アメリカ世帯のお財布事情

2009/09/13 09:22

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アメリカ世帯のお財布事情イメージ【アメリカ合衆国国勢調査局(Census Bureau)】は2009年9月10日、2008年におけるアメリカの家計データを公表した。【USA TODAY】ではそのデータに基づき、いくつかのデータを提示している。今回はそれらのデータをグラフ化したりまとめて、アメリカの世帯におけるお財布事情をかいま見ることにしよう。


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アメリカの世帯あたりの収入中央値(左)と前年比変化額(右)(単位:ドル)
アメリカの世帯あたりの収入中央値(左)と前年比変化額(右)(単位:ドル)

まずはアメリカの1世帯当たりの収入中央値とその前年からの変化額を表したもの。世帯当たり収入の棒グラフは縦軸の一番下がゼロではなく4万9000ドルになっていることに注意してほしい。この値は年ごとのインフレ率を考慮した後のもので、現金や配当などを含み、現金以外の収入(食券など)は含まれない。グラフ上からは20世紀最後の年からの中でもっとも大きな減少額を見せていることが分かる。元記事によれば、統計を取り始めた1947年以降最大の減少額・1997年以降でも最低額とのこと。

さらにミシガン大学のSheldon Danziger氏は、少なくとも2009年は2008年よりもっと悪くなると予想している。2008年の下落率は3.6%だったが、2009年は失業率の増加を背景に、「少なくとも5%は下落する(≒4万7800ドルを下回る)」としている。

他の経済指標の概要を箇条書きにすると次の通り。

・貧困率(Poverty rate)は急騰。2007年の12.5%から2008年の13.2%に上昇。これは1997年以降もっとも高い割合。
 ※貧困率……4人家族で世帯収入が年間2万ドル以下の世帯数割合
・健康保険保有率は横ばい。健康保険に加入していない人は15.4%。昨年とほぼ変わらず。
・男女の収入比率も横ばい。男性の収入額の77%の額を女性が稼いでいる。大体「男性:4に対し女性:3」というところ
・高齢者だけが裕福に? 世帯主が65歳以上の世帯のみが前年比で収入を増加させている(1.2%)。逆に世帯主が45歳から54歳の家計がもっとも痛手を受けており、5.4%の減少を見せている。
 ※この項目については高齢者層が持つ株価の下落を反映していないので、一様に「高齢者だけがリッチになった」とは言い切れないという反論も寄せられている。

また、元記事からリンクされた別記事では、このデータを元にしたアメリカ各州毎の「2008年の世帯収入中央値」と「2007年・2008年の世帯収入中央値の変化率」をグラフ化したものが掲載されている(【該当ページ】)。


「2008年の世帯収入中央値」(上)と「2007年・2008年の世帯収入中央値の変化率」(下)。上は色が濃い方が高額、下は赤がマイナス・青がプラスで、それぞれ色が濃い方が絶対値が大きい
「2008年の世帯収入中央値」(上)と「2007年・2008年の世帯収入中央値の変化率」(下)。上は色が濃い方が高額、下は赤がマイナス・青がプラスで、それぞれ色が濃い方が絶対値が大きい

図を見ると、収入中央値は海岸線沿いの世帯の方が高い傾向があるが(コロラド州など一部例外を除く)、減少率もそれらの地域の方が大きいことが分かる。これは内陸部が穀物価格の高騰やバイオエタノールの関係で収入が増加したこと、そして【20%超えの地域も! アメリカの失業率現況を図で見てみる】【アメリカの「単純失業率」と「広義失業率」を示した地図】にもあるように、商業・工業地帯で失業率が悪化し、それらの人たちが世帯収入中央値を押し下げているものと思われる。

先日から報じられているように、アメリカの公的失業率は間もなく2ケタに達するという予測もある。失業者は基本的に働いて収入を得られないわけだから、その分世帯収入の平均・中央値を押し下げる。2009年における各種値がどのような変化を見せるのか、気になるところではある。


■関連記事:
【アメリカの家庭内おサイフ事情(改定・増補版)】


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