東京都におけるインフルエンザ報告数をグラフ化してみる(2009年11月12日版)

2009/11/12 06:43

インフルエンザ定点観測イメージ【東京都感染症情報センター】は2009年11月11日、同年第45週(11月2日-11月8日)時点での東京都内医療機関におけるインフルエンザ(季節性・新型双方合わせた)の疾病報告数定点観測データを公開した。報告数は前週と比べて減少しており、直近の山場は越えたようにも見えるが、計測週は休みを一日多く抱えており、まだ油断は禁物である(【定点報告疾病集計表・週報告分データ】)。

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まずは感染症名を「インフルエンザ」(新型インフルエンザ+季節性インフルエンザ)に設定し、「5年間比」をクリックした上で「更新」をした結果が次のグラフ。

東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年・45週目までも含めた過去5年間)
東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年・45週目までも含めた過去5年間)

分かりやすいように増加傾向を見せ始めた今年の30週目あたり以降(要は直近)を青丸で囲っている。過去5年間には無かった、夏季からの漸増傾向が確認できる。念のため過去データが用意されている1999年分までさかのぼってみたが、夏季のこの時期にこのような形を見せた前例はない。また今回計測週における報告数は、久々に前週と比較してマイナスの値を示している。

ただ冒頭でも触れたように、今計測週は通常週と比べてお休みの日が一日多く(文化の日)、その影響による可能性も否定できない。さらに「減った」とはいえ、例年と比べて極めて多いことに違いは無く、引き続き警戒を有する状況である。

グラフの両端、つまり冬季においては、毎年のグラフの山盛り部分の形や幅をみれば分かるように(そして通常のインフルエンザの流行に関する過去の記事【計測史上最速のインフルエンザ流行宣言】)にもあるように、各流行のインフルエンザウイルスのタイプや気象状況など複数の環境による、流行傾向(流行のピークや流行期間)に差異がみられる。上限や横幅、山の形など多種多様。しかし夏場においては、これまで季節性インフルエンザが報告される傾向はほぼ皆無だった。

このことを考慮すると、今回上昇を見せているインフルエンザ報告例のほとんどは、「新型インフルエンザによるもの」と考えて間違いない。実際に国立感染症研究所の【発表データ】などを見ても、そのほとんどが新型インフルエンザによるものであることが確認できる。ただし、例年のパターンと比べるとすでに「季節性」インフルエンザが広まりだす時期でもあるだけに、今後は新型と季節性の双方を合わせたものとして数字を見ていく必要がある(要は両方のインフルエンザの合算値であることを考えれば、例年以上の値は容易に想像できる、ということ)。

各週の報告数全体における若年層の割合は、学校生活という特殊な(そして感染がおこりやすい)閉鎖環境で過ごす時間が長いことから、20代までが多い。しかしながら季節性インフルエンザと比べると、とりわけ10代までの感染割合が多いのが気になる。

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-45週)
東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1-6週と27-45週)

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-45週、積み上げグラフ)
東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、2009年27-45週、積み上げグラフ)

最新の2009年45週では、先週同様に9歳未満の患者数「割合」が増加、10-14歳はやや減少している。この7週間ほど9歳未満の報告数が増加を続けており、今週はついに過半数(50.5%)に達してしまった。もちろん流行時においてはイレギュラー値を見せた28週を除くと、最大の割合である。この年齢階層「だけ」を見れば季節性インフルエンザにおける傾向と同じように見える。が、しかしながら10-14歳・15-19歳の10代患者の割合の大きさは季節性とはかけ離れており、引き続き若年層への警戒を強化するべき状況を再確認させるデータとなっている(学校滞在時間が長いなど、特殊環境下における生活時間が長い特性のためだろう)。

元々厚生労働省の流行シナリオは、乾燥時期の真冬に流行する季節性インフルエンザの流行パターンを、そのまま今年の夏季にスライドしたものであり、乾燥(≒インフルエンザの感染・拡散に大きく影響を及ぼす)については考慮されていない。実際のところ、前回計測週-今回計測週が直近のピークであるとすれば、予想から一か月近く後ろにずれ込んだことになる(【年内約2550万人・ピーク時で76万人/日が発症・新型インフルエンザの流行シナリオを確認してみる】)。今後、今データにおいては季節性インフルエンザの増加による数字の上ぶれが容易に想像できるため、医療機関のキャパシティが気になるところだ。

もちろん以前から繰り返し伝えているように、感染拡大の場となりやすい教育機関においては一人ひとりがうがいや手洗い、無用な人混みに足を運ぶことを避ける・マスクを欠かさない、十分な睡眠と栄養管理で身体の抵抗力を強固なものとしておく、体調不良時には「電話で連絡を入れて相談した上で」医療機関におもむくなど、季節性インフルエンザとほぼ同じ対応を「確実に行う」「繰り返し行う」ことの大切さを改めて強調しなければならないのは言うまでも無い。これらの対応で、感染拡大は最小限に抑えられる(さらに季節性インフルエンザ対策としても十分な役割を果たす)。学校で繰り返し、啓蒙を行うことが欠かせまい。また、いわゆる「ハイリスク者」に対しての気遣い・備えも十分以上に行う必要があろう。


■関連記事:
【一般のマスクは新型インフルエンザに効果があるのか無いのか】
【南オーストラリア州の(新型)インフルエンザの感染拡大グラフを検証してみる】

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