ドイツとロシア、イギリス…諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているか(番外編その2)(2017-2020年)(最新)

2021/01/25 05:39

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2021-0114先に【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているか】などで【World Values Survey(世界価値観調査)】の公開値を基に、諸外国の「組織・制度に対する信頼度」のグラフ作成とその内容の解説をしたところ、該当する国以外にも普段ニュースなどで取り上げられている国について、その状況をチェックしたいとの問い合わせをいくつかいただいた。そこで今回は該当記事で対象にした国以外で、最近見聞きする機会が多い国のうち、ヨーロッパに位置する国を3つほど、具体的にはドイツとロシア、そしてイギリスについて抽出し、その動向を確認することにした。

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今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項などは先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度】を参考のこと。

まずはロシアから。2017年の調査。

↑ ロシアにおける組織・制度への信頼度(非常に信頼・やや信頼−あまり信頼しない・まったく信頼しない)(2017-2020年)
↑ ロシアにおける組織・制度への信頼度(非常に信頼・やや信頼−あまり信頼しない・まったく信頼しない)(2017-2020年)

ロシアは元々宗教色が強めの国で、ソビエト共産党時代には抑圧されていた状態にあった。そのソ連体制が瓦解したことによる反動が、現在にも続いている感はある。また各種「●×団体」がすべてプラスなのは興味深い。一方で「警察」と「国軍」、二つの「公的実力行使組織」への信頼度がここまで差を見せている国も珍しい。「国軍」の信頼度は「大学」「宗教団体」を超えトップとなる値なのに対し、「警察」はプラス3.5%でしかなく各種団体と同程度の扱いとなっている。また、「裁判所」への信頼度が低くマイナス値を示しているのも特筆すべき状況で、他の国ではあまり見られない。

メディアへの信頼度も低い。「テレビ」はもとより「新聞・雑誌」のそれは「国連」に次ぐ低さである。その「国連」が組織・制度の中ではもっとも信頼されていないのもロシアらしいといえばロシアらしいか。

続いてドイツ。経済の堅実さではヨーロッパ諸国の中で群を抜いている。なお「テレビ」「大学」「銀行」「女性団体」「慈善団体」については現在集計中らしく値が非開示となっている。あるいは元から設問が用意されていない可能性がある。

↑ ドイツにおける組織・制度への信頼度(非常に信頼・やや信頼−あまり信頼しない・まったく信頼しない)(2017-2020年)
↑ ドイツにおける組織・制度への信頼度(非常に信頼・やや信頼−あまり信頼しない・まったく信頼しない)(2017-2020年)

ドイツではトップが「警察」、次いで「裁判所」、さらに「環境保護団体」が続く。「環境保護団体」が公開されている中では第3位についているのはドイツらしさが垣間見られる。他方、「国軍」に対する信頼度はプラス1.6%でしかない。

「政党」に対する信頼度が非常に低いのも特徴的。「行政」はプラス、「政府」「国会」はマイナスだがその幅は「政党」ほどではない。「大企業」がマイナス51.1%なのに対し、「政党」はそれをも超えている。いったいどれほど信頼されていないのか。利己主義的に走るようなイメージが持たれているのかもしれない。

最後はイギリス。先日EUから脱退したことで世界中から注目を集めている。なおドイツ同様に「テレビ」「大学」「銀行」「女性団体」「慈善団体」については現在集計中らしく値が非開示となっている。あるいは元から設問が用意されていない可能性がある。

↑ イギリスにおける組織・制度への信頼度(非常に信頼・やや信頼−あまり信頼しない・まったく信頼しない)(2017-2020年)
↑ イギリスにおける組織・制度への信頼度(非常に信頼・やや信頼−あまり信頼しない・まったく信頼しない)(2017-2020年)

もっとも高い信頼度を得ているのは「国軍」、次いで「警察」。社会情勢の不安定さを感じさせる動きではある。次いで「環境保護団体」がついているのはドイツと似たような雰囲気。

他方、「行政」はともかく「国会」「政府」「政党」などの政治方面が軒並み大きなマイナス値で、特に「政党」はマイナス66.0%を示しているのが目に留まる。一方で「労働組合」もマイナス28.0%と大きなマイナスなのは珍しい。そして「新聞・雑誌」がマイナス72.3%と開示されている中ではもっとも大きなマイナス値となっており、イギリスでの報道メディアのポジションがうかがい知れる。「テレビ」は現時点で非開示だが、いったいどれほどの値となるのだろうか。



いずれの国でも開示されている限りでは「テレビ」「新聞・雑誌」がマイナスであること、「-団体」に代表される民間集合体への信頼度が比較的高い傾向には注目したいところ。社会がある程度成熟してくると、このような動きを示すのだろうか。


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