Vジャンプ減少は前回の反動、声優系雑誌の伸びが目覚ましい…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向(2009年7月-9月)

2009/11/09 07:29

【社団法人日本雑誌協会】は2009年11月6日、2009年7月から9月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、正確さという点では各紙が自ら発表している「公称」部数よりはるかに高精度、精密な値である。今回は「ゲーム・エンタメ系」のデータをグラフ化し、前回掲載記事からの推移を眺めてみることにする。

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データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」などの用語説明は、一連の記事まとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】に収録されている。そちらで確認をしてほしい。

それでは早速、まずは2009年の7-9月期と2009年4-6月期における印刷実績を見てみることにする。

2009年の4-6月期と2009年7-9月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績
2009年の4-6月期と2009年7-9月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績

今回も前回に続き、いくつか対象誌について変更があった。まず「電撃HOBBY MAGAZINE」がデータ非公開へ。雑誌そのものはまだ刊行されているので、少々謎ではある。また、「ユニックス・マガジン」と「ネットワークマガジン」が2009年4月に統合し、「アスキードットテクノロジーズ」として生まれ変わっている。

状況についてだが、やはり大勢として「Vジャンプがずば抜けた売上」「週刊アスキーの健闘」「アニメ系ではニュータイプがトップ」などの傾向は3か月前と変わらない。この傾向は5四半期継続したものであり、このジャンルにおける「鉄板トップ3」というところだろう。

また、いわゆる「季節特性」(今回が夏休みをフルに対象期間としており、「通勤・通学の際に購入されやすいタイプの雑誌の印刷数が減った(=販売数が減る))や、特集・付録の性質による減少、前回からの反動がいくつか確認できる。

次に直近3か月における印刷数の変移はどのようなものか、グラフ化してみることにする。

雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)
雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)

3か月単位の変動値であり、季節特性だけでなく「取り上げている作品の人気」「新作映画やゲームとの関連」「付録」「前回期の動向」など、イレギュラー性の高い要因に大きく左右される可能性が高いことをあらかじめ書き記しておく。とはいえホビー系の雑誌は多かれ少なかれそれを宿命としており、その「イレギュラー性」を乗り越えねばならない。たとえばゲームソフト自身に大ヒット作が出なかったからといって「ゲーム専門誌も売れませんでした」では経営陣も首を縦にはふるはずも無い。

突発性要素による「ぶれ」の範囲をプラスマイナス5%台とやや甘めに見て区分わけすると、ネガティブが4誌、ポジティブが5誌となる。前期と比べると、多少状況は良いようにも見える。前回「行く末が非常に気になるところだ」とコメントした「ファミ通DS+Wii」は見事に前期比16.3%のプラス。リバウンドの感も否めないが、あっぱれであることに違いは無い。また伸び率だけを見ると「ニュータイプ THE LIVE」がずば抜けている。ただこれは元々の印刷数が少なく、前期比で5000部増しでしかないことを考えると、特異な例といえる。

Vジャンは前回の反動か。
「Vジャンプ」は前期で『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』関連の情報掲載、そして「遊戯王」の限定カードプレゼント(通販)が大きくプラスに働き思いっきり印刷数を伸ばしたため、その反動が来たのだろう。「アスキー・ドット・ピーシー」は前2期に渡り大幅な伸びを見せたが、今期は失速。一休みして次期は再び躍進を見せてほしいところ。

さて、前回の記事でも触れたように、都合一年分以上のデータが蓄積できたため、今回も前年同期比の変化率をグラフ化する。これならいわゆる「季節特性」による影響は考慮することなく、純粋にその雑誌の動向を確認できる。なお当然ながら、今回データが非開示となった雑誌、1年分の過去データが蓄積されていない雑誌はこのグラフには登場しない。

雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系、前年同期比)

最近頑張っている「アスキー・ドット・ピーシー」や、独占企画・他メディアとの連動企画で独自性を次々に打ち出している「Vジャンプ」、そして声優系雑誌の多くはプラスを維持。この雑誌不況の中、大したものである。一方で「ファミ通DS+Wii」や「ハイパーホビー」などは2割前後の落ち込みを見せており、かなり気になるところ。



男性・少年向けコミックの前年同期比データと比べれば「前年同期比でプラス」の雑誌数が多いだけややマシな気はするが、それでもこのジャンルにおいても全般的に苦戦していることは否めない。上位、前期比でプラスを見せる、あるいは堅実な動きを見せる雑誌には「他誌には無い、自分のところだけのオリジナリティ・コンテンツ」が際立つ傾向があり、それが読者に受けて印刷数(販売数)を伸ばしているように見える。

ただでさえ不景気で可処分所得が減少し、さらに携帯電話や携帯ゲーム機に読者候補者の時間を奪われる昨今。お金や時間を割いても「手にとって読みたい」と思わせるだけの魅力を出すには、「ひと山何百円」に見える同じようなもの、では無く「限定何個、これっきりの特別販売品」に見える個性的なものを創り出す必要がある。もちろん、その個性が強すぎて皆に敬遠されてしまっては身もフタもないが。

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