【更新】「フリースポット広告(契約)」の代表格、その内容とは?…大企業のテレビCM出稿量推移をグラフ化してみる(3)ハウス食品

2009/09/22 17:43

先に【テレビCM出稿量の上位陣をグラフ化してみる(2009年7月分)】で、シーエムナビが定期的に発表している関東・関西・名古屋主要三地区のテレビCM(コマーシャル)のランキングデータを元にした、テレビCM出稿量の上位陣をグラフ化した。昨今のテレビCMやテレビ局、及びCMを出稿している企業のお財布事情が垣間見れる興味深いデータであり、「せっかくだから、さらにさかのぼって色々と傾向を見てみようじゃないか」という趣旨の記事パート3にして締めくくり。【花王(4452)】[トヨタ自動車(7203)]に続いて登場するのは、食生活において欠かせない存在の【ハウス食品(2810)】。他社とは少々違った事情で、結果も違ったものが出ているのが興味深い。

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データの取得場所の解説、各種データの意味などの説明は、一連の記事まとめ【定期更新記事:テレビCM出稿量動向(シーエムナビ)】にある。そちらで確認を入れてほしい。

今回取得できたデータは2006年1月から2009年7月分まで。そのうち関東と関西のデータを足して(名古屋は省略)、グラフを生成することにした。なお公開データは毎月放送回数の上位20位までのものなので、場合によっては20位より下となりデータが取得できない場合がある。その時は翌月に再び20位以内に入っていた場合、「放送秒数」の値と先月比から該当月の放送秒数を割り出し、その上で直近前月の「1放送あたりの平均秒数」を算出してその値を元に「放送回数」を逆算する。

なおこれらのデータは放送出稿「量」であり「料(金)」では無い。放送回数や放送秒数が多い=放送料(広告費)を多く投入している「とは言い切れない」ので注意が必要。昨今のテレビ業界不況で広告単価も落ちていることも頭に入れておかねばならない。

「フリースポット広告(契約)」とは
「スポット広告」と「タイム広告」イメージ【主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる……(1)スポット広告とタイム広告、業績概略】で詳しく解説しているが、テレビ広告は大きく分けて「スポット広告」「タイム広告」に二分される。ざっくばらんに解説すれば「タイム広告」は「番組買い取り」、「スポット広告」は「番組を特定せずにばらまく」広告に他ならない。

さて今回取り上げるハウス食品は、スポット広告の中でも通常のスポット契約ではなく、フリースポット契約を元にした広告配信を主に行っている。

・スポット契約……決められた放送時間枠内にばらまかれる。広告料算出には【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】でふれたGRPが用いられる。

・フリースポット契約……時間枠をさだめずに、一定期間内に指定した本数を放送する。放送する時間帯は放送局側が自由に選べる。要は「うめぐさ」的広告。放送単価が破格値で済む。また、CM枠が空いてしまった時にはフリースポット契約の広告が挿入される。投入実績を元に広告料が後払いで支払われるという、特殊なパターン。
 フリースポット契約を結ぶには厳しい条件(支払い能力をしっかりと持っている、放送局と長期契約を結んでいる安心できる企業)が求められる。

フリースポット契約を結んでいる企業としては、今件のハウス食品以外に、先の記事で上位についた興和新薬(キャベジンやウナコーワ、バンテリンなどで有名。例えば「ウナコーワ」のように商品名の多くに「コーワ」と社名が入っているのが特徴)などが知られている。

「フリースポット契約の広告が多い」
→「他のスポンサーがいない」
→「(広告の)景況を示すバロメーター」
フリースポット契約の広告は、「うめぐさ」的性質に特徴がある。つまりCM放送枠が埋まらなければ、そこにフリースポットの広告がどんどん投入される。深夜の番組でハウス食品や興和新薬のCMが繰り返し放送されるのは、それが原因。

逆に考えれば、これらフリースポット契約の広告出稿「量」が結果として多い場合、それだけ他の広告が発注されておらず、スポンサーがついていないことを意味する。つまり「テレビ広告不況状態にある」しいては景気全体が後退局面にあるということだ。言い換えれば「フリースポット契約の広告量は、(テレビCMの)不景気度と連動する」となる。

ハウス食品の広告「量」は……
さて前ふりが長くなってしまったが、ハウス食品のテレビCM出稿量をグラフ化してみることにする。

ハウス食品のテレビCM放送回数と放送秒数(関東・関西合計)
ハウス食品のテレビCM放送回数と放送秒数(関東・関西合計)

ぱっと見で気がつくのが、2006年春先から秋にかけての急な盛り上がり。これは[ハウスの発表資料(PDF)]にもあるように、ピクサーの映画『カーズ』のタイアップキャンペーンを実施した過程で、大規模なテレビCM展開を行ったのが原因と思われる。

●ハウス食品のテレビCM傾向
・2006年夏はタイアップで大幅増量
・2007年夏以降漸増傾向
また、それ以外にも何度か新商品の展開などで大きく上ぶれしている月があるが、2008年に入ってからはその回数・上ぶれの度合いが共に大きくなっているのが分かる。そしてトヨタ自動車と同様に多項式近似曲線を加えると、波打ちながらも「サブプライムローンショック」の2007年夏以降は、上昇を見せているのが分かる(2006年夏の盛り上がりが「カーズ」キャンペーンによる特殊事例であることを考えれば、実質的には「波打ちをせずに2007年夏以降は上昇」と見て良い)。

「フリースポット契約の広告量が景気動向のバロメーターとなる」ことを考えれば、現在が不景気状態にあることを裏付けるデータが、また一つ上乗せされたと見て良いだろう。



テレビの媒体力と質、さらには「報道」「マスコミ」としての存在意義の低下云々は別の機会に譲るとして、昨今の様々な情勢の変化からテレビ広告の内容が大きく様変わりしていることは間違いない。ここ数年、特にこの一、二年においてテレビ番組を観ていて、何となく「CM企業が変わったな、今までこんな企業のCM見たことないな」と思う人は多いだろうが、それは決して間違っていない。

【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】にもあるように、今世紀、とりわけ2005年以降、テレビの媒体力は低下する傾向を見せている。昨今のテレビCMの様変わりも、その傾向が不景気で顕著になったことによる変化の一つに過ぎないと考えれば、納得のいく人も多いことだろう。

■一連の記事:
【大企業のテレビCM出稿量推移をグラフ化してみる……(1)花王】
【大企業のテレビCM出稿量推移をグラフ化してみる……(2)トヨタ自動車】
【大企業のテレビCM出稿量推移をグラフ化してみる……(3)ハウス食品】

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