40年あまりにわたる学校給食費の推移をグラフ化してみる(最新)
2020/05/18 05:22


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45年で2倍強に上昇
給食費といえば上記にある通り、子供の食生活における「気にかかる負担」であるとともに、昨今では【公立学校の給食費未納状況をグラフ化してみる】などで解説しているように、未払い・不払い問題が話題として持ち上がっている。その観点からも、今後何らかの形で学校給食に関して検証が必要な際、具体的な額面を認識しておいた方が理解がしやすくなる。
主要データは【50年前の商品の価格を今の価格と比較してみる】同様に、総務省統計局の【小売物価統計調査(動向編)調査結果】から取得したもの。1975年以降の値が確認できるので、それ以降、年次ベースで数字を取得できる2019年分までのもの(東京都区部小売価格)を逐次抽出していく。さらに2020年分は月次で4月分まで確認できるので、その4月分を暫定的に2020年分として取り扱う。
なお小学校の低学年に関しては2016年12月分をもって計測が終了してしまっている(総務省に確認済み)。よって今件記事では小学校低学年の値は2016年の値が最新のものとなる。

↑ 公立小中学校の給食費(東京都区部、月額、円)(2020年は直近月)
学校給食が戦後再開されたのは1946年であるとされている。しかし法律で正式に制定された(学校給食法)のは1954年。小売物価統計調査の公開値として取得できるのは、給食開始(再開)から20年あまり後をスタートとしているため、給食費の全ぼうを確認するのには、不完全な感は否めない。しかし今回取得できた範囲内で見ても、急激な変化は無く、緩やかな上昇に留まっているようだ。
一番古い値の1975年当時は、月額で小学校低学年では約1800円、高学年で約2000円強、中学校で2300円近く。これが直近の2020年(小学校低学年は上記の通り2016年)ではそれぞれ約3700円・4400円近く・4900円強。2倍強に留まっている。消費者物価の動向もこれに近い動きであることを考えると、それなりに健闘しているといえよう。
消費者物価指数の動向を反映させてみる
さて学校給食の場合、単純に額面の移り変わりだけでなく、当時の物価を考慮して考えた場合がよい、とする意見もある。各家計への負担を考えると、単純な価格変動だけでは比較が難しいからだ(40年前の1000円と今の1000円とでは、家計の負担が違うのは言うまでも無い)。
そこで各年の給食費に、それぞれの年の消費者物価指数を考慮した値を反映させることにした。具体的には【過去70年近くにわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】で取得したデータを基に、直近の2020年における消費者物価指数をベースとし、過去の各額面を修正していくことになる(いわゆるウェイトバックというもの)。
その計算の上で作成したのが次のグラフ。よい機会でもあり、最古のデータ1975年から直近の2020年に至る変化率も算出して、別途グラフにした。

↑ 公立小中学校の給食費(東京都区部、月額、2020年の値を基に消費者物価指数を考慮、円)(2020年は直近月)

↑ 公立小中学校の給食費上昇率(東京都区部)(1975年→2020年(小学校低学年は2016年))
消費者物価指数を考慮すると給食費は1975年以降むしろ漸減、1990年前後からようやく上昇しはじめるも、その上昇幅はゆるやかであることが分かる。1975年からの上昇率は、わずか2割足らず(小学校低学年13.4%、高学年15.5%、中学校15.8%)。給食の内容まで精査すれば、実質的に値上げなど無いも同然といえる。給食費がいかに「物価の優等生」であるのがうかがいしれよう。
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