実用物件でも賃貸料減額傾向に-東京23区内の賃貸住宅家賃事情(2009年9月発表分)

2009/09/14 07:55

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賃貸物件イメージアトラクターズ・ラボは2009年9月11日、東京23区の賃貸住宅における賃料改定状況調査結果を元にした最新データを発表した。それによると東京23区における賃貸住宅では、20万円を超える高級賃貸物件で家賃改定の際に、家賃を下げる傾向が強まっていることが分かった。さらに総計で20万円未満の物件でも、家賃減額の動きを見せ始めている。三か月前の調査結果【進む二極化・境界線は「20万円・70平方メートル」-東京23区内の賃貸住宅家賃事情】では一般家庭の実需層が利用している20万円未満の物件において家賃は横ばいだったが、今回調査期間においてはこの層も含め賃貸物件全体に家賃の減少傾向が浸透していることになる(【発表リリース】)。


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今調査はアトラクターズ・ラボの賃貸住宅データベースを用いて集計したもので、対象期間は2009年4月-6月期のもの、対象データは東京23区内。同一住戸における前回募集賃料(入居・退去を経たもの)と今回募集賃料とを比較している。例えば同額だった場合、値は0%となる。前回・今回募集時期の平均期間は約2年、サンプル数は3万3238戸。

調査結果では「賃料帯別(改定率推移と改定状況)」「面積帯別」「賃料帯別における都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)と他区地域比較」それぞれについてデータが公開されている。それらのうちいくつかを抽出してまとめると、次の通り。

東京23区全体・賃料帯別賃料改定率
東京23区全体・賃料帯別賃料改定率

東京23区全体・面積帯別賃料改定率
東京23区全体・面積帯別賃料改定率

・家賃価格帯ではこれまで安定していた20万円未満も下落傾向を見せ始める。ただし高額帯ほどの大きさではない。
・面積帯では70平方メートル未満は安定域で変わりないが、この領域でも明らかな下落傾向が確認できる。もちろんそれ以上の面積ほど値引率も高くなる。
・三か月前と比較すると、高家賃・広面積に留まらず、すべての賃貸物件に対する値引率の幅が拡大する傾向にある。

三か月前においては「空き室率を別にすれば、昨今の不動産市場の急落の中でも、『20万円未満・70平方メートル未満』の(比較的に)一般家庭層向けの賃貸住宅物件では、さほど相場に変わりは無い」という傾向が見られた。しかし今回のデータではこの層にまで明らかな下落傾向が確認できる。

・一般賃貸住宅の家賃は
需要側のお財布事情の悪化で
下落傾向。
・高額賃貸住宅は
需要が減り、値下げを
余儀なくされている。
元資料にもあるが、一般家庭向け賃貸住宅物件層における家賃の減額傾向は、借り手側の所得額の減退により、賃貸住宅の家賃に割り当てることができる金額も縮小したのが要因といえる。もちろん高級志向の物件は賃貸価格が高いほど値引率も高くなり、これが市場全体の下落における主要因であることに違いは無い。

ただし改定率が-1.0%未満の領域は築年経過(約2年)による減額を考慮に入れると実質増加と評価できる。このことから、家賃で15万円未満の部分は「実質プラス」と評価可能であることも付け加えておく。

一般世帯向けの分譲マンション・分譲住宅が即日完売というリリースがちらほら住宅関連企業から流されるようになった。昨今の不動産市場の低迷や借り手のお財布事情だけでなく、【値上がりする住宅はローンの積み増しで購入!? 増加する住宅ローン総額平均】にもあるような「賃貸で借家住まいを続けるより、安い時に少々無理をしててでも一国一城の主に」という志向も、賃貸住宅全体の家賃減額の遠因なのかもしれれない。


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