
・新型インフルエンザで学級閉鎖が広がるなど、人の動きが非常に鈍くなっている(遊園地)
・大手流通の低価格戦略の影響で、スーツに対する客の低価格志向が強まり、1品単価、買上点数共に低迷している(衣料品専門店)。
・売上が前年比90%に落ち込み、前四半期と比較しても客単価が大幅減となっている。プライベートブランド商品、低価格商品が主体になり、更にセール続きで、他店との消耗戦の状態である(コンビニ)。

■先行き
・エコポイントを商品券に交換した客が、その商品券で買物する姿が増えている。年末年始の売出しには、特価品を求める客や交換した商品券を利用する客が増えると思われる(家電量販店)。
・低価格が当たり前になってきている。スーパー各社もディスカウント業態に着手し始めており、低価格競争が今後の勝ち負けを左右する(スーパー)。
・売上には下げ止まり感も出てきたが、冬のボーナス支給額が大きく減るほか、雇用の先行き不安も解消されていないため、このまま改善することはない(百貨店)。
・年内の個人旅行は9月の大型連休により先食いされ、需要が見込めない状況である。年末年始も日並びが悪く、冬のボーナスの減額等により大きな需要が得られない (観光型ホテル)。

など、冒頭でも触れたように大型連休の反動やデフレなどの影響が色濃く出ているのが分かる。

さらに掲載は略するが、特に企業動向で景気の良し悪しに対する二極化、商品価格の下落、そして政策不安などの声も見受けられる。今後の政策動向次第ではさらなる下落を予見させるものも多く、不安視せざるを得ない。



金融危機による市況悪化で
景気感は一挙に急降下。
耐久消費財の値上げや雇用喪失など
実体経済への傷も深い。
海外の不景気化も影響し、
外需中心の企業も大きな痛手。
内需中心の企業にも波及する。
「底打ち感」による「回復の兆し」も
見られたが、政治要因を起因とする
不安要素が噴出、企業関連で拡散。
現在は前回不況パターンと同じ、
「景気は今より少々悪め」な状態に
突入している可能性。
一連の「景気ウォッチャー調査」に関する記事中でも繰り返し指摘しているように、今回の景気悪化(と復調)が、2001年から2003年にわたった「景気悪化」と「その後の回復」パターンを踏襲する可能性がますます高くなってきた。現時点で(下げ幅こそ違えども)着実に踏襲を継続中である。

その仮説が正しければ、すでに最大の底値は脱しており、今後は比較的短期の再下落を経て、横ばい・回復基調が続く可能性は高い。実際すでに「現状」「先行き」ともに、本格的な上昇の事前現象である「全体指数を雇用関連指数がクロスして大きく上向く」の先駆けともいえる「クロス」現象が確認でき、今月もその状況が続いている。あとはこれが継続、下落傾向に至れば、パターン踏襲がより確実なものとなる。

また一方で、底値における値が前回の不景気時と比べてかなり低い状態にあることから、たとえこのまま上昇・横ばいの傾向を継続したとしても、あるいは前回パターンと同じように今後下落した上で低迷期間を経験するにしても、DI値が50をかなり下回る値で継続する可能性がある(いわゆる「何となく不景気」状態の継続)。

今回の不景気は海外要因に寄るところが大きかった。つまり日本一国だけではどうにもならない項目が多かったといえる。日本国内でどれほど善策を講じても、昨年2008年のリーマンズ・ショックのような海外の「大きなマイナス要因」があれば、すべてを台無しにしてしまう。それほど世界経済はグローバル化が進んでいる。

さらに今後しばらくの間は国外要素に輪をかけるかたちで、国内要素(政治・政策上の不安定感)がマイナスに作用する可能性が高い。今度は「日本一国だけがどうにかなってしまっている項目」が増える可能性があるわけだ。少なくとも夏以降は、政局・政策・金融市場の観点では、控えめに表現しても「混乱・愚策の極み」にあると表現しても過言ではない。海外の経済動向だけでなく国内のさまざまな動きを見極め、正しい情報を元にした正しい判断のもと、景気の流れを慎重に見守り、そして行動する必要があるだろう。

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