【更新】文字や絵柄が言葉通り「飛び出て」きそうな3Dアートたち

2009/10/28 07:13

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トリックアートイメージ実際には平面帯に絵や文字が描かれているだけなのに、視点を変えるとそれらがまるで立体感を持ち浮き出てくるような錯覚に陥る(言い換えれば「飛び出す絵画」)絵のことを「Anamorphic Art」あるいは「Anamorphosis」(歪み絵)と呼ぶようだ。Uphaa.comでは11もの「歪み絵」こと「Anamorphic Art」を紹介していた。製作はスイスのアーティスト【Felice Varini氏】やドイツ・ハンブルグ在住のグラフィックデザイナー[Axel Peemoeller氏]によるものだが、氏らの作品のうちいくつかを紹介し、その「飛び出し」ぶりを堪能することにしよう。


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YouTubeで見つけたFelice Varini氏の作品。動画でその「飛び出る」ぶりが分かる。
YouTubeで見つけたFelice Varini氏の作品。動画でその「飛び出る」ぶりが分かる。


要は、通常の視点では「単なるゆがんだ文字やばらばらのパーツにしか見えない」ものの、特定の視点から見ると「塗った部分のゆがみが無くなり、すき間も埋まって見え、キレイな文字や絵が3Dのように浮かび上がる」という仕組み。いわゆる「だまし絵」と考え方は近い。

地下駐車場における「UP」(登り)を示す「歪み絵」。入口近くから見ると、「UP」の文字がキレイに浮かび上がって見える。
地下駐車場における「UP」(登り)を示す「歪み絵」。入口近くから見ると、「UP」の文字がキレイに浮かび上がって見える。


バラバラのパーツが視点によって一つの文字や絵に見えるという点では、この「DOWN」の方が分かりやすい
バラバラのパーツが視点によって一つの文字や絵に見えるという点では、この「DOWN」の方が分かりやすい

必要な場所から見た時点で初めて、しかも強烈な(飛び出るように見えるのだから当然)メッセージ性を持つこの手法は、このような「実用」はもちろん、芸術的な手法としても多数用いられている。

なんか屋根から赤い三角が飛び出ているんですが……
なんか屋根から赤い三角が飛び出ているんですが……


実際には「飛び出る」ように、周囲の建物をペイントしている事が分かる動画。
実際には「飛び出る」ように、周囲の建物をペイントしている事が分かる動画。

普通に見ると、警戒用のものだろうか、黄色の線が無造作に塗っているだけのように見えるが、ある視点から見るといくつにも重なった同心円が浮き出て見える
普通に見ると、警戒用のものだろうか、黄色の線が無造作に塗っているだけのように見えるが、ある視点から見るといくつにも重なった同心円が浮き出て見える

この「錯覚」について【sasapong's room】では、

我々は普段から3次元構造を知覚してますが,実際は網膜に投影された2次元像から頭の中でその3次元構造を推測して理解しています。で,3次元構造を理解しようとするとき,その2次元像が得られる3次元構造というのは実は無限に考えられるんですが,我々は一番「あり得る」構造として理解しようとします。

「あり得る構造」,というのは,少々視点が変わっても安定して同じような2次元像が得られるような3次元構造ということです。わかりやすい例えを挙げるならば,立方体を真っ正面から見ると正方形に見えますが,我々は正方形を見たときは,偶然真っ正面から見た立方体として理解するのではなく,正方形として理解しようとします。

このトリックアートは,そういった人間の3次元構造知覚の仕組みを逆手にとって,ある特別な視点から見ると,他の視点から見たときとは違う3次元構造が安定して得られると理解されてしまうように上手く計算して壁に図形を描いてるわけです。

と説明している。要は人間が生まれつき持っている「脳内の補正本能」をうまく利用したトリックというわけだ(ちょっと前にネット界隈で流行った、「ところどころ文字が欠けている文章を、ぱっと見でちゃんとしたものに読ませる」のと原理は同じ)。

使い方次第では最初の地下駐車場における警告のように、有効活用もできるこの手法、当然広告手段としても活用できそうな気がする。ただ「特定の場所から見ないと浮き出てこない」特徴をうまくこなさないと、「不特定多数の人に観てもらう」ことに価値がある広告としては今一つ使いにくい。例えば大勢の人が利用する交差点の、信号待ちをする場所から見た時に限り浮き出るメッセージなど、考える必要はあるだろう。


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