過去70年近くにわたる主要たばこの価格推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/05/30 11:14

月日の流れと共に物価も変動し、多種多様な商品の価格も変化を遂げていく。その価格動向をかいまみることで、生活の移り変わりや商品の特性を推し量ることができる。今回は各種商品の価格変移の中から、タスポ導入やたばこ税引上げに伴う価格のアップ、さらには主要販売店だったコンビニにおける立ち位置の変化、消費税率改定に伴う価格改定など、さまざまな動きを見せる「たばこ」の価格推移について見ていくことにする。

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漸次値上げされるたばこ価格


日本ではたばこの販売はJT(旧専売公社)の寡占的な事業で、1985年までは専売制だった。現在でも日本国内においては唯一、たばこ製造を許可され、販売している(JT以外の企業では海外からの輸入たばこを販売している)。また地域による価格変動も無い。データ取得方法などは【50年前の商品の価格を今の価格と比較してみる】同様の手法を用いており、取得元は総務省統計局における【小売物価統計調査 調査結果】。同調査では1950年以降ホープ・ピース・しんせい・ゴールデンバット、そして1960年に発売されたハイライトの計5種類について価格の追跡調査が行われていたため、計測期間における該当銘柄の価格が取得できる。

その値を基に生成したのが次のグラフ。

↑ たばこ価格の推移(-2009年、円)
↑ たばこ価格の推移(-2009年、円)

↑ 1959年(ハイライトは1961年)と2009年時点における監視対象銘柄の価格(円)
↑ 1959年(ハイライトは1961年)と2009年時点における監視対象銘柄の価格(円)

継続監視対象の5品目では「ピース」が一番価格上昇率が低いが、それでも皆3倍から4倍程度に値を上げていることが分かる。また、1980年代後半から1990年代後半までの間はたばこ価格にほとんど変動が無かったこと、その時期以外はいずれの銘柄も一定期間毎に値上げを繰り返しているのが確認できる。「ピース」の初期をのぞき、価格が下がったことは無い。

唯一長期監視対象として残った銘柄は…


さて、上記グラフはいずれも2009年までのもの。現行では2015年(年次)、あるいは2016年5月(月次)までのデータを取得できるはずであるのに、なぜわざわざ古い値を最新値としたグラフを生成したのか、首を傾げる人も多いだろう。実は小売物価統計調査では紙巻きたばこに関する監視対象銘柄を、2010年から大幅に切り替えてしまっている。喫煙者の消費性向に従った判断によるものだが、これにより継続データを取得できるのは「ピース」だけとなってしまった。

また2010年以降では【たばこ税の推移をグラフ化してみる】で解説しているように、2010年10月にたばこ税の引き上げ=たばこ販売価格のアップが行われており、また【メビウスは20円プラス…日本たばこ産業、消費税率アップで4月1日からたばこ値上げへ】で解説している通り2014年4月からの消費税率改定に伴い、たばこの販売価格も引き上げられている。その上【メビウスなどのたばこが4月1日から値上げへ】でも記しているが、2016年4月からは一部銘柄でたばこ税や消費税率の変更とは無関係に値上げが実施されている。そこで「ピース」については長期経年価格推移のグラフを、残り4銘柄も含めた「現在」監視対象の銘柄に関しては引き上げ前、そして2回のタイミングにおける値上げ後の動向をグラフ化する。

↑ たばこ価格の推移(ピース、-2016年、円)(2016年は5月までの平均値)
↑ たばこ価格の推移(ピース、-2016年、円)(2016年は5月までの平均値)

↑ 2010年10月の値上げ前後/2014年4月の消費税率改定後における監視対象銘柄の価格(円)
↑ 2010年10月の値上げ前後/2014年4月の消費税率改定後における監視対象銘柄の価格(円)

2010年10月の値上げ前後の動向を見るに、値上げの幅が非常に大きいのが分かる。何しろ監視対象銘柄内ですら、ピース以外はすべて100円以上の値上げがなされているのだから。そして長期時系列グラフを生成できる「ピース」の価格の動きを見ると、その上げ幅がいかに歴史的なものだったかがあらためて良く分かる。

なお2014年4月の消費税率改定に伴う価格引上げは、ピースならばプラス10円で固定。ところが2014年分は中途半端な値、228円が計上されている。これは2014年では1月から3月までは旧価格220円で発売されていることから、新旧価格の平均値が反映されることになる。(220×3(1月から3月)+230×9(4月から12月))÷12で227.5円、四捨五入で228円となる次第である。2015年以降は230円で固定のため、2016年に入ってもすべての月が230円となり、平均値も当然230円のままとなる。



喫煙率の推移は【世代別成人喫煙率をグラフ化してみる】にも掲載されている通り、データが存在する1965年以降男性は一律に減少、女性は若年層に若干上昇・中堅層以降は減少の傾向が見られる。銘柄の好き嫌いもあるので断定はできないものの、昔と比べて今は、女性若年層における「可処分所得中のたばこへの出費割合が増加している」のではないかとの推測もできる。

なお小売物価統計調査では2015年からたばこの価格調査に関して項目の大規模な変更を実施しており、「9800 フィルター付きたばこ 国産品」「9850 フィルター付きたばこ 輸入品」と銘柄を明記しない形となってしまった。「銘柄指定」と補足説明にはあるが具体的にどの銘柄なのかは記載が無く、これまでの統計値との連続性が確保できない。

そこで今件記事では、2015年以降はJTの公式サイトから直に各値を取得する形に変更している。上記のピースについても、実はその手法によるもの。全国統一価格で、価格変更の場合は事前にJTから実施期日も合わせてリリースが配されるために、何とか値を追うことができるようになっている。

その手法に合わせ、上記の「1959年と2009年時点における監視対象銘柄の価格(円)」のグラフに、直近分の値を反映させたのが次のグラフ。

↑ 1959年と2009年時点における監視対象銘柄の価格(円)(直近分追加)
↑ 1959年と2009年時点における監視対象銘柄の価格(円)(直近分追加)

60年ほどの間にハイライトは6倍近く、しんせいは7倍、ゴールデンバットに至っては9倍近くにまで上昇している。消費者物価指数を加味すれば倍率はかなり下がるが(消費者物価指数は1959年から2016年の間に約5.7倍に上昇している)、それでもなおたばこの価格が上昇していることに変わりはない。

たばこの販売価格引き上げは漸次論議の対象として持ち上がっている。そう遠からずのうちに再び価格の変化が生じる可能性はある。それが現実のものとなれば、グラフに変化が見られることになるだろう。


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