「相対的貧困率」について色々と考えてみる……(1)発表データのグラフ化と二つの貧困率

2009/10/21 17:17

グラフ化イメージ2009年10月20日、厚生労働省は長妻昭厚厚生労働大臣の指示に従い、OECD(経済協力開発機構)のガイドラインに沿った「相対的貧困率」について、過去10年間のデータを発表した。各種報道ではこれを元に「貧困率拡大」など伝え、長妻厚生労働大臣も「子供手当を含めて数値を改善する政策を打ち出したい」と語るなど、子供手当の後押しとなるデータを算出したように報じている。今回はこれについて、色々とグラフなどを交えて、通常とは違った形式(フランクな形で)考えてみることにする。

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まず、発表資料そのものはこちら【相対的貧困率の公表について】。PDFファイルの中身を見ると、「厚生労働省の国民生活基礎調査を元に算出したよ」「世帯の所得を元にしたよ。現物給付は別だよ」「所得から税金や社会保険料や固定資産税を除いた可処分所得で計算しているよ」などとあるね。不動産などの「資産」は考慮外なので、「元から資産を持ってる富裕層はどうなるのよ」という意見もあるが、今件では考慮外にしておこう。

この結果をまとめた図は次の通り。

相対的貧困率の年次推移
相対的貧困率の年次推移

「過去10年分・統計区分は4回だけで貧困拡大云々を語るのは雑すぎないか」「何でもっと前の分からデータ化しないの?」というツッコミもあるけれど、とりあえずこれを元に、【時事通信】などが報じるところでは、

・1997年以降最も高い数値だった。
・長妻昭厚労相は同日の閣議後記者会見で、今後、削減目標を設定する考えを示すとともに、「子ども手当を含めて数値を改善する政策を打ち出したい」と語った。

と語っているそうな。

それでは「相対的貧困率」って何だろう。「全国民の中での低所得者の割合や経済格差を示す」「可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合」とあるが、どうも把握しにくい。「相対的」があるのなら「絶対的」もあるんじゃないかな。

ということで、調べてみると、こんな感じだ(【Wikipedia】より抜粋。一部改変)。

絶対的貧困率
当該国や地域で生活していける最低水準を下回る収入しか得られない国民が全国民に占める割合の事。 相対的貧困率よりも実状を反映しやすいという特徴があるが、逆に言えば、「生活していける水準」を どのように設定するかによってさまざまな基準があり、設定者の主観が入りやすいという危険を持つ。

日本国憲法に規定されている「文化的な最低限度の生活」の具体的枠組み・解釈は人によって違うとして、色々論議があるけど、それと似たようなリスクがあるかな。

相対的貧困率
国民の経済格差を表す指標で、「年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合」の事。 絶対的貧困率と違い数学的な指標なので主観が入りにくい。しかし絶対的貧困率と異なり 国によって「貧困」のレベルが大きく異ってしまうという特徴を持つ。

この為裕福な国Aにすむ人が相対的貧困率の意味で「貧困」であっても、貧しい国Bにすむ人々よりも ずっと豊かな暮らしをしている、という事もありうる。よって相対的貧困率は「貧困率」という名前であるが、 貧困を表す指標ととらえるよりも国民の経済格差を表す指標ととらえたほうが正しい。

今回取り上げられてる「相対的貧困率」も、経済格差度、と表現した方が分かりやすいかもね。

「相対的貧困率」については【マネックスのページにも(廣澤知子のやさしいマネー講座)】(【ウェブ魚拓】)詳しい説明がある。これを読むとアメリカは貧富の差が激しいとか、「国民皆保険制度」って貧富の差を縮めるには大切だな、というのが分かるね。

あれ、こんな発言があるな。

「日本においても、冒頭にあげたように長妻大臣の音頭によって相対的貧困率が調査されれば、「日本は貧困率が高い!」とニュースなどで声高に叫ばれる可能性は高いでしょう。それだけで日本の経済=もうダメだといった論調になりかねませんが、ひとつの調査結果に振り回されず、多角的に今後の経済見通しを考えていくようにしたいですね。」

この記事が掲載されたのは2009年10月5日。すごいね、2週間前にモノの見事に予言してる。

(続く)

■一連の記事:
【「相対的貧困率」について色々と考えてみる……(1)発表データのグラフ化と二つの貧困率】
【「相対的貧困率」について色々と考えてみる……(2)本当の「貧困」を世界と比べてみる】
【「相対的貧困率」について色々と考えてみる……(3)「経済格差」って単なる格差なのかな】
【「相対的貧困率」について色々と考えてみる……(4)「経済格差」は「世代間格差」!?】

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