2009年11月10日
ビジネス・マネー系雑誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年7月〜9月データ)
2009年11月10日06:57
【社団法人日本雑誌協会】は2009年11月6日、2009年7月から9月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、各紙が発表している「公称」部数より正確度が高く、各雑誌の現状を「正確に」把握できるデータでもある。今回は当サイトのメインテーマにもっとも近い「ビジネス・マネー系雑誌」についてデータをグラフ化し、前回からの推移を眺めてみることにする。具体的なデータは、【直近が2009年7月〜9月のもの】。以前記事にしたのは直近データが2009年4月から6月のものだったので、それから3か月が経過したことになる。掲載されているデータはいずれも「1号あたりの平均印刷部数」で、印刷証明付きのもの。つまり「この部数を間違いなく刷りました」という証明がついたもので、雑誌社側の公称部数ではなく、また「販売部数」でもない。雑誌毎に季節による売上の変動や個別の事情があり、そのまま比較すると問題が生じる雑誌もあるが、その場合は個別で説明していくことにする。どこまで雑誌数の印刷(≒販売)部数が変わっているかが気になるところ。
それではまず、2009年の7〜9月期とその前期、2009年4〜6月期における印刷実績を見てみることにする。

2009年7〜9月期と2009年4〜6月期によるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績
【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年7月〜9月データ)】の週刊少年ジャンプの郡を抜く売れ行きのように、雑誌名通り「プレジデント」が断トツで印刷部数が多い状況に変化はない。また、いわゆる「季節特性」(今期が夏期休暇を含むので通勤・通学の際に読まれる雑誌は減少している)は、それなりに影響が出ているようだ。むしろ減らしている雑誌の方が多いようにすら見える。順位に変化はなく、幸いにも雑誌名の変更や休刊・廃刊、さらには追加誌も無し。
続いて各誌の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化する。要は約3か月の間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すもの。よほどの「イベント」が発生するか、あるいはたまたま定期的な印刷部数見直し時期に当たらない限り、3か月間で大きな変化は見られないはず。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)
今期においては前期比プラスは「オール投資」のみ。これまで3期連続してマイナス5%超を記録していただけに、さすがに今期はリバウンドしたのだろう。ただ、それ以外はすべてマイナスなのが厳しいところ。個別で見ると「ビジネスアスキー(月刊アスキー)」が前回のマイナス8.0%に続き今期もマイナス8.3%を見せており、少々気になる。
さて一連の定点観測を続けたことでデータ蓄積量も一年分を超え、「前年同期比」のデータを算出することができるようになったのは前回お伝えした通り。今回も「季節属性」を考慮しなくても済む「前年同期比」のグラフも生成し、掲載する。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)
不景気な昨今においては経済誌は逆に「読み応えのある記事の書きどころ」な気もするのだが、売れ行きを伸ばしている雑誌は少ない。プラスは3誌のみ、マイナスは7誌。特に「ビジネスアスキー」「オール投資」「THE21」あたりは見ていてヒヤヒヤするレベルのもの。スピード感やマルチメディアによる情報の見やすさという点では太刀打ちできない、インターネット系メディアに読者を奪われているのだろうか。
昨年秋ごろの「リーマンブラザーズショック」を天井にする形で、金融・経済系のウェブサイトにおける(確証度・知名度・権威度の高い新聞社・法人系サイトを中心にした)アクセスの増加傾向はやや速度をゆるめている。しかしパソコンや携帯電話、各種モバイル端末からアクセスできるインターネットメディアへの、紙媒体からの読者移行の流れは留まるところを知らない。特にリアルタイムで情報が変わる経済系ジャンルにおいては、雑誌の不利さは他のジャンル(漫画や趣味系の雑誌)の比では無い。
この現状を認めつつ、「それでは紙媒体・雑誌ならではの内容、雑誌にしかできない情報提供・読者へのサービスとは何だろうか」という基本原理に立ち返り、その答えを見つけ出して躊躇することなく実践し、読者に受け入れられるように姿かたちを変えていく。ビジネス・金融・マネー誌にはその「進化のための努力」が求められているに違いない。
これらの書籍が参考になります
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