鉄鋼や非鉄金属など「金物系」の使用量が低迷・前年同月比でマイナス14.1%(2009年8月分大口電力動向)

2009/09/21 09:43

電気事業連合会は2009年9月18日、2009年8月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年8月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で778億kWhとなり、前年同月比でマイナス10.8%を記録した。産業用の大口電力需要量は不況を反映してか工場の稼働率も下がり、前年同月比でマイナス14.1%を記録し、依然産業の活力が低迷気味であることを示している(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】上で説明がなされている。そちらでチェックをしてほしい。

2009年8月においては全体で前年同月比マイナス14.1%。それだけ工場の施設の稼働率が落ちていることになる(機器の技術進歩などによる節電効果もいくぶん含まれるが、誤差の範囲でしかない)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2009年8月)
大口電力使用量産業別前年同月比(2009年8月)

特に鉄鋼や非鉄金属など「金物系」の使用量が低迷しているのが分かる。

せっかくなので過去データを収集した上で色々とグラフ化し、その傾向をまとめてみることにしよう。まずは大口電力全体の伸び率(前年同月比)を2000年4月と2006年1月以降それぞれにおいてグラフ化したもの。

大口電力伸び率(10電力会社合計、前年同月比)
大口電力伸び率(10電力会社合計、前年同月比)

大口電力伸び率(10電力会社合計、前年同月比、2006年-)
大口電力伸び率(10電力会社合計、前年同月比、2006年-)

後者のグラフを見ると、いわゆる金融工学危機の皮切りとされる「サブプライムローンショック」後も大口の産業としてはさほど影響を受けなかった(電力使用量に変化は無かった)もの、2008年秋の「リーマンズ・ショック」をきっかけに大きく使用量を減らしている、そして今年頭を底にやや持ち直しを見せているのが分かる。いかに「リーマンズ・ショック」が与えたダメージが大きかったかが、電力消費量の動向からも見て取れる。

主要産業別に大口電力消費量の動向を見ると、各産業の特性が見えてくる。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
大口電力使用量産業別前年同月比推移

繊維は早期から不景気のあおりを受けていたこと、非鉄金属は「サブプライムローンショック」後の資源高騰の波に乗ったのかしばらくは好景気に沸いていたこと、鉄鋼は比較的堅調に推移していたが「リーマンズ・ショック」以降は加速度的に落ち込みを見せ、ダメージが非常に大きかったことなどがつかみとれる。

とりわけ多くの読者が気になるであろう「鉄鋼」を抽出して、さらに1年分さかのぼって追加したのが次の図。

大口電力使用量産業別前年同月比(鉄鋼)
大口電力使用量産業別前年同月比(鉄鋼)

2008年後半の、「リーマンズ・ショック」直前まで一部回復基調を見せているが、これは【4か月で20分の1に! 鉄スクラップの価格をグラフ化してみる】で解説しているように、行く先を失った市場資金が商品先物に殺到し、資源価格が急騰したあおりをうけてのものだろう。



各折れ線グラフを見れば分かるように、今年に入ってからようやく前年同月比のマイナス値が少しずつ小さくなる傾向を見せている。小さくともマイナスには違いなく、前年同月と比べれば工場の稼働率がマイナスであることに違いは無いが、少なくとも悪い傾向では無い。

しかし今後政策の大転換(改定か改悪かは各自判断してほしい)がなされることで、このグラフの先行きが大きなぶれを見せることが想定される。国内景気を推し量る物差しとして注目すべき指標であるだけに、慎重に見守りたいところだ。

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