犬と猫、専門雑誌バトルはまだ続く…諸種部数動向(2009年7-9月)

2009/11/11 06:31

先に【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年7月-9月データ)】などで【社団法人日本雑誌協会】が2009年11月6日に発表した、2009年7月から9月分の主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータを元に、いくつかのグラフを生成した。今データは定期的に更新され、すでに丸一年以上のデータが取得できたため、季節属性にとらわれない「前年同期比」の値を出せるようになったことは、これまでの記事でお伝えした通り。今回は番外編として、過去に【犬と猫、専門雑誌バトルはどちらに軍配が!? その他色々な雑誌部数の変化をグラフ化してみる】で紹介した、当サイトで定点観測しているデータ以外のいくつかの雑誌について、「前年同期比」における部数推移をグラフ化してみることにした。雑誌不況はどこまで、どのジャンルに浸透しているのか、どこまで進行しているのか、ある程度はつかみとれるはずだ。

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データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」などの用語説明は、一連の記事まとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】に収録されている。そちらで確認をしてほしい。

まずは一般週刊誌。今期は前期と比べて多少はマシかな……という感じ。

一般週刊誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)
一般週刊誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)

データを検証している際に気がついたのだが、複数の雑誌で前期比(前年同期比では無い)でプラスに転じている雑誌が存在している。例えば前年同期比で唯一大きなプラスを見せた「週刊現代」は前期比で16%もの伸びを見せている。「夏期休暇」という季節属性にしては……とよく考えなおしてみたら、この時期には総選挙があったため、俗っぽい選挙関連記事でそれなりにウケたのだろうと推測される。逆にいえば「選挙特需」があったにも関わらず、多くの雑誌はマイナスを記録しているわけだ(そして自分らが煽った結果生み出された状況が、ますます自分たちの首を間接的にしめている現況は、ある意味滑稽ですらある)。

続いて育児系雑誌。

育児系雑誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)
育児系雑誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)

育児系雑誌は比較的手堅いジャンルであったはずだが、それでも今期はかなり辛い状況に。「プレモ」は幸いにも前期比で大きな伸びを見せているが、他は結構大変。「こっこクラブ」は前期同様前年同期比で10%超えのマイナス。

食・料理・レシピ系雑誌。内食・中食が注目されるようになり、ニーズはますます高まるばかり。一般紙における特集紙もしばしば見かけるようになったが……。

食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)
食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)

当方の愛読書でもある「オレンジページ」は前回同様大きなマイナス。かなりショックである。しかしそれよりも、「bonmerci! little」の減少ぶりが気になる。前回の記事でも同じような言い回しをした記憶があるが、前年同期は約13.5万部、直近期は8.9万部。現実は厳しい。

エリア情報誌。こちらは「福岡ウォーカー」「北海道ウォーカー」の2紙が新しくデータ掲載対象紙として登場しているが、まだ1年分のデータが蓄積されていないのでグラフ上には登場しない。

エリア情報雑誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)
エリア情報雑誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)

対象雑誌は全部マイナス。特に「東京ウォーカー」の減りっぷりがかえって潔いほど。ちなみにこれらのエリア情報雑誌のうち、印刷実績そのものが一番大きいのは関西ウォーカーの11.5万部。

最後に、記事タイトルにも挙げた「犬猫バトル」こと、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。

犬猫雑誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)
犬猫雑誌印刷実績変化率(2009年7-9月、前年同期比)

この雑誌不況の中、両紙とも堅調な伸びを見せている。特に「いぬのきもち」は期毎の絶対販売数推移でも堅調な伸びを見せている。前回同様に「犬猫バトル」は(猫派の当方としては残念ながら)犬派に軍配が上がったようだ。



以上ざっとではあるが、定点観測の対象外となっている各種雑誌について、前年同期比の印刷実績の推移をグラフにしてみた。「犬猫雑誌」のような例外を除けば、ほとんどが前年同期で1割前後の売れ行き減を見せており、また休刊紙も少なくない。

意外なのはニーズが高いはず(【教育費 生活苦でも 減らしません 苦しい時こそ 子への期待を】などにもあるように子供にかける費用は削られない傾向がある)にも関わらず、育児系雑誌が大きく落ち込んでいること。育児を本で学ぶ人が減っているのか、あるいはインターネットにスライドしているのか、その因果関係まではつかめないが、注目すべき傾向といえる。

また、今記事は「前年同期比」であるためマイナス値が多いが、「前期比」で見ると一般週刊誌においてプラスを見せるものがいくつか確認できる。これは本文中でも触れたように、いわゆる「選挙特需」によるもの。テレビ業界でも昨年から「特需特需」と連呼し、その効果を最大限に確保しようと世情をあおる記事を乱発していたが、それと同じような作戦が見事に功を奏したようだ。ただしこれに味を占めた一部の雑誌が、ますます扇動を強めている傾向があり、まるでワクチンとウイルスのいたちごっこのような状況を呈している。これもまた本文中で説明しているが、今後このような姿勢が直接・間接的に「自業自得」になる可能性は否定できない。

次回の同趣旨の記事は来年頭に、9-12月分について掲載する予定。雑誌業界にも(正しい方向性で努力している雑誌については)光明がさしてくれば良いのだが。

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