産業の活力が低迷中・前年同月比でマイナス13.7%(2009年9月分大口電力動向)

2009/10/16 17:53

電気事業連合会は2009年10月16日、2009年9月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年9月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で738億kWhとなり、前年同月比でマイナス6.8%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス13.7%を記録し、先月と同レベルのマイナス幅を示し、産業の活力が低迷中であることが分かる(【発表リリース、PDF】)。

スポンサードリンク


今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】上で説明がなされている。そちらでチェックをしてほしい。

2009年9月においては全体で前年同月比マイナス13.7%。それだけ工場の施設の稼働率が落ちていることになる(機器の技術進歩などによる節電効果もいくぶん含まれるが、一年で加速度的な進歩がない限り、誤差の範囲でしかない)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2009年8-9月)
大口電力使用量産業別前年同月比(2009年8-9月)

特に鉄鋼や非鉄金属など「金物系」の使用量、さらに繊維が低迷しているのが分かる。ただし9月分は非金属はかなり(といっても約5ポイントほどだが)先月より状況が改善されている事も確認できる。

せっかくなので過去データを収集した上で色々とグラフ化し、その傾向をまとめてみる。まずは大口電力全体の伸び率(前年同月比)を2000年4月と2006年1月以降それぞれにおいてグラフ化したもの。

大口電力伸び率(10電力会社合計、前年同月比)
大口電力伸び率(10電力会社合計、前年同月比)

大口電力伸び率(10電力会社合計、前年同月比、2006年-)
大口電力伸び率(10電力会社合計、前年同月比、2006年-)

後者のグラフを見ると、いわゆる金融工学危機の皮切りとされる「サブプライムローンショック」後も大口の産業としてはさほど影響を受けなかった(電力使用量に変化は無かった)もの、2008年秋の「リーマンズ・ショック」をきっかけに大きく使用量を減らしている、そして今年頭を底にやや持ち直しを見せているのが分かる。いかに「リーマンズ・ショック」が与えたダメージが大きかったかが、電力消費量の動向からも見て取れる。

主要産業別に大口電力消費量の動向を見ると、各産業の特性が見えてくる。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
大口電力使用量産業別前年同月比推移

繊維は早期から不景気のあおりを受けていたこと、非鉄金属は「サブプライムローンショック」後の資源高騰の波に乗ったのかしばらくは好景気に沸いていたこと、鉄鋼は比較的堅調に推移していたが「リーマンズ・ショック」以降は加速度的に落ち込みを見せ、他の産業よりダメージが非常に大きかったことなどがつかみとれる。ただ鉄鋼については後述するように、ここ数か月は大いに盛り返しを見せ(前年同月比でマイナスに違いは無いが)他の産業の数字に追いつきそうな雰囲気がある。また、細かい話ではあるが、機械が下げ幅を拡大しているのが気になるところ。

とりわけ多くの読者が気になるであろう「鉄鋼」を抽出して、さらに1年分さかのぼって追加したのが次の図。

大口電力使用量産業別前年同月比(鉄鋼)
大口電力使用量産業別前年同月比(鉄鋼)

2008年後半の「リーマンズ・ショック」直前まで一部回復基調を見せているが、これは【4か月で20分の1に! 鉄スクラップの価格をグラフ化してみる】で解説しているように、行く先を失った市場資金が商品先物に殺到し、資源価格が急騰したあおりをうけてのものだろう。



各折れ線グラフを見れば分かるように、今年に入ってからようやく前年同月比のマイナス値が少しずつ小さくなる傾向を見せている。小さくともマイナスには違いなく、前年同月と比べれば工場の稼働率がマイナスであることに変わりは無いがが、少なくとも悪い傾向では無い。

しかし今後政策の大転換(改定か改悪かは各自判断してほしい)がなされることで、このグラフの先行きが大きなぶれを見せることが想定される。その片鱗が「機械」の分野に見える感もある。国内景気を推し量る物差しとして注目すべき指標であるだけに、大口電力使用量については今後も定期的に(数か月単位を予定)、そして慎重に見守りたいところだ。


■関連記事:
【産業の活力が分かる、大口電力使用量をグラフ化してみる】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2018 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー